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【旅日記】お伊勢参り!鳥羽水族館!行き当たりばったり三重旅


内宮から行くか、外宮から行くか

ほんとうは九州に行くはずだった連休。色々なことが重なって、直前で行けなくなってしまった。せっかくの秋晴れの連休に、家でじっとしてることなんてできない。急遽、「行ったことないから」という理由で、家族とお伊勢参りに行くことに決めてしまった。適当に(伊勢にしては)安い温泉宿を取り、ろくに下調べもせずに新幹線に乗った。

名古屋で降りて、叔母と合流する。近鉄特急に乗り換えるが、ものすごい人出にげんなりする。特急の中で、伊勢神宮への行き方を調べる。どうやら伊勢神宮には、「内宮」と「外宮」があり、特急を下りる伊勢市駅に近いのは外宮だが、かの有名な「おかげ横丁」があるのは遠い方の内宮らしい。

更に調べると、「外宮→内宮の順に参拝するのが古くからの習わし」とAIに言われてしまう。"古くからの習わし"という表現はずるいだろう。破ったら神罰が下りそうな気がするし、叔母はすっかり「習わしには従ったほうがいいのでは」派になっていた。「習わしやしきたりなんて気にしなくていい。それよりもまずおかげ横丁で美味しいものを食べたいんだ、5時起きで空腹で倒れそうなんだ」と強く主張し、なんとか了承してもらえた。

「バスはもう来ません」と言われてしまう

伊勢市駅を降り、宿まで荷物を届けてくれるサービスに荷物を預けた。バスで内宮まで行こうとバス停に行くと、ぎゅうぎゅう詰めの一台のバスが目の前で去っていき、「バスはもう来ないので電車で行ってください」というようなことを言われる。なんと、その日大学駅伝で交通規制が張られ、バス・タクシーは動かないというのだ。電車で五十鈴川という駅まで行き、そこから2km歩くのだという。まじかよ。

車が一台もない道路、駅伝選手を待つ人々

11月にしては熱い日差しの下を延々と歩く。もし駅伝があることをちゃんと下調べをして知っていたらもう少し違った旅程を組んだだろうか。しかも友達ではなく家族である叔母と来ているため、つまらないことで言い合いになる。細やかな気配りも無ければ、トラブルを楽しむくらいの度量の大きさも朗らかさもポジティブシンキングも、私の中から消えていた。

激混みでも神々しさのほうが余裕で優っていた内宮

やっとのことで参道に着いた。調子に乗って食べ歩きグルメを食べまくったのは前回の記事に書いた。その参道なのだが、「その場にいるだけで疲れる」というレベルで混んでいた。ぱっと見渡して視界いっぱいの伝統建築の立ち並ぶ通りに、あまりにも美味しそうなお店が延々と続いていて、まるで江戸時代みたいでテンションが上がる。しかし、人が多すぎる。

正月かGWかと思った

正直に言って、伊勢人気を舐めていた。関東で生まれ育って山口に住んでいるので東海地方(でいいんだっけ?)の伊勢はちょうど未知なのである。「一生に一度はお伊勢参り」の言葉は江戸時代人の伊勢神宮への憧憬を表すものだと思っていたから、あくまでも日本史上での伊勢の最盛期は江戸時代だと思っていた。勘違いも甚だしいのだが…。

参道で伊勢グルメを食べまくった私たちは宿の夕飯の時刻に間に合わなくなりそうになって慌てて内宮へと向かった。鳥居をくぐってしばらくしても多くの人で賑わっている。だがその空間は神気としか言いようのない素晴らしい気に満ちていて、隅々まで清浄で、混んでいることなど気にならず、とても感動してしまった。これが、伊勢神宮。全ての神社の頂点に立つ神社。

式年遷宮といって20年に一度社殿が立て直されることは何となく知っていたが、その「新しさ」がこんなに嬉しいものだとは知らなかった。建築様式は普通の神社にはない茅葺屋根などの古めかしい形をしているが、決して朽ちてはいない綺麗なお宮は吸う空気まで綺麗で新鮮な感じがした。それに、さんざん食べ歩きした参道のお店たちも異様に新しくて綺麗だったから、式年遷宮に合わせてリフォームとかしてるんだと思う。そうして伊勢神宮一帯の町の全てがぴかぴかしていて、居るだけですごく心地いいのだった。

想像の10倍良かった「夫婦岩」

内宮参拝に大満足して私たちは温泉宿に向かった。その宿は・・・なんというか、うん。私たちには合わない宿だった。ネットでの評価はすごく高かったから、いっそう残念である。でも直前で決めた安い宿だったし文句は言えないだろう。気を取り直して翌朝、海まで散歩することにした。

西行の歌碑があった

旅の朝に歩く海って大好きだ。人が少なくて静かで、ゆっくりと日が昇っていく。波の音が聴きたくて砂浜に足を取られながら波打ち際を歩く。さすがに朝は寒くてお腹が冷えてくるけれど、なるべく長くこの美しい海を見ていたいと思う。海なんて山口に越してからいつでも見てるのに、日本中のいろんな場所に行って一か所として同じ海は無い。海なら私はずっと見ていても飽きない。

「夫婦岩」というのがあるらしいと看板を見て知るが、いまいち気が進まない。そんなの、ただの岩でしょ?見る意味ある?と思ったが、せっかくなので散歩がてら歩く。すると遠くに人だかりと鳥居が見えた。夫婦岩は、二見興玉神社という神社の中から参拝できるようだ。

一目見て、ただの岩の領域を超えた存在感にはっとする。古くからしめ縄が張られ崇拝されてきたと書かれている。だんだん朝日が昇ってきて、神々しさを増していく。なんて美しいのだろう!二つの岩の形、張り渡された太いしめ縄、遠い水平線。めちゃくちゃ良いじゃん、来てよかったと思った。

二見興玉神社は早朝にも関わらず御朱印を頂けたしたくさんの人が朝から参拝に来ていた。境内のいたるところにかえるがいて可愛かった。「かえるみくじ」というのもあり、せっかくなのでかえるの口に手を突っ込んで引いてみた。「夢に向かいありったけの力でベストを尽くそう。がむしゃらに努力すれば光が見えてくる。出来るからやるのではない、やるから出来るのだ」と書かれていた。大吉だった。こんな根性論なおみくじ初めて見た。

腹痛に耐え外宮参拝、そして鳥羽へ移動

なんと、お腹痛くなっちゃった。宿の食事が合わなかったのと、朝っぱらから海辺を長時間歩いてお腹を冷やしたからだ。万年腹を壊している私だが、旅行先でまで腹痛を起こすととても悲しくなる。同行者に心配をかけながら出先のトイレに籠っている時間ってなんであんなに悲しいんだろう。

というわけで外宮のことをあまり覚えていない

楽しかった伊勢を離れ、電車で鳥羽という街に向かう。駅に隣接したビルでお昼を食べた。鳥羽も海が美しかった。「カモメの散歩道」という名前の海沿いの遊歩道を歩いていると、青い海を眺めながらのんびりしている人たちがたくさんいて、素敵だなあと思った。

鳥羽水族館で出会った愛しいいきものたち

読者の中でもし私の別記事も読んでおられる方がいたら、こいつは一年に何回水族館に行くんだよと思われたに違いない。私は特段水族館が大好きな人間というわけではないつもりだ。たまたま今年、何故か水族館に行きまくっているというだけだ。……が、名古屋港水族館でシャチに出逢って以来、水のいきものに惹かれていることは否定できない。

鳥羽水族館は展示生物の種類が日本最多を誇るらしい。腹痛であまりじっくりとは楽しめなかったが、こんなの初めて見る!って感じの面白いいきものたちで溢れていた。ここからは写真で端的に紹介していきたい。

うみがめ。ニモの映画を思い出す
たぶんアシカ。気持ちよさそうな顔してる
スナメリ。いつか周防大島で野生を見たい
カピバラ。
マナティー。馬鹿でかくて超おもしろい
ジュゴン。調べたら世界で2頭しか飼育されてないらしい
ラッコ。楽しみにしてたのに動き速すぎてよくわかんなかった

確信したのだが、私は海獣が好きだ。海に住むでっかい哺乳類、総じてかわいいし生命力を感じる。また鳥羽水族館にリベンジして、今度は日がな一日マナティーとジュゴンを観察したい。


何も調べずになんとなく来てしまった伊勢。考えてみると三重県自体初訪問だったのだが、来てみたら観光大国だった。人の手が隅々まで行き届いている、居心地の良い観光地。参道の食べ物屋があれほど充実している場所を知らない。今まで旅した日本の神社仏閣で断トツだった。

何となく遠そうで、行きづらいなと思っていた伊勢にひょいと行けてしまったことで、また自分の中の日本地図の奥行きが広がった気がする。仕事に疲れていて海が好きなことも忘れかけていたので、お腹を冷やしてもああして波の音を聴きながら歩けてよかった。つまらないことで言い合いになりながら行き当たりばったりな旅にあたふたするのも悪くない。

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