バーチャル航空管制官のための航空管制講座 ~進入管制(ノンレーダー)が行われる条件~
進入管制とターミナルレーダー管制
日本の進入管制区には必ずASR(空港監視レーダー)が設置されていて、ターミナルレーダー管制業務が行われていますが、これ以外に進入管制業務も担当しています。
この進入管制業務とは、レーダーを使わない進入管制、つまりノンレーダーでの進入管制のことですが、安全と効率の面からレーダーが届かない一部の空域以外で実際に進入管制が行われる場面は限られます。
進入管制が行われる条件
簡単に言えば、ノンレーダーになるにはレーダーが使えなくなったときで、アンテナの点検や更新で停止する場合や、台風接近時にアンテナの回転を停止する場合があります。
ただし、ほとんどの進入管制区ではASRアンテナ(以降、SSRは省略)が2基設置(二重化)されていて、仮に1基が停止してももう1基でカバーできるので問題はありませんが、地方空港では、設置場所の関係で部分的に映らない箇所(ブラインドエリア)がある場合があります。
ARTSとTRADのシステムの違い
ターミナルレーダーのシステムとして現在はTAPSが主流となっていますが、TAPSの前はARTSとTRADがありました。
ARTSは混雑空港のある進入管制区に設置されていましたが、TRADはあまり混雑しない地方空港に設置されました。
TRADはARTSの主な機能に絞った廉価版ともいうべきシステムで、処理機数や表示容量がARTSの半分以下、ARTSがASRアンテナ2基同時の2系統での運用可能に対してTRADは1基の1系統のみでメインとサブで切り替えての運用、となっています。
完全なノンレーダーの条件とは
ASRアンテナ 2基がある空港では1基停止しても切り替えて別の1基で運用ができますが、ASRアンテナ 1基しかない場合や2基とも停止させる必要がある大規模なメンテな場合で、かつ、非常用レーダーを展開させない場合は、完全なノンレーダーとなります。
RADAR SER NOT PROVIDEDの例(NOTAMとATIS)
NOTAM RJSN 1051/21
FROM 21/11/27 03:30 TO 21/11/27 05:30
E)RADAR SER NOT PROVIDED
DUE TO AP-SURVEILLANCE RADAR/SSR MAINT
ATIS RJSN H
M0300
(APCH)ILS-Y RWY28
USING RWY 28/22
APP FREQ 121.4
RADAR SER NOT PROVIDED DUE TO ASR/SSR MAINT TIL 0530
M
280300Z 36010KT 20KM VCSH FEW020CU SCT050CU 10/01 Q1031/A3047=
Q/THREE ZERO FOUR SEVEN
STP
RADAR SER RESTRICTEDの例(NOTAM)
NOTAM RJOA 0096/24
FROM 24/06/15 22:30 TO 24/08/31 13:30
E)RADAR SER RESTRICTED FLW AREA
DUE TO AP-SURVEILLANCE RADAR/SSR MAINT
AREA : BTN MAG 020DEG AND 062DEG FM 342618N1325437E
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