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バーチャル航空管制官のための航空管制講座~飛行場管制における指示の順番~
指示は着陸許可が優先
First come, first served.
航空管制における順番は、最初に来た順が原則とされています。
ただ、それは対応する順番であり、最初から最後まで同じ航空機に指示を出し続けることはありませんので、どの航空機に指示を出すかは、その後の状況次第となります。
たとえば、次のような状況のとき、どちらの指示を優先しますか?
IFR出発機が離陸した後のDEPに周波数変更と、滑走路進入端から5NMをきってファイナルにいるIFR到着機への着陸許可
出発機への地上走行許可と、トラフィックパターンを回ってファイナルにいるVFR到着機への着陸許可
管制圏外から進入するVFR到着機への指示と、ベースにいる到着機への着陸許可
状況1: 飛んでいる出発機と到着機
1. IFR出発機が離陸した後のDEPに周波数変更と、滑走路進入端から5NMをきってファイナルにいるIFR到着機への着陸許可
IFR/VFRに限らず、出発機が離陸して次の周波数変更を指示するタイミングということは、滑走路から十分に離れている、他の航空機との管制間隔はとれている、という状況です。
レーダー(DEP/APP/TCA)への周波数変更の指示は離陸後できるだけ速やかに出すべきですが、多少遅らせる時間の余裕はあります。
到着機への着陸許可を出せる最低限の間隔の目安としてよく言われるのは、滑走路1本分、だいたい2NMファイナルまでです。
到着機が5NM以遠、予め指示していた位置通報をもらう前であれば、まだ余裕があるので、出発機と到着機どちらでも構いませんが、5NMをきっている状況ではなるべく早く着陸許可を出すことで、無駄な時間ロスを避けることができます。
それよりも着陸許可が遅くなったばっかりに到着機をG/Aさせてしまう方が時間や手順のロスが大きいです。
状況2: 地上にいる航空機と飛んでいる航空機
2. 出発機への地上走行許可と、トラフィックパターンを回ってファイナルにいるVFR到着機への着陸許可
指示がない場合でも、飛んでいる航空機は前に進み続けますが、地上にいる航空機は止まったままなので余裕があります。
この状況では出発機よりも到着機の方にまず許可を出すべきです。
状況3: どちらも飛んでいる航空機
3. 管制圏外から進入するVFR到着機への指示と、ベースにいる到着機への着陸許可
管制圏外からのVFR到着機には、まず位置や高度、経路、着陸の種類、ATIS受信の有無などと確認すべきことがありますが、指示をする余裕はあります。一方で、ベースにいる到着機は、いつ着陸許可を出すかだけですが、あまり余裕はありません。
これまでの例と同じようにファイナルに近い方を優先する、ということでベースにいる到着機に許可を出します。
ポイントは指示を遅らせる余裕があるかないか
例に挙げた3つの状況では、待機指示を出して遅らせる余裕があるかないかがポイントです。
余裕のない状況だと、たとえば着陸許可のタイミングが遅れてG/A(着陸復航、ゴー・アラウンド)したら、また進入のやり直しとなり、大きな時間のロスとなります。特に混雑時にやり直しとなると、管制官自身の余裕もなくしてしまいます。
指示を出すタイミングで呼びかけられたとき
次の指示を出そうとしたときにパイロットから呼びかけられたり、また、2機から同時に呼びかけられたりして、混雑してくると、必ずしも管制官のタイミングで指示を出せないことがあります。
このようなときに、どちらに先に指示を出すか、という選択を迫られますが、その選択を間違えないようにするための優先順位を把握しておくべきです。
場合によっては(躊躇せずに)一旦STAND BYをかけて、他の航空機に指示を出すことも必要です。
指示の順番=上空(特にファイナルにいる到着機)>地上
地上では一旦停止できるけど、上空では前に進み続けるしかない、ということで、地上にいる航空機と上空を飛ぶ航空機に指示を出すタイミングが重なったときは上空を優先する、特にファイナルにいて着陸許可待ちの航空機を優先します。
躊躇せずにSTAND BY、あるいは待機をかけられるか、混雑時には順番とタイミングが重要になってきます。