きみにわたしが見えるかな...
わたしは目をひらいて
くらい空に浮かぶきみを見ている
きみはそこにいるのか
割れた窓ガラスの
囲む世界に
すべてをゆがめる
ひとの世界に
きみに話しかけているのは
わたしのなかの神だ
あとは地上で燃えている
わたしの
死だ
そう あれがわたしだ
あるいは これがわたしだ
わたしのかけらが輝きながら
あなたのなかを通りすぎる
そのつめたい明るさがわたしだ
まもなく
きみの頬を
きみの骨髄を
そしてあおい眼の天体を
とおりぬける
会釈をした聖者のように
死を定められた罪人のように
待っているよ
たのしみに
きみの生まれるまえの冷たさと
死後の記憶と心づかい
そのあたたかさ
だれもいない
もう夜明けだ
見えるのかな きみから
かたちも温度も失っていくわたしが
気づくかな
朝の牛乳を飲んで
ドアを開けるとき
ウィンクするよ