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奄美と島尾敏雄②

戦争末期、特攻艇部隊180名の隊長として奄美の加計呂麻島にやってきた島尾敏雄は、その島の長老の中国語の読み書きをし多くの書籍を持っている老人を本を借りるために訪ねるようになる。

その老人の娘(実の娘ではない、1歳の時養女できた).小学校教師のミホと恋をする。

ミホは、夜、岩場の海辺を岬を回って、島尾敏雄に会いに行く。

二人は戦後東京にでる。二人の子どももできた頃、島尾敏雄は浮気をする。ミホは自殺しようとするし、錯乱状態が続く。それから二人で精神病院に入る。ーーこの頃のことが『死の棘』に書かれている。

ミホの錯乱には、島尾敏雄の浮気の他、島尾に会いに行く自由を得るために、父親を山の疎開小屋に移した罪意識もある。ーーそれが『海辺の生と死』に書かれている。『死の棘』同様、これも映画化された。満島ひかりがミホ役をした。

家族はミホのことを考え、奄美に引っ越した。島尾敏雄の死後、ミホは喪にふくし、死ぬまで黒い服を着ていた。わたしの実家の近くに住んでいらしたので、お見かけしたことがある。ひとりの人との結びつきがこんなに強いことがある、と歳を重ねてきてより強く思うようになった。誰もが持つものでなく、ある二人にそういう神がかった気持ちが生まれるのだと思う。




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