がんじょうだま
年中児の頃、友だちの間でどろだんご作りが流行っていた。方言なのか出どころはよく分からないが子どもたちの間ではどろだんごを「頑丈玉」と呼んでいた。
作り方は難しくはない。下地となる粘土を手のひらで転がしながら丸い玉をつくり、その後表面に様々な種類の土をかけて転がして大きくしていく。充分土をかけて固めたところで整形作業は終わる。熟成は、日陰で一晩寝かせる。(靴箱とかに内緒でよく保管してた)そして、その翌日に玉の表面の土を優しく布などで磨くと黒光りしたがんじょうだまができる。名前の通りとても頑丈で、完成品は子どもの背の高さから床に落としても割れないほどであった。
そんな中僕は、友人たちが次々に頑丈玉を完成させていくなか、なかなか完成することができなかった。
ブームの中、みんなと一緒に何度も頑丈玉つくりにチャレンジするが、一向に完成しない。途中で崩れてしまったり、割れてしまう。熟成中に割れる事もしばしばあった。友だちの隣で同じ工程をふんでいるのにも関わらず完成しない。
なんども壊れても諦めずに作り続けて、やっと自分で最後まで納得のいくものを完成することができた。だがしかし、その時にはもうブームは終わっていて、頑丈玉つくりをしているのはひとりになった。友だちに完成品を見せても見向きもしない。その時は寂しかったけど、諦めずに続けることで出来ないこともできるようになる。という教訓を得た瞬間だったと思う。
僕は人よりも成長スピードは遅いけど、続けていけば人並みかそれ以上の結果を出せる。ということを知った。
そして何より、できないことができるようになった。この瞬間が一番嬉しかった。