02.見た夢のはなし-20.06.17
※フィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
私たちは上手くいってるフリをしている。
ジュダの金髪はふわふわで長く、綺麗で、彼自身も優しくて、まだ12歳だというのに、性格も真面目で大人っぽい。
周りのことをよく見てるからこそ、わたし達を悪びれもせず純粋にからかうような、冷やかすようなあの雰囲気が、ジュダには我慢ならなかったようだ。
「上手くいってるってフリをしよう。でも本当は僕らのペースで進めていくんだ。……僕は、皆なんかに邪魔されたくない」
だから騙してやろうよ、皆のこと。
クールに言い放つジュダは、まるで世界のすべてに勝利したみたいに不敵に笑う。綺麗な顔だなぁ。
美しくて、強いジュダ。隣の席の男の子。
周りを欺く為に、彼と上手くいってるフリをしてるけど、実際のところは親友止まりだ。
わたしもジュダもただの両想い同士。でもべつに良くない?って2人ともそう思ってる。今はまだ、ね。
「キスしないのかよ、キス!」
冷やかすように男子が言う。誰だてめぇ。夢なので顔がモヤモヤしてよく見えない。
『付き合ってたらキスくらいするだろ』という周りの声が、同調してどんどん大きくなっていく。
隣の席をチラッと窺い見ると、呆れたような、困ったような顔をしたジュダとばっちり目が合った。2人で少し笑う。
ジュダはわたしの耳元に、そっと顔を寄せると、皆には聞こえないよう静かに囁いた。
「目を瞑ってて。大丈夫、口にしないから」
ジュダの両手が、大切そうにわたしのほっぺを包む。わたしはうん、と頷いてから両目を閉じた。
ジュダになら身を任せても安全だと、なんとなく理解していた。
赤ちゃんみたいに柔らかで特別な唇が、ふわふわと、口の周りだけに優しいキスを落としていく。
ぎゅっと目を瞑ってそれを感じてるわけだけど、なんだか不思議な心地だった。
やがてその感覚にも慣れた頃、わたしはまるで恋人達がそうするように、ジュダの首筋に力の抜いたひとさし指を当てて何度か、やわらかく上下に滑らせてみた。
ザワザワと周りが沸く。
わたしの両頬を包むジュダの手のおかげで、本当は口元にしかキスをしてない事も皆には見えていない。
加えて少し生々しかったわたしのアドリブが、教室のアホどもをすっかり信じ込ませてしまったようだ。
ジュダもそれを感じ取ったらしく、ゆっくりと顔が離れていく気配。
目を開ける。すげ〜!とどよめく教室。
ジュダは事もなげにフン、鼻を鳴らした。そんな態度に男子も女子もやいのやいの。
やがてジュダは、静かにこちらを振り向くと、にっこりとわたしだけに笑った。いたずらっ子の笑みだ。
「騙されてる」
僕らの勝ち、とくすくす笑う。
わたしたち本当のキスなんかしてないのに、周りがすっかりその気になってるのが間抜けでおかしくて、ついにわたしとジュダはけらけらと笑ってしまった。
メモ:
未来少年コナンを見たのと、王様のブランチでGOOD BOYのあらすじ見た影響?
夢の時点でオチ込みだったし全体的にもストーリーがよく出来上がってたので、お話っぽく書いてみた。
小学生っていう設定。
ジュダの名前は実際には夢に出てこなかったので適当(顔面が完全に雨の日の時のジュダ・ルイスだったため)
ちなみに夢の中のジュダはロックスターのように上裸、っていう謎な出で立ちでした。
前回の夢はこちら