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心に残る素晴らしいコンサートの記憶 淡谷のり子さん

 淡谷のり子という人をご存知の方は、今は少ないかもしれません。私が二十代の時に、淡谷のり子さんは90代でしたから、若い方は知らないかもしれません。モノマネ番組の審査員をしていて、清水あきらさんのモノマネを酷評するという演出が最高に面白くて、館林にコンサートで来られるという情報を得て即決で申し込んだのです。
 ご高齢でしたので、幕が上がった時はすでにステージ上にいらっしゃりスポットライトを浴びていらっしゃまいましたが、全身から滲み出る歌手としての迫力と年月を経ての深みが感じられて聴く私たちは背筋を伸ばさざるをえませんでした。とても美しくて、その美貌には圧倒されました。例えていうなら一本の真紅のバラ、香水で言うと夜間飛行のイメージですね。凄まじい人生を歩んでこられたことは後に調べて感慨深く思いました。
 母と共に聴いた「別れのブルース」、30年近く経ちますが忘れられない思い出です。燻銀という言葉がありますが、本当に胸を打つその年まで磨き続けた芸を持つ人からしか出ない輝きが感じられる歌でした。歌というのはその人の歩んだ人生そのものなのだと思わせる素晴らしいステージでした。
 高齢のためもうこのチャンスを逃したら次はない、と思っていましたがやはり程なく逝去されたという報道を聞き、亡くなる間際まで歌を愛し聞かせてくださった淡谷さんには本当に感謝しかありません。淡谷さん、素晴らしい歌を聴かせてくださり本当にありがとうございました。

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