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バスケ部の顧問の先生

 その先生は、長男の部活(バスケ)の顧問で、その時50代半ばの方。ある時一人の部員の生徒を、周囲の大人(部活の保護者たち)が問題視して辞めさせようとしたことがある。
 その問題視された生徒さんは、ハーフの子であった。何かと手が先に出てしまいやんちゃでもあったのだろう。でも長男から言えば、ちゃんと良い所もあるし、深刻に受け止めておらずむしろ遠征などの車(親が車を出す時)はその子を連れてくることが多かった。顔にパンチをされて鼻血を出したこともあるそうだが、息子自体は軽く考えていた。相手に良い所もあったのだろう。

 ある保護者会の席で、自分の子が被害を受けたからその生徒を辞めさせて欲しいと、複数の親達が先生に詰め寄るという緊迫した場面になった。会議は途中から先生への攻撃にもなっていった。(時間は3時間にも及び、23時に近かった)

 先生も疲れ切ってへとへとに見えた。脂汗をダラダラかいていたので先生の心労が痛いほど伝わってきた。
 違う考えの親もいたはずだが、何か言える空気感では無かった。先生はその意見に屈してその問題視される生徒さんを辞めさせる‥というまとめに入るのかな?と感じさせたが、やはりそういう先生では無かった。

 最後まで穏便に対応しつつも何とかその生徒さんが辞めなくて良いよう会議を終わらせたのだ。先生はちゃんとその生徒さんの良い所もわかっていたのだ。先生はその生徒を最後まで守り抜いた。

 その後保護者会は先生の意図で開かれることはなかった。たぶん先生のお陰でその生徒さんは部を辞めずに済んだはずである。

 長男は卒業してから、そのハーフの子ともたまには遊び、数人で先生を訪問し先生の好きなビールをプレゼントしたりいまだその先生を慕っている。

 人それぞれの立場から、一人の人を見た時の見え方も違ったものになるのだろうが、その顧問の先生は私から見ればとても立派で尊敬できる人だと思ったのでした。


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