見出し画像

「栄冠ナイン」の中毒性――高校野球よ永遠なれ

だらけです。
前回、こんな記事を書きました。

前回の記事は、「栄冠ナイン」というゲームの楽しさ・面白さについて主に書きました。プレイしたあの当時は、「同じチームで甲子園春夏優勝を達成する」「2チーム連続で春夏連覇を成し遂げる」という目標を立て、それを無事に達成した証として当該記事を書いた次第でした。無事に目標が達成できた、これでほかのゲームに移ることができる。そう思っていました。
ところが、実は私その後も黙々と栄冠ナインをプレイし続けてしまっていたのです。勿論プレイ中はとても楽しく、毎年変わるチームの活躍に興奮していたわけなのですが、区切りを逃してしまい、そのまま日常に溶け込むようにプレイし続けていました。この一年あまり、私はずっと高校野球の野球部監督として戦っていたことになります。
今回は、プレイを続けた中で見えてきた栄冠ナインの「中毒性」について書いてゆきます。ここでいう「中毒性」という言葉は「(楽しくて)なかなかやめられない、やめ時が見つからない」という意味でとらえてください。

確率で試合が動く、ギャンブルに似たシステム

前回の記事で解説をしていますが、栄冠ナインでは試合中に自分で各選手を操作するのではなく、選手に指示を送り、その指示に基づいて選手がプレイをします。指示をした作戦が成功するか否かは、作戦カードに記された数字によって確率が変化します。栄冠ナインは確率でゲームの行く末が決定される、ギャンブル的な要素があります。どんなに高い成功確率でも、ふたを開けてみるまではわからない、そのワクワクドキドキが成功した時の爽快感に繋がっています。
さらに、栄冠ナインではこの成功確率を上昇させるためにプレイヤーができることが幾つかあります。この「自分自身で成功確率を上昇させることができる」という要素が、栄冠ナインにより熱中しやすくなる原因だと私は考えます。
①野球の知識を学ぶ
これは投手の配球を読むことや、バント等の適切な作戦を指示すること、最適な配球を指示することなどが挙げられます。パワプロは野球のゲームです。目の前の試合展開や相手との力量差を考えた上で、有効な作戦は変わってゆきます。作戦カードに記された数字を信じるだけでなく、野球のセオリー等に沿った作戦を用いることで試合の結果を有利にしてゆくことができます。
②パワプロについて学ぶ
パワプロには様々な特殊能力等があります。選手の持つ特殊能力を把握し、得意な打撃や攻めパターンなどを考えることで、作戦の成功率が上がるでしょう。
③選手を育成する
今は強い相手でも、選手を育成することで能力が上がり、有利に試合を進めることができるでしょう。またそれぞれの選手の特性を伸ばすことで、試合中の作戦の選択肢や戦い方がどんどん変わってゆきます。
④特殊能力を使用する
栄冠ナインの選手たちにはそれぞれ性格が設定されており、その性格に対応した特殊能力を試合中に使用することができます。中でも「魔物」と呼ばれる能力は、試合中に敵チームのエラー率を大きく上昇させる特殊能力であり、劣勢の試合展開の時でも、相手のエラーを誘うプレーをすることで試合が乱れ、大逆転を起こすことも珍しくありません。バランスブレイカーともとれるこの特殊能力ですが、「魔物」を使用するときのイチかバチかの感覚はまさにギャンブルをする時の楽しみと非常に近いものがあると思います。

また、上記に挙げた点のほかに、パワプロ2020には「確定演出」というものがあります。これは打球を打った瞬間に、他の打撃とは異なった一目でホームランだと分かる演出をすることです。

確定演出はとても気持ちのよいものですが、これもパチンコやスロットなどのギャンブルで用いられる手法の一つと言えるでしょう。

すぐそこに次のチームが待っている

高校野球は3年生の夏の大会の結果が出るまで部員は所属します。4月に入学してきた1年生を約2年半育て上げることになります。そして夏の大会までにメンバーを選出しチームの形を作るのですが、実際は3年生が引退した瞬間から下級生主体の新チームのスタートとなります。すなわち前のチームの終わりは、新たなチームの始まりということになります。前のチームが終わった余韻に浸る間もなく次のチームと一緒に戦う準備をすることになります。区切りをつけることなく、続けることができることも中毒性の強い点として挙げられるでしょう。

選手に情が移る

栄冠ナインは入部した一年生たちをおよそ2年半かけて強化する育成ゲームでもあります。入部してから彼らのステータスを見て、練習を指示し、試合で起用してその活躍をみて、さらに今後の育成を考えてゆくということを2年半繰り返してゆきます。前回の記事でも触れましたが、最初は名前も顔も知らなかった部員の事を常に考え、動きを見つめてゆくと、ゲーム内のキャラクターであること以上にこちらの情が移ってゆきます。手塩にかけて育てた選手たちが最後の夏の大会にどのように輝くのかを思いながら、またこれまでの試合でのプレイを見返しながら、この選手はどのようなプレイをしてきたのか、そして今何を考えているのかなどを考えながら、作戦を指示します。選手を信じ、最善の策を考えた上で、最高の結果が出た時の喜びは格別のものですし、他のゲームでは味わえないものです。それはゲームをクリアした時の達成感とはまた異なった、選手一人ずつに「ありがとう」と声をかけたくなる気持ちです。前回の記事でも書きましたが、栄冠ナインの主役はプレイヤーではなく試合で活躍する選手たちだと思います。選手たちの頑張りのお陰で、甲子園に連れてきてもらっている、こんなにありがたいことはないと思うのです。

手塩にかけて育てた選手たちが活躍し、そして同時に新しいチーム作りがはじまっている、というこのサイクルを永遠と楽しむことができるのが、栄冠ナインの中毒性ではないでしょうか。それは人間の寿命から解放されたゲームだからこそ許された、終わらない夏の夢だとそう思います。

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が参加している募集

たくさんのゲーム音楽演奏会に参加して、たくさんレポートを書いてゆく予定です。