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【音楽評】The Beatles-Nowhere Manにシンクロし、励まされた話【和訳】


「ビートルズで好きなアルバムは?」


音楽好きならよく問い問われるクエスチョン。

俺は「RUBBER SOUL」。

現像がゆがんじゃって独特の構図になって
それが気に入ったんだとか

まず、ジャケットが好き。
4人の表情が物憂げで、
なんか、深緑

収録曲も好き。

・Nowhere Man
・Norwegian Wood(This Bird Has Flown)
・Girl
・Michelle
・In My Life


特にこれらの楽曲は
なんともジャケットの醸す雰囲気にマッチしている。
しかしまぁ、名曲だらけだ…
是非アルバム通して聴いてほしい。



そして今回は"Nowhere Man"について語る。
邦題は「ひとりぼっちのあいつ

1965年12月の発表当時、バンドは変革期。
アイドルバンドとして世界中を席巻していたビートルズ。
その栄光と共に、狂熱の弊害に苛まれ、やがてツアー活動、ライブ活動そのものの停止を決意していく。

1966年キャンドルスティックパークでのアイドル期ラスト公演(ラストだよ!という告知はなし)
後ろの様相がえぐすぎ。



そして髪を伸ばし、髭を生やしたり
サイケ・ファッションで身を覆い
サージェントペパーを代表とする超大作を産みだすこととなり、

「アイドルバンドがアーティスト集団として大成する」という
おそらく音楽史上彼らしか成し得ていない偉業を達成し、

超オシャレだよね。最高。

解散に至る頃には退廃の美学さえも体現していく。

超シブい、みんなまだ20代だぜ…


しかし、変革の当時。
消沈し、苦悩する人々が居た。

1人はマネージャーのブライアン・エプスタイン。
彼はアイドル期のビートルズ像を生み出した男でもあったのだが、この変革によりツアーコンダクトという業務が無くなり、当惑・消沈していたという。


ビートルズの才能を引き出した男
ゲイセクシャルに悩んでいたという一面もあったが
それゆえの観点だったのは強みだよな


1人はジョン・レノン。
彼もまたスランプに陥り、着想を探すあまりLSDの幻覚世界にのめり込み、ほぼパラノイア状態であったという。おそらくはバンドリーダーとして「本当にこの道で良いものか」という不安・葛藤もあったことだろう。

この頃のジョンって
なんか前髪が横からふいーんってなってるイメージ


ブライアンはやがて精神を病み、アスピリンのオーバードーズにより死去。

一方ジョンはやがてオノ・ヨーコと出会い、新たな自分を形成していく。


表現者のはしくれとしての私見だが、

変革には犠牲が付きものである。
何かを明確に壊さなければ進めない。

勿論不変であろうとする人
不変を願う人もいるだろう。

だが、時代と共に価値観は変わっていく。
すべての表現者が不変では居られない。

満足のゆく作品を作りたい。
例えファンが離れていこうが。


さて、"Nowhere Man"

これはジョンによる楽曲だが、
そんなブライアンや、或いは自身のことについて着想を得ているように感じられる。
以下、私による和訳である。

He's a real Nowhere Man
 あいつはまさに"ノーウェア・マン"
Sitting in his Nowhere Land
 妄想の"ノーウェア・ランド"に座って
Making all his Nowhere Plans
 不毛な"ノーウェア・プラン"を立てている
For nobady
 誰のためでも無く


Does'nt have no points of view
 確かなビジョンなんて存在せず
Knows not where he's going to
 自分がどうなりたいか定まってさえいない
Isn't it a bit like you and me?
 なんかちょっと俺たちに似てないか?



Nowhere Man, Please listen
 ノーウェア・マンよ 訊いてくれ
You don't know what you're missing
 お前は何を見失っているかわかってない
Nowhere Man
 なぁ、ノーウェア・マン
The world is at your command
 世界はお前の思うままなんだぜ?


He's as blind as he can be
 あいつはまさに盲目みたいなものだ
Just sees what he wants to see
 都合の良いものしか見えてないという意味では
Nowhere man, Can't you see me at all?
 なぁノーウェア・マン、俺のこと見えてるか?

Nowhere man, Don't worry
 ノーウェアマン、大丈夫
Take your time, Not hurry
 時間を掛けていこう 焦っちゃダメだ
leave it all
 ありのままでいい
'till somebady else lends your hands
 誰かが手を差し伸べてくれるから

(以下リフレインのため略)

"Nowhere Man"とは直訳で「どこでもない男」となるが、
ノーウェアマンという響き自体が好きなので、そのまま生かすことにした。
多少意訳している部分があるが、ご堪忍頂きたい。


さて、

俺も現在人生において変革の時期にある。
仕事を辞め、未だ有給消化中である。

今後どう生きようか。
勿論やりたいことがあるのだが、
そのプロセスは決して具体的ではない。

見極めのために様々な計画を立てている。
だが机上の空論の域は出ず、
不安は尽きない。

しかしこの曲を聴くことで、
優しいメロディとハーモニーに励まされる。

そして詩の内容
まさに俺の状況とシンクロしている。
そして示唆する。

「ありのまま」でいい
限界を知れ
独りでやろうとするな
他人と助け合え
いつか誰かが「手を差し伸べてくれる」から


ビートルズが変革期の中、過去の自分達を捨てて、新しい道へと進んだとき、
「きっとうまくいく」という根拠の無い確信
それと共に、迷いもあったことだろう。

きっと、俺と同じなんだ。
だからいいんだ、迷っても。


焦らず行こう。
粛々と、いずれ機が熟すまで。
そしてベストを尽くそう。
きっと未来は素晴らしいものになるから。


ほら、きっとこの記事を読んでいるあなたも、
何処か似てるんだ。

ほら、あそこで座って
独りぽちぽちと文字を打っては思索に耽る
「ノーウェア・マン」に。

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