カウスティネン民俗音楽祭について① カウスティネンKaustinenとは


フィンランドの民俗音楽祭で、最も大規模かつ人気がある音楽祭、それがカウスティネン民俗音楽祭Kaustinen Folk Music Festival (Kaustisen kansanmusiikkijuhlat)です。

7月第三週の日程で設定されたこの音楽祭は、1968年第一回フェスティヴァル以降、大勢の音楽家、聴衆に愛され、すでに50年以上の歴史を重ねています。

残念ながら、2020年はパンデミックのため中止となりましたが、2021年は7月12日(月)~18日(日)の会期の間、現地で聴衆を入れて開催されたほか、オンラインでも開催され、世界中から注目を集めました。

「現地開催を案内する公式webサイト」

「ヴァーチャルカウスティネン」こと、オンライン開催を案内するwebサイト

「ヴァーチルカウスティネン」の動画

終了してからこの記事を書くことも遅きに失した感がありますが、来年、無事にこの民俗音楽祭が開催されることを願いつつ、「どんなお祭りなのか」歴史的な背景をご説明したいと思います。

※以下は私の卒業論文から引用しました。情報は全て、2002年12月17日時点のものです。行政区分など、変更があった箇所がいくつかありますのでご注意ください。

①カウスティネンKaustinenとは

カウスティネン民俗音楽祭の会場となるカウスティネンは、首都ヘルシンキから北へ500キロ、行政区分上は中央オストロボスニアKeski Pohjanmaa地方(地図5参照)に位置し、ハルスアHulsuaレスティヤルヴィLestijärviペルホPerhoトホランピToholampiウッラヴァUllavaヴェテリVeteliとともにカウスティネン地方自治体Kaustinen seutukunta(地図6参照)を構成する7つの教区seurakuntaの一つである。人口は、4437人(2000年1月31日現在)、総面積354,15 km2。「村の中心からどの方角へも600メートル歩けば森に入る」といわれるほど小さな村であるが、湾岸都市コッコラKokkolaから、中央フィンランドの学研都市ユヴェスキュラJyväskyläへのハイウェイの途上にあり、比較的整備された町並みが広がっている。主産業は林業であり、観光業(資料11~資料11-7)はカウスティネン地方を貫くペルホ川perhonjoki、レスティ川Lestijokiを中心とし、ハイキングや釣りといった自然を対象にしたものがほとんどである。
文化の面では特に音楽に力が入れられ、カウスティネンの旗(資料12)にはヴァイオリンが意匠として取り入れられている。グランドファーザーズクロックや各種の家具、織物、陶器といった民芸品(資料13~資料13-2)も知られている。またカウスティネンには健康村Terveyskylä(資料14)という施設があり、手かざしによる民間治療の中心地としても知られている。また、この村の施設として特筆すべきは、カウスティネン・フォーク・アーツ・センターKaustisen Kansantaiteen Keskus(資料15)であろう。これについては後述する。

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