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100日目に破産する会社員

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ギャンブルの魔力から逃れられるか? 新入社員の神倉は会社の同期に唆され、ギャンブルの沼に嵌まっていく! 会社員生活の光と闇が交錯するハイスピード現代活劇!毎日更新中!会社員、就活…
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#会社生活

100日目に破産する会社員 〜16日目 〜

「お立ち台の卓か、楽しそうだな」カジノでブラックジャックを遊んでいたら、武田が話しかけてきた。 Hooter Girlが直ぐ側で常に踊っている卓であり、傍目から見ると異様な感じに見える。 ダンスは見ていないんだと何故か言い訳してしまった。たまたま空いている卓に座ったのだと。 「そうか笑」武田はそれ以上深くは聞かなかったが、笑っていた。ダンスなしの卓より、若干還元率が悪いことを知っているのだろうか? ともかく酒でも飲むかという話になり、カクテルガールからバドワイザーを二本

100日目に破産する会社員 〜13日目 〜 第二章 幻惑のラスベガス

「黒!黒!黒!」神倉は韓国の仁川空港そばのカジノのルーレット台で絶叫していた。隣では武田も居て、武田はODD(奇数)に賭けているようだった。 二人はいよいよラスベガスに旅立ったのだ、だが安い便を取るために経由は多く、韓国とロサンゼルスを経由してラスベガスへ向かうルートになっているのだ。韓国での乗り換え時間に、空港そばのカジノに遊びに来ていたのである。 韓国のカジノは、外国人専用の所が多いが、れっきとしたカジノであり、現金を賭けることができる。 そろそろ腹が減ってきたので

100日目に破産する会社員 〜12日目 〜

「うおーっ!!あっーー!!」神倉は、カードをを少しずつめくりながら、何やら叫んでいた。いわゆるバカラの絞りである。 神倉と武田は、ラスベガスの日程も決まったので、ポーカー以外のギャンブルもやろうということで、メイドカジノにやってきたのである。 当然であるが、あくまでゲーセンの延長であり、チップ換金はできない。基本的にはメイドさんがディーラーをやってくれて、ゆるい感じの店である。 バカラでは、少しずつカードをめくるとカードの柄が変化すると言われており、絞りがやみつきになっ

100日目に破産する会社員 〜11日目 〜

「えっ!?ワンルーム新築マンション投資するのか!?」武田に、先輩に貰った勧誘のビラを持っていたところを寮内で武田に見つかったのだ。 なんでも、30年ローンを組むと、貸し出した家賃とローン返済が相殺されて、ほぼただでマンションが貰えるらしい。税金対策にもなってお得だと。 「これ、ほぼ詐欺の案件だぞ笑」武田が事細かに教えてくれた。 ・家賃が実際は途中から値下がりする ・空室期間を未考慮 ・修繕積立金やエアコン等の機材故障を計算に入れていない ・よって実際には手出しが大量に発生

100日目に破産する会社員 〜10日目 〜

「えっ!?上司からもう異動も、ローテーションも無いと言われたのか!?」寮の自室で、カードをシャッフルしている武田が声を上げた。二人でポーカーをしていたのだ。 神倉はウイスキーの水割りを飲み干し、悲しそうに話す。「神倉くんは、ずーっとこの部署にいてもらおうかな笑」らしいよ。 武田は一瞬悲しい表情をしたかすぐに、じゃあ丁度いいからラスベガスでディーラーをやれと言い出した。 ポーカーサークルで、ディーラーをやることもあり最近多少うまくなってきたのは事実ではある。だが、いきなり渡米

100日目に破産する会社員 〜9日目 〜

「占い師です!SINさんは、人狼でした!」武田が突如立ち上がり、神倉に向かって宣言する。 神倉に誘われて人狼ゲーム会に参加しているのだ。自分があまりにもポーカーにドハマリしているので、心配しているのか…もしれない?(ただ自身がやりたいだけの可能性もあるが) 人狼ゲームは、典型的な正体隠匿ゲームで参加者の中に隠れた人狼を探し出して追放するゲームである。人間を噛み殺せる人狼に対抗するため、占い師等の様々な役職で対抗する。 「え?え?え?」あれ、ちょっと待て?自分は人狼じゃない

100日目に破産する会社員 〜7日目 〜

「えっ!?今朝まで徹夜してポーカーしてたのか!?」社食の味噌ラーメンをすすりながら武田が大声を出した。 「いやいや、ネカフェで2時間くらいは寝たよ」寝不足で若干眼に隈が出来てしまっている武田が話す。 「え?土曜の昼も、深夜も、日曜の深夜もポーカーって、お前いきなりハマりすぎだろ笑」武田に直接言われると流石に自覚した。 ただ、武田自体はポーカーにドハマリしている自分を見て、えらくご機嫌になっていた。 この調子で、WSOP優勝を目指せとしつこく言われてしまった。 WSOPと

100日目に破産する会社員 〜6日目 〜

「カンパーイ!!」神倉たちポーカーオフの参加者達が、焼肉屋でビールを飲み始めた。終わった後に有志たちで打ち上げが始まったのだ。 「初登場で優勝とは、やるやん笑」武田が自分に話しかけてきた。帰ったかと思ったが、戻ってきて打ち上げには参加しているのだ。 「へえ?このカードガードが優勝商品か?」武田が自分に質問した。「そうそう!いいだろ!」、このポーカーオフでは、各自の不用品やお土産もを持ち寄り、それを優勝者から順に貰っていくという形式を取っているのだ。本場のカジノとは違い、賞金

100日目に破産する会社員 〜5日目 〜

「オールイン!」公民館の一室に、神倉の声が響いた。「コール!」見知らぬ相手プレイヤーもコールした。ショーダウンを促され手札をオープンする。現状は勝っているようだった。緊張のあまり心臓がバクバクする。 武田と一緒にポーカーオフに参加し、なんと初参加であと一人飛ばせば優勝(ヘッズアップ)という状況になっているのだ。 「優勝はSINさんです!」ぼやっとしていたら、残りのカードがオープンされ、気づいたら優勝していた。(ポーカーオフでは、ハンドルネームを名乗るのだが、名字から抜粋し

100日目に破産する会社員 〜4日目〜

「まぁそう気を落とすなよ、神倉」社員寮の食堂で、武田が缶ビールを飲みながら話す。 自分の配属先は、まさかの『安全管理』だったのだ。なんでも、工場内の安全規定策定やパトロールをやるらしい。 正直理系で大学院出てまでこの仕事かと思ってしまうと、落胆は隠せない。他の同期でも、『情報システム』や『品質保証』、『治工具』配属になり落胆していたものがいた。ちなみに武田は、『設計』部門に配属になったらしい。 「まぁジョブローテーション制度も当社にはあるし、とりあえず3年がんばれよ」 「

100日目に破産する会社員 〜3日目〜

「え!?どこの部署でも頑張ります!って言っちゃったの!?」 同期の武田が、社食の豚汁定食をかきこみながら、驚いた声で話す。 「神倉よ、採用時ならともかく、採用後の配属面談でそれは禁句だぞ。」 「人事からしたら、不人気な部署でも頑張るからどうぞどこでも入れてくださいと、解釈されちゃうかもしれないだろ?」 武田は、さも当たり前のことのように話す。 しまったな、緊張してついつい、希望通りの配属でなくても頑張れるかと聞かれて、そのように返答してしまったのだ。 まぁ大学院で制御工学

100日目に破産する会社員 〜2日目〜

「神倉、この前はお疲れさん。」同期の武田が社食のカツ丼を頬張りながら話しかける。 先日の麻雀は全くいいところもなく、散々な結果だった。勝つぞと意気込んだのは良いが、それからは一度もあがれず全て最下位になってしまったのだ。 武田と雑談していたら、長期休暇にラスベガスに遊びに行こうかという話が出てきた。なんでも武田は1度行って面白かったので、また行きたいらしい。ギャンブルの町ラスベガス、前々から興味があったのだ。 今日は午後から、部門配属の面談がある。きちんと熱意を伝えて、希

100日目に破産する会社員 〜1日目〜 第一章 悪友との出会い

「ロン!」深夜の雀荘に静かに声が鳴り響いた。俺は神倉学(かみくらまなぶ)、某機械メーカーに今年入社した新入社員だ。研修後の金曜深夜に麻雀で、同期と親交を深めていた所なのである。 「会長悪いな」あがったのは同期の武田という男だ。自分が今回の麻雀を提案したために、麻雀部会長という変なあだ名が早々についてしまった。 「はい、8000点」素早く点棒を渡した。 配属前面談を乗り越えて、なんとか第一志望の会社の、志望部門に配属することができた。 部署の決定はこれからだが、新しい社会人