マガジンのカバー画像

100日目に破産する会社員

50
ギャンブルの魔力から逃れられるか? 新入社員の神倉は会社の同期に唆され、ギャンブルの沼に嵌まっていく! 会社員生活の光と闇が交錯するハイスピード現代活劇!毎日更新中!会社員、就活…
運営しているクリエイター

#新入社員

100日目に破産する会社員 〜5日目 〜

「オールイン!」公民館の一室に、神倉の声が響いた。「コール!」見知らぬ相手プレイヤーもコールした。ショーダウンを促され手札をオープンする。現状は勝っているようだった。緊張のあまり心臓がバクバクする。 武田と一緒にポーカーオフに参加し、なんと初参加であと一人飛ばせば優勝(ヘッズアップ)という状況になっているのだ。 「優勝はSINさんです!」ぼやっとしていたら、残りのカードがオープンされ、気づいたら優勝していた。(ポーカーオフでは、ハンドルネームを名乗るのだが、名字から抜粋し

100日目に破産する会社員 〜4日目〜

「まぁそう気を落とすなよ、神倉」社員寮の食堂で、武田が缶ビールを飲みながら話す。 自分の配属先は、まさかの『安全管理』だったのだ。なんでも、工場内の安全規定策定やパトロールをやるらしい。 正直理系で大学院出てまでこの仕事かと思ってしまうと、落胆は隠せない。他の同期でも、『情報システム』や『品質保証』、『治工具』配属になり落胆していたものがいた。ちなみに武田は、『設計』部門に配属になったらしい。 「まぁジョブローテーション制度も当社にはあるし、とりあえず3年がんばれよ」 「

100日目に破産する会社員 〜3日目〜

「え!?どこの部署でも頑張ります!って言っちゃったの!?」 同期の武田が、社食の豚汁定食をかきこみながら、驚いた声で話す。 「神倉よ、採用時ならともかく、採用後の配属面談でそれは禁句だぞ。」 「人事からしたら、不人気な部署でも頑張るからどうぞどこでも入れてくださいと、解釈されちゃうかもしれないだろ?」 武田は、さも当たり前のことのように話す。 しまったな、緊張してついつい、希望通りの配属でなくても頑張れるかと聞かれて、そのように返答してしまったのだ。 まぁ大学院で制御工学

100日目に破産する会社員 〜2日目〜

「神倉、この前はお疲れさん。」同期の武田が社食のカツ丼を頬張りながら話しかける。 先日の麻雀は全くいいところもなく、散々な結果だった。勝つぞと意気込んだのは良いが、それからは一度もあがれず全て最下位になってしまったのだ。 武田と雑談していたら、長期休暇にラスベガスに遊びに行こうかという話が出てきた。なんでも武田は1度行って面白かったので、また行きたいらしい。ギャンブルの町ラスベガス、前々から興味があったのだ。 今日は午後から、部門配属の面談がある。きちんと熱意を伝えて、希

100日目に破産する会社員 〜1日目〜 第一章 悪友との出会い

「ロン!」深夜の雀荘に静かに声が鳴り響いた。俺は神倉学(かみくらまなぶ)、某機械メーカーに今年入社した新入社員だ。研修後の金曜深夜に麻雀で、同期と親交を深めていた所なのである。 「会長悪いな」あがったのは同期の武田という男だ。自分が今回の麻雀を提案したために、麻雀部会長という変なあだ名が早々についてしまった。 「はい、8000点」素早く点棒を渡した。 配属前面談を乗り越えて、なんとか第一志望の会社の、志望部門に配属することができた。 部署の決定はこれからだが、新しい社会人