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上麻生発電所取水堰堤(岐阜県加茂郡白川町)を訪れました~土木学会選奨土木遺産~

南飛騨への途中で

2024年秋に #南飛騨ArtDiscovery が開催された。
わたしも何度かサポーター、作品鑑賞等で南飛騨・美濃路を訪れ、楽しむことが出来た。

そのひとつが、飛騨川沿いにある #土木学会選奨土木遺産 である。
今回はそのひとつ、上麻生発電所取水堰堤を紹介する。

上流側

上麻生発電所取水堰堤

ダムと堰堤

2つの違いは何か。
それは高さの違い。
高さ15m以上をダムと言い、それより低いものを堰と呼ぶ。
ではどこからの高さかというと、基盤・地盤から固定部の天端までが高さをいうとのこと。

上麻生発電所取水堰堤の諸元は次の通り。

河川:木曽川水系飛騨川
目的:発電(といいながら、木曽用水の取水口でもある)
型式:重力式コンクリート
堤高:13.18m
堤頂長:74.54m
完成:1926年

堰堤を流れ落ちる水が、堰堤の表面を白く覆う様子が美しい。
また構造物も重厚な印象。
上麻生発電所取水堰堤には、現役日本最古のローリングゲートが設置されている。

下流側から

ローリングゲートとは、円筒形の扉体を回転させ、ラックピニオンギヤ又は鋼帯に巻き付ける事により上下させるゲートのこと。
扉部分が回転して上下するので、ローリングするのだ。

上麻生発電所

ちなみにという話になるが、上麻生発電所は堰堤から車で約10分ほど走った場所にある。
その上流の右岸側の谷筋に名倉ダムがあり、一旦そこで上麻生発電所堰堤からの水を受け入れて、調整池の役割を果たしているようだ。

上麻生発電所で発電に使われた水は、飛騨川に放流されている。

飛騨川は木曽川水系に属していているが、木曽川のほとんどの発電所が関西電力のものであり、検索を行うと「潮流主義」と「一河川一会社主義」がヒットする。

・関西電力東海支社は「潮流主義」と「一河川一会社主義」から成る

 松永安左エ門については、五大電力の一つであった東邦電力の実質的な経営者であり福沢桃介とも浅からぬ縁があることは既に紹介しました。関西電力東海支社に一番関連のある事業家としては、木曽川の水力開発を行った「桃介」の名前が一番に挙げられますが、支社の誕生に一番影響を与えた人物が「松永」その人なのです。
 先述の審議会で松永が唱えた方針は、9ブロック会社設立のほか桃介同様「一河川一会社主義」、発送電設備と建設中設備の所在地如何にかかわらず消費地に直結するものは、その主たる消費地の地区別会社に所属させるという「潮流主義」であり、まさに関西電力東海支社発足の諸条件を満たす考え方を主張していたのでした。
 最終的にはこの案を骨子とした再編成が実施され昭和26年5月1日、現在の9電力会社や関西電力東海支社も発足したのでした。

関西電力ホームページから引用

木曽川用水

上麻生発電所取水堰堤から250mほど上流に、独立行政法人水資源機構が管理する木曽川用水(上流部)の白川取水口がある。

というか、この投稿をまとめるまで気が付かなかった。
国道41号を走ると青い吊り橋が見えた。
あれが管理用の橋なんだ。

Googleなどの写真を見たところ、右岸側にはJR東海の高山線があり、その下にゲートを設け、上に管理が見える。
苦労された工事であることを想像する。

おわりに

上麻生発電所取水堰堤のほかにも、2つの土木学会選奨土木遺産を見てきた。
こちらについても、改めて紹介したいと思う。

では。

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てっさん
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