へそ
「あなた昨日、何してた?」
「え!?昨日? 昨日は…普通に会社に行ったけど」
「行って? で、それから?」
「それから、えっと…帰りに1人でご飯食べて…」
「それから?」
「それから? いや、普通に帰ったよ家に!」
「来たでしょ」
「き、来てないよ!何言ってんだよ」
「夢に!夢に来たでしょ!それで…私に説教したのよ」
「ゆ、夢?説教?」
「へそが長いって!へそが長いって!へそが長いって説教したのよ!」
「へーそー…」
「…………」
「そんなことで怒られるの、さすがにちょっと理不尽だなぁ。冷静に考えてみてくれ、それは君の夢だろ?君が生み出した夢の話だろ?僕には関係ないし、そもそも君のへそは長くなんかないよ」
「へーそー…誰と比べて?」
「いやいやいや、ここで論点をすり変えられたら、何の解決にもならない。君は何に怒ってるんだい?」
「…私」
「私?」
「怒ってんのよ!私は私に怒ってんの!へそが長いことくらい!長いことくらい分かってんのよ!ばか!」
「ばかって…これまた初歩的で幼稚で低俗で返答に困る罵倒の仕方だなぁ」
「私のへそ長いのよ。昨日のお説教、分かってる…ごめんね」
「うん」