M.Masako

森に還りたいし、仙女になりたい。

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  • 詩のようなもの

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    記憶のままに素描する

  • 短い小説のようなもの

  • お仕事

    久しぶりに会う人に「何してるの?」とよく怪しまれるので、お仕事案件を掲載していこうと思います。

最近の記事

半年ぶりにnoteを書いた。

    • 墓に生きる花

      お盆のころになると、家族でお墓参りに出かけた。 父方のお墓は熊本の山鹿というところにある。車でむかう途中、目に入ってくるのは道に立つたくさんの灯籠。街路灯として夜の街をやさしく照らす。8月には山鹿灯籠まつりがあって、浴衣姿の女性たちが灯籠を頭にかぶり舞いおどる。 熊本の夏は焼けるように暑い。思春期にもなると自我も芽生え、家族と連れ立って行動することへの恥ずかしさや反抗心、面倒臭さもあったかもしれない。炎天の下、使い古された寺の手桶にたっぷりと水を入れ、のしのしと運ぶ。墓の

      • 太い幹があるということ

        赤く美しい実をつけるセンリョウという木がある。正月飾りも使われ、縁起物としても親しまれている。 1月のはじめに生けて、いまもなおツヤツヤした赤い実が部屋を彩ってくれている。しかし枝切りしたものは、瞬く間に枯れてしまった。 センリョウだけではない。他の植物だって同じだ。幹があるものは長生きし、枝だけになったものは短命だ。 枝を手でしならせる“ためる”という技法がある。ためることによって曲線ができ、躍動感や美しさが生まれる。だが、太く固い幹はためない方が良い。幹はたっぷりと

        • 2021年の記録

          2021年は更新頻度が減ってしまった。来年はちょっとずつでも復活したい。

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          3本

        記事

          その日は、朝から1,000円が

          その日は、朝から1,000円がずっと気になっていた。 1,000円のことばかり考えていた。こんなことは初めてで1,000円、1,000円、1,000円、1,000円欲しいとか、1,000円下さいとか、そんな馬鹿げたことをずっと考えていた。 さんぽの途中、金ピカに飾られたハデな自動販売機が忽然とあらわれた。「いったい何なんだ!?」そう思って近づいてみる。“1,000円ガチャ”と書いてあった。 「1,000円ガチャ!?」 朝からずっと気になっていた1,000円とは、このこ

          その日は、朝から1,000円が

          見せない喜び

          noteをはじめて3周年記念。 お祝いをしていただいて何だが、日記を書くようになってnoteの更新頻度が減ってしまった。毎日つづられる、原稿用紙1枚分くらいの日常は、パソコンの中でひっそりとしている。なんなら、こっそり小説も書いている。 撮影した日々の風景は、そのほとんどが特に出番もなく、スマートフォンの中で高解像度のまま眠っている。 今日、久しぶりに絵が描きたくなって、あえて利き手とは逆の左手で描いてみた。子供みたいな絵。壁に貼った。 誰かのためではなく、自分のため

          見せない喜び

          家族のLINEグループでめずらしく兄と弟が子供の写真を送り合っている。兄弟の中で、生まれて初めて肩身が狭いと思った。

          家族のLINEグループでめずらしく兄と弟が子供の写真を送り合っている。兄弟の中で、生まれて初めて肩身が狭いと思った。

          モッコウバラ

          いつの頃からか、庭先にモッコウバラを沢山見かけるようになった。 漢字で書くと「木香薔薇」。原産は中国。キク科植物の根っこを乾燥させた「木香」と香りが似ていることから、その名前がついたと言われている。 卵色の花は、ふわふわと丸っこくてかわいい。モッコウバラの王冠で包み込まれたおうちは、どこかおとぎの国みたい。 青空に映えるモッコウバラは輝かしい。 夕日に溶ける寸刻にだけ、妖艶な表情を見せてくれる。

          モッコウバラ

          彼の人の居場所

          彼の人を見て思う、彼の人の居場所を。 人にはそれぞれ似合う場所があるように思う。その人がその場所を望むか望まぬかは置いといたとして。 学生時代の同級生に変な男がいた。図体は大きく、なんというかプロレスラーのそれのようだった。顔は妙に整っているが、変態感は隠しきれなかった。彼の生み出すものは狂気を孕んでいて、底知れぬ才能を感じていた。 ある日、八王子駅前の歩道橋でバッタリと出くわした。彼は地べたに座り込み、なにやら文庫本を読み耽っていた。声をかけてみると太宰治の『人間失格

          彼の人の居場所

          綺麗なだけでは嫌なのです

          最近、日記をつけ始めた。 今まで日記らしい日記をつけたことがない。夏休みの宿題も適当にまとめて書くタイプだったし、mixiの日記も頻繁に書いてはいたが、その日あったことを書き留めていたわけではない。 日記は、なんてことない日々の記録であり、思うことでり、誰にも見せないセキララな心のうちである。もしかしたら読み返すことはないかもしれないけれど、自分の言葉を自分で抱きしめて、いたわるような、私にはそんな行為に思える。そのせいでnoteの更新頻度が減ってしまったワケだけれども。

          綺麗なだけでは嫌なのです

          見知らぬ駅で

          電車を一駅、乗り過ごした。 見慣れない駅に降り立つと、重い雲の下には嵐のあとの空があった。紫と黄と透明と青、それから橙。 色とりどりの空には、あたかも希望とか未来とか、そんなものがあるように思えた。

          見知らぬ駅で

          2021.3.11

          たまに強めの地震がくると体がこわばる。忘れているようで忘れていない。体はあの日のことを確かに覚えている。 10年前の今日、私は埼玉にいた。仕事で麦わら帽子をつくる工場に来ていて、打ち合わせ中に強い揺れに襲われた。私たちは急いで外に出ると、揺れはますます強くなる。ぐらぐらと揺れるアスファルト。まるで豆腐の上に立っているようだった。グワングワンとしなる電信柱、危険を知らせる女性のアナウンスがスピーカーから流れ、不安定に空を覆う。歪む景色に何が起こっているのか分からなかった。

          花道

          とつぜんあらわれた花道。 きっちりと等間隔に並べられた椿の列は、灰色の世界にそっと色を添える。 誰がどんな気持ちで並べたのかな。ステキな仕業。 わたしとあなたと、あの子とあの子と、あの人とあの人。知らない誰かと知ってる誰もが、広がる間隔。 会わなくても、なんとなく画面越しでやり過ごせるようになった日常。 この先どうなるのかな。

          空が白い日

          胃がキリキリするし、頭も少し痛いし、寒い。 薄暗い部屋では、パソコンの画面だけが光っている。窓の方に目を向けると1、2、3、4、5、6、7、8個の屋根が見える。丘の上に立つ木々はいつの間にか緑色に茂っていて、空は白い。 今、何月だっけ?と、思う。3月だ。 時計の針を見ると17時を指していた。空が白い日は、ずっと白いままなので、夕方になっても気がつかない。 加湿器からモクモクと煙が湧き上がっている。屋上の清掃工事で空気の通りが良くなったのか、換気扇の音がこの部屋を支配し

          空が白い日

          旅の効用

          旅に出た。とても久しぶりの旅に。場所は福島県の南会津。 雪深い南会津の山奥にひっそりとたたずむタンボ・ロッジ。そこで2泊3日、のんびりと過ごした。 寒さをまったく感じさせない重厚なつくりのタンボ・ロッジは、なんとオーナーご夫婦の手作りと聞いて驚きだ。2年がかりで完成させ、かれこれ25年が経つという。建物だけではない、テーブルやベッドなどの家具までもが手作りだという。 ご飯もぜんぶ手作り。動物性の食材は一切使わないヴィーガンのペルー料理で、これがどれも美味しい。 ヴィー

          旅の効用

          マルタ食堂

          料理人の弟がめずらしく夢を語っていた。 「自分のお店を持ちたい。名前はマルタ食堂。」 お年寄りにも優しい健康的な食事を提供したい。父親が囲碁や将棋が好きなこともあって、遊べるスペースも作りたい。そう言っていた。 そのために、居酒屋やホテルのレストランなどで掛け持ちをして働いていたし、店長もやっていた。 このご時世、飲食業界はとても大変だろう。近所の多くのご飯屋さんでは、寒空の下、店員さんが店先でお弁当を売っている。 私自身も学生時代は居酒屋でバイトをしていたので、1

          マルタ食堂