コンビニエンスストア始めました

僕は4階建マンションの2階に住んでいる。間取りはキッチンと部屋が二つ。そのうち一部屋でコンビニエンスストアを始めた。日用品から食品、雑誌など一通りは取り揃えてある。デザートも山ほどある。ナプキンなんかの生理用品もちゃんとある。僕はこう見えて結構フェミニストの方なのだ。

会社を辞めたのは、ちょうど半年ほど前。上司が嫌だった。
昼どきにノソノソと出勤してきては、デスクでカップラーメンをズルズルとすする。特にメールを書いている時なんかはその音が耳障りで仕方がなかった。食後には決まってコンビニのデザートと珈琲。この時間が一番最悪なのだ。珈琲を飲みながら「俺が若かった頃はな…」「俺が新人だった時は…」と自分語りを聞かされる。週5でいつも同じ話だ。

コンビニには1日に1人か2人はお客さんが来てくれる。昼どきに来た常連さんとは、一緒にカップラーメンをすすることもある。二人で食べるのはとても美味しいし話も弾む。一見するとごく普通の人でも、ちゃんと聞いてみると実に面白い。普通の人生なんてどこにもないのだとしみじみ思う。

僕のファンだいう女性客もチラホラいる。お気に入りの子はいるが、まだ手は出してはいない。その代わりお店のデザートをおまけする。珈琲を飲みながら二人で話している時はとても良い感じだ。

ある日、風の噂を聞きつけて元上司がカップラーメンとデザートを買いにやって来た。珈琲もあるし、ここでラーメンとデザートを食べるのはどうかと提案してみたが、そのまま出社してまった。後ろ姿が少しだけ寂しそうにも見えた。

僕が言うのも何だが上司は仕事はできる思う。いくら遅く来ても資料を作るのは早いし、プレゼンも面白かった。通らなかった企画はないくらいだ。
僕もいつか自分の企画を通してみたいとも思っていた。

そういえば、週5で僕にしていてくれた話は何だったのだろうか。

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