【はじめましての自己紹介】普通の会社員が音楽セラピストになりました
皆さまはじめまして。音楽セラピストの藤基 里栄と申します。数あるnoteの記事からこの記事を選んでくださり、本当にありがとうございます。
会社を退職して音楽セラピストの道へ
実は、記事のタイトルにもあるように私は元々フルタイムの会社員として働いていました。20代後半に今後のキャリアについて悩んでいたとき、学生の頃から興味があった「音楽療法」の道にどうしても進みたいと考え、当時勤めていた会社を退職し資格を取得するために学校に通い勉強をしました。今は「日本音楽療法学会認定 音楽療法士」の資格を持っています。
そのため「音楽セラピスト」はもちろんのこと、「音楽療法士」と名乗ることもあります。もしくは「音楽を担当しています」、「ピアノ伴奏をさせていただきます」、「歌やピアノをご一緒させていただきます」など、状況に合わせてその時に一番合った言葉を選んで自己紹介しています。
音楽セラピストになった今は、「音楽セラピー 心の相談室」を開設し、セラピーにお越しいただいた方のお悩みやご相談を伺い、音楽を使って気持ちや思考の整理をするお手伝いをしています。
音楽といっても色々なアプローチがありますが、私のセラピーでは主に「ピアノでの即興演奏」を行います。楽譜通りの音楽を演奏するというよりは、「その場で音楽を作る」のがほとんどです。
相談者さまのお話を伺いながら、「今の状況を音楽に落とし込むとどうなるか」を実践しています。実際に相談者さまに「高い音と低い音、どちらがお好みですか」「こっちとこっちの音、どちらが今のイメージに近いですか」などと会話を交わしながらメロディーやベースライン、進行を作り上げていきます。
音楽セラピーの内容を一言で表すと「思考や悩みの可聴化」がしっくりくるかなぁ、と思います。そうすることでご自身の状況や考えを俯瞰することにつながり、次に取るべき行動か浮かび上がることが多いです。
セラピー終了後は、相談者さまに「セラピーで作った曲の音源データ」と、ご相談内容や作った音楽の解説などを記載した「音楽セラピーシート」をお渡しして、相談時の自分の考えや状況を見返せるようにしています。
音楽セラピストを目指したきっかけ
音楽に携わる仕事をしていますが、実は私は音楽大学を卒業したわけではありません。幼少期からエレクトーンやピアノを習わせてもらっていたのですが、大学、大学院では社会学を中心に学び、卒業後は一般企業に就職しました。
20代の頃は転職も多く、恥ずかしながら1つの職場で働いた最長期間は1年半ほどでした。それでも会社の仕事にはやりがいがありましたし、楽しいと思えることもありました。もちろん大変なことや落ち込むことも多く、一時期は月の残業時間が過労死ラインを越えることもあり、休職をしたこともありました。
そのような経験もあり、「働く人がほっとひと安心できるような音楽の場があるといいなぁ」と考えるようになりました。しかしながら、「働く人向けの音楽セラピーのサービスが中々見つけられず、それならばまず自分で始めてみよう!」と思い立ったのがきっかけです。
noteをはじめた理由:「音楽」セラピーなのになぜ「読む」の?
音楽セラピーを行っている中で、「音楽と書くことは、実は似ているかもしれない」と思うことが多々あり、noteでは「読んでほっと安心できる音楽セラピー」をお届けできればと考えています。
一般的に考えると、音楽は「聴く」ことが基本なので「読む」ことに結びつきづらいですね…。「なぜ音楽セラピーなのに読むのか」というと、「文章を書くように音楽をつくっているから」だと思っています。
音楽セラピーで相談者さまの話を音楽に落とし込んでいくときは、「なぜこのようなメロディーにするのか」、「なぜこのようなリズムなのか」といった理由付けが発生します。そうすることで状況の整理につながることが多いです。
もちろん、言葉にせず感覚で音を探していくときもあります。「言葉にしなくていいのも音楽の良いところ」なので、相談者さまと会話を交わしながら、直感的に音を選んでもらうのもセラピーにつながります。
そんな時は、ある程度音楽が出来上がってから「なんで今回はこんな音楽になったんだろう」と「原因や理由を探る作業」をします。その作業を通して状況を整理することにつなげていきます。
そうして見つけた「原因や理由、状況や自分の気持ちを書き出していくと、自ずと文章になっていきます」。そのため、「読んで癒される音楽セラピーのかたち」があってもいいのかな、と考えています。
音楽セラピストのお仕事内容
働く大人のための音楽セラピー(音楽セラピー 心の相談室)の他にも、音楽を使った仕事をしています。
1つ目は障がいがある方々の対人支援です。
歌唱や楽器演奏、合奏、創作、即興演奏などを通して、個人の生活の質の向上の手助けをします。これは「音楽療法」の側面が強く、障がいや個々の特性を踏まえ計画や目標を立てて進めていきます。
ここでは音楽に関わるスキルの向上を最終的なゴールに設定するのではなく、「今の自分を知る」や「自己表現したいことを知る」といった心理面に重きを置いています。
歌うのが好きか、それとも演奏するのが好きか、自分が演奏してみたい曲はどんな曲か、1人ではなく他人と音楽をすると自分に何が起こるか…など、「気づき」のきっかけの場になるよう努めています。
ある程度音楽を続けているうちに、例えば体に障がいがある方でも「自分はまだ楽器を握ることができるんだ」や「もっとこんな曲も歌ってみたい、演奏してみたい」という「気づき」が発生します。
最終的には、こうして「音楽を通して得た気づきや意欲を音楽以外の生活の場でも発揮できるようにする」のが仕事です。(実際にはこれを達成するのは非常に難しいのですが、日々努めています)。
2つ目は、ご高齢の方に対するサービスの実施です。
1つ目の障がいがある方への支援は小集団や個人で行っていますが、高齢者の方に対しては集団で行うことがほとんどです。ここでは個々の特性というよりは集団に対して働きかけます。
ある程度事前にこちらで実施する内容を決めて、1回につき1時間弱ほどの時間で、集団歌唱や簡単な合奏をメインにプログラムを進めていきます。
認知症のご参加者さまも多いため、音楽を通して日々新しいことに挑戦するというよりは「既に知っていること」を念頭に曲を選びます。そのため、昔流行した曲や幼少期、学生の頃に歌っていた歌など参加者歌の方が「懐しい」と感じる歌が中心です。
やはり音楽を使っている以上は、エンターテイメント性も求められていると思うので、どちらの仕事も「参加していて、楽しい!面白い!と思ってもらえること」を大前提としています。
もちろん、上記の仕事内容はほんの一例で、子どもの療育や病院、緩和ケア領域での仕事も存在します。また、障がいがある方に対して集団で音楽を通して働きかけるケースもあれば、高齢者の方に個人の音楽セッションを行う場合ももちろんあり得ます。
それぞれの現場で実施する内容や考え方も異なりますが、その時の状況や先方のご要望、使えるリソースなどを踏まえた上で、「今できる最善のサービスをお届けする」のがミッションだと考えています。
もちろん、こうした側面は音楽セラピーの仕事に限ったことではなく、会社や組織の仕事にもきっと共通することですね。
実は英語や文章添削の仕事もしています
冒頭で音楽セラピストと名乗っているものの、実は他の分野の仕事もしています。
1つは「英語関係の仕事」です。元々会社で英語を使う仕事をしていたため、その経験を生かしています。
現在は専門学校で英語の講義をしています。ビジネス英会話を中心に教えたり、文法の解説をしたりと幅は広いのですが、基本的には先方の要望に沿ってカリキュラムを考えます。また、ご依頼がある場合には実務翻訳も行っています。
もう1つは「文章添削の仕事」です。英語翻訳の仕事をしていることもあり、文章を組み立てることが多いのでそのスキルを生かしています。
主に学生の方が書く小論文や志望理由書、エントリーシートを拝見し、ご本人が伝えたいことがより読み手に伝わるようお手伝いしています。この仕事は対面ではなく、文章に対して文章で返すため、また違った面白味があります。
書くように音楽をつくる。そしてセラピーへ
「一見すると正反対のように思える音楽と書くことをつなげたら、自然と働く人のための音楽セラピーが生まれました」。
正直なところ、会社勤めを辞めて自分で音楽セラピーを始めるだなんて、社会人になったばかりの頃は想像すらしていませんでした…。生きていると色々なことがあるのだなぁと思います。
音楽大学を出ていない私が、音楽に携わることができるのか心配なときもありましたが、「やってみるとどうにかなるものだなぁ」とも思います。「音楽と書くことは私が好きなことでもあるので、こうして仕事ができているのは本当にありがたいことだと日々感謝の気持ちでいっぱいです」。これからも、日々スキルの向上に努めていきます!
今後、noteでも「読んでほっと安心できる音楽セラピー」をお届けしたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。
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