リテラシー for 有意義な議論
わたしはこのnote上で香港のことに言及することが多い。このnoteは日本人が目にすることが多いと思う。しかし、中国人の友達に対しても、私は同じように率直に自分の意見を言うようにしている。
あまり香港や中国について知らなかったときは、中国人に対して「日本ではこういう情報が出ているけど、中国人はどう思っているの?」ということが聞きにくかった。
だって、日本での情報は中国に対してネガティブなことが多いな、ということが分かっていたから。そして中国人もそれを知っている。「日本のメディアで中国のことを良く扱うことが少ない。」という認識を持っている。だから、私が中国リテラシーがまだ低い段階で、うまく質問ができなかった。
なるべく客観的に今起きていることを見てみたい。それが私の唯一の願いだ。そのためには中国人に対してうまく質問する必要がある。私の質問次第で、向こうも回答にバイアスがかかってしまう。日中関係について日本人と中国人が有意義な議論をするには、お互いに第三者の目線から客観的な情報を共有する必要がある。それには大変高度な知性・リテラシーが必要。そのゴール地点のことは分かっていたのだが、長い間うまく立ち回ることができなかった。つまり具体的にいうと、中国人に対して「中国共産党についてどう思っている?」とか「社会主義と資本主義についてどう思っている?」とか「今の香港についてどう思っている?」という質問をするということだ。このあたりの質問は、今はある程度日本リテラシーのある中国人となら議論できるようになってきた。(まだ領土問題は難しい。それは私にリテラシーが不足しているに他ならない。勉強が足りないのだ。)
昨日、初めて会う中国人と話す機会があった。彼女は貴州で生まれ、北京、上海、香港と渡り歩いて、いま日本で日本語学校に通っている。親は現在香港に住んでいるそうだ。
彼女曰く「香港は死んだ」という。
彼女曰く「香港の建物は古い」という。「香港で食べられる美味しいものは深圳や広州で食べられる」という。「香港はもうかつてのような魅力が無い。これは中国人はみんな知っているよ」という。
彼女は両親が香港に住んでおり、少なからず香港に利害のある人だろう。話していて非常にリベラルで、率直に彼女の意見を話しているように私は感じた。
確かに、私は香港にも数回行ったことがあるし、2010年以降に中国大陸にも何度も行っている。事実として、香港の建物は古いと思う。そしてとても狭い。隣の深圳と比べると特に建物の古さが際立つ。シェアバイクや出前配達などの便利なサービスも香港では発達していない。キャッシュレスも深圳に比べてかなりの遅れをとっている。
おそらく20年前は違っただろう。中国の中でも先進的な地域として香港は光り輝いていたに違いない。日本人の多くの旅行者が香港に向かっただろう。しかしそのような香港の価値は相対的に価値が下がっている。香港が特権的に持っていた発展は、中国本土の多くの都市に事実として抜かれてしまっている。金融セクターがどうとかいう話は一般人には関係が無い。一般人の目線から言って「香港の建物は古い」というのが多くを表している。
逆を言えば、香港の若者はかつて保持していた特権、つまり中国本土との相対的優位性がなくなってきたことを感じている。フラストレーションがあるだろう。不満があるだろう。それが今爆発しているのだろう。私はそのように考えた。