FEエンゲージ 所感
FEの新作FEエンゲージ。
今作は、風花雪月からパワーアップした点とパワーダウンした点が顕著に表れたと思う。
個人的な好みから言えば風花雪月の方が丁寧で良い作品だと感じた。少なくともメタ的な視点から見たとしても制作側がよく考えて手を入れたのだろうと感じられた。
取り敢えず悪い点→良い点の順で上げていこうと思う。導入から察せられる通り、恐らくこき下ろす記事になると思うし、そうしたいとすら思っている。
悪い点
ストーリー性が貧弱すぎる
本作はSRPGなので一定の物語があり、それに従ってプレイしていく。シミュレーションゲームでなく、SRPGであるためストーリーの重要度はそれなりにある。
本作は明らかにゲーム性を重視した作りになっているから、ストーリー性についてはそこまで期待をしてはいなかったが、それにしてもレベルが低すぎる。同人ゲーでももっとマシなものがあると思う。
インターネッツ上でもジャンピング土下座のくだりとかウケを狙ったようなキャラ付けで「ノリが寒い」「見ていて恥ずかしくなる」等と言われているようだが、自分にとってこれは大きな問題ではない。確かにストーリーは陳腐だし、キャラの会話の内容はクソつまらなくて無味無臭なものだったりしたが。
自分は、メタ視点から「こういうキャラは面白くない」等と考えてしまと作品の粗捜しをするようで純粋に作品を楽しめないから、登場人物に関してはそういう人間なのだと考えるようにしている。だからジャンピング土下座しちゃうのはそういう人なのだと思うだけ。むしろ現実にいないような人だからこそ興味が出てくる。
だが問題はその次。
興味が出るとそのキャラを知りたいと思い、ストーリーや支援会話を見るわけだが、そこで絶望する。会話がギリギリ成り立っていないか不自然すぎるか、その両方。
どこがどう成り立っていないか、というのを具体的に挙げるべきなのだろうが、そんなものは一々覚えていない。そもそも、思い出すと嫌悪感が溢れてくるから努めて忘れるようにした。それでも一つ挙げるとすれば「私は武器屋です」と自己紹介するモブ君。いや間違ってないんだけどさ・・・。普通「私は武器屋をしている○○です。」とか、せめて「私は武器屋を営んでいます。」だろ。I am 武器屋って、This is a pen.レベルの不自然さ。もういっそのこと黙ってソラネルに武器屋開業してくれよと思う。
抽象的に覚えているのは、普通に会話していれば当然出てくるであろう受け答えが無い、あるセリフに対する相手キャラの返しが不自然若しくは返しがない、そもそも一聴で日本語として意味を捉えにくい言い回しをしているといったもの。こういう場面が出てくると話しているキャラが「まともな言語を話すことができない馬鹿」のように見えてきて心底不愉快。SNSで頭の悪そうな文章を見かけるが、それをキャラが顔付き声付きで話している感じ。
各セリフを書いている人は読み直した時に違和感を感じなかったのか?およそまともに国語ができるのであれば書かないであろうセリフが多いのは、特に見直しをしなかった(する余裕がなかった)のか、書いている人がまともな国語力を持っていなかったのか。一体どちらだろうか?
同人ゲーでももっとまともなセリフ回し。頼むからラノベ以外のちゃんとした本を読んで日本語を勉強してくれ。
あと、セリフに対する受け答えが非常に不自然なのもどうにかしてほしい。SRPG故に当然ト書きが無いのだから、キャラのセリフ同士の受け答えは溝が無いように丁寧に書くか、若しくは存在しないト書きを補うだけのキャラモーションを入れるべき。それがないと、あるキャラの発したセリフを受け手のキャラがシカトしたような状況になる。
富野節のみたいにこういう欠点が醍醐味とされる場合もあるが、そういうものは「自然な受け答え」の範疇を超えたものではなく、最低限日本語になっているから成り立っている。アニメより情報量の少ないゲーム内でなぜこんな杜撰なことになっているのか甚だ疑問。前作風花雪月でストーリーやキャラがかなり作りこまれていた(といっても「~とはなんだったのか」のような点はあったが)だけに、一層悪さが際立っている。
UIがクソ
前作もあったが今作はもっとひどい。
まず挙げられるのが戦闘マップで一番上に出てくる「エンゲージ」。エンゲージが目玉なのはわかるが頻繁に使用する択ではないし、+ボタンでもできるのに何故「攻撃」より上に持ってきたのか?戦闘開始と同時にエンゲージするとでも?攻撃しようとしたらアニメーション付きでだらだらとエンゲージしだして舌打ちしたプレイヤーは多いのでは。というかそもそもこのアニメーションが必要だったのかさえ疑問。
次にキャラのステータスが見づらい。普通にステータスを確認すると、素のステータスに武器を加味した数値が表示される。だからキャラ同士を比較しづらい。しかも「体格」がどこにあるのかわかりづらい。終盤になっても「あれ?体格ってどこだったっけ?」となった。せめてもっと直感的に見やすくしてほしい。なぜステータス確認ごときでプレイヤーが暗記とか工夫を強いられなくてはならんのか。だるいから「ステータス確認」というコマンドを用意しろ。
あと訓練する場所とスキル解放する場所が分かれているのもクソ。なんで一々ロードさせるのか?しかもロードしたらその場所のギミックまで走って行ってAを押さなきゃならん。ロードがもっと早いならまだしも、スイッチじゃ無理なんだからさ。こんなの軽くプレイしてみれば怠いってわかりそうなものなんだが。もしかして(エッチな反応が聞けるだけでクソしょうもない)指輪磨きとセットでやらせたかったとか?
上位互換キャラが続々と加入する
キャラの加入タイミングが雑すぎる。章が1、2進んだら加入するってペース。しかも既存のキャラよりも明らかにステータスが高く、かつ上位兵種だったり。初期のキャラは余程愛が無いと残らないんじゃないか。まあセリフ回しが糞過ぎて嫌悪感抱くからキャラ愛なんぞ抱かないんだけど。
ハードまでなら遭遇戦で鍛えれば何とか使えるようになるが、ルナティックだと遭遇戦が滅多に出ないから既存のキャラの育成はほぼ不可能といってもいい。けれども敵は新たに加入したキャラに見合った強さで出てくる。だから既存のキャラでは攻略が極めて困難。
少しでも経験値を上げるのにもたつくだけで致命的。今まで物理アタッカーとして運用していた既存のキャラでも気が付いたらボスはおろか雑兵にすらダメージがまともに通らない、なんてことも平気で起こり得る。「体格」の要素も相まって、中盤以降では出撃するキャラは男と王族だけになるというのも良く見られる事象。
もう味方キャラは半分でよかったんじゃね?とすら思う。
細かいのを最後に挙げると
・最新章へ移動するのを選択するとワープでなく徒歩で移動し始める
・兵種を変更するときに下位と上位がごちゃ混ぜになっている
・戦闘マップでのキャラ移動のデフォルトが前作仕様の矢印でない
・戦闘マップで未行動のキャラを選択すると敵の攻撃範囲がズレてどこまでが射程になるのか一見してわかりづらい
くらいだろうか。もっとあったと思うがもう忘れたし、忘れた方が幸せだと思う。
良かった点
・BGMが良かった。
DLCとか邪竜の章とかもうどうでもいいから早くサントラだしてくれ。
・ゲーム性が向上した。
エンゲージのおかげで戦闘面で新たな面白みができた。単純にキャラを育成するのではなく、兵種や固有スキルとの相性からベストなコンビを考えるのは楽しい。
でもエンゲージによる恩恵の多くが単純にステータスが上昇する等ではない上に、その指輪の強みが具体的かつわかりやすく説明されることはないからSRPG初心者は「強そうな指輪つけたのに全然与ダメが増えないんだけど・・・」となるんじゃないかとも思う。
まとめ
シミュレーションゲームとしては前作よりも面白かった。
でもSRPGとして見ると粗の方が目立つ。話の流れをつかむためにストーリーを見るのだが、それが本当に苦痛だったので、いっそのこと①ストーリーを見る②ストーリーの概略を見る③ストーリーを飛ばす、という選択肢があっても良かったと思う。
・ゲーム性:★★★★★
・ストーリー性:★☆☆☆☆
・UI・操作性:★☆☆☆☆
・BGM:★★★★☆
これからDLCが追加される予定だが、もう起動することはないと思う。あとはサントラに期待といったところ。以上。