めんぱの病院、大井屋の存在
1月の半ばに差し掛かりまして、私の住むこの川根本町、千頭の冬の厳しさを痛感しております。
私の出身は「ちびまる子ちゃん」の町、静岡県の清水区でして。温暖の国でぬくぬく育ちましたので、雪を見ると走り出す人種です。寒さ対策もド素人なので、風は吹かねど家の中でウィンドブレーカーを羽織る始末です。
この地で生き抜く覚悟を持って、川根の気候に慣れていかねばと日々感じます。
さて年も明け、大井屋は年に一度のめんぱ修理期間に突入しました。
「作る」だけでなく「治す」仕事もするのが大井屋。年末まで受け付けた沢山の修理品を一斉に直していきます。
預かっためんぱたちを広げると100年前のものや、珍しい屋号のもの、独特な樺縫いのものなど、個性炸裂!!
ひとつひとつ眺めると、漆がほとんど剥がれたものや、お箸の跡がついたもの。落として欠けてしまった跡が伺えます。
それぞれのお家の食生活を支え、長年活躍したその姿は、どれも思わず見入ってしまいます。
そのあらゆる状態のめんぱを診ながら、割れや欠損の大きく難易度の高い修理まで担っているのが大井屋店主の前田さんです。
ぶっちゃけ、「厳しいぞ…」と思う依頼も、お客さんの想いを聞くと、引き受けてしまうそう。
そんな敷居を上げず受け入れる「みんなの漆器屋さん」スタイルな大井屋に私も憧れて就職しました。
「愛着があるから買い換えるのではなく、治して使い続けたい。」
その強いお想い故に多くのお客さんが、この山奥まで足を運んでくれます。
預かっているのはめんぱという「思い出」。
春に合わせて、みなさんの色んなスタートに間に合うよう、めんぱを元気にしてお返しします!
思い出を紡ぐ、そんな存在に職人として私もなりたいです。
Dr.前田から教わりながら、明日も地道に向き合おう。初オペ、キバっていきます。