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新型コロナウイルスから「本当に守るべき存在」を明らかに

▶症状が出る前から他の人への感染力があるためCOVID-19は「点」で広がり、気が付けばウイルスが蔓延している。
▶上下気道どちらでも増えるので、 重症化を引き起こす上に、軽症例でも感染力が強い。
▶ 現段階での致死率は7%程度。一方で、検出されないこともある症状の軽い患者も含めた場合、COVID-19致死率は約0.66%と推定される研究結果もある。(新型コロナ死亡率は推定0.66%、インフルの0.1%より高い傾向
▶発症してもおよそ8割の方が軽症で経過、重症化したのは14%程度。しかし、死亡率を見てみると10代から40代までの方は1%以下であるのに対して、50代で1.3%、60代で3.6%、70代で8%、80代以上となると14.8%と急に死亡率が高くなる。イタリアでは、死亡例の87%が70歳以上との報道もある。
▶糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制薬や抗がん薬などを用いている方も重症化しやすい。
▶検査前確率を上げたうえでPCR検査を行う事で、陽性の特定を行う事は可能であるが、無症状患者の特定は難しい。
▶スペイン風邪を例にとるとパンデミックがいったん収まったと仮定しても、第2波の発生をすぐに警戒しなければならない。言い換えると、ロックダウンを解除すれば、また第2波の可能性がある。
▶ 世界経済への影響を考えると、経済活動の抑制(ロックダウンなど)には限界がある。

 COVID-19の特徴を並べてみました。COVID-19は非常に感染力が高い一方で、無症状患者が多いことが分かってきました。また感染率に関して年齢によるバラツキはあまり見られないものの、重症化するのは圧倒的に高齢者や基礎疾患保有者に偏っていることもデータから見えてきています。検査数をむやみに増やすことができないため、検査によって無症状の陽性患者を特定することが難しいことを考えると、ウイルスを根絶やしにすることは難しく、いかに付き合いながら人々が生活を取り戻すかが鍵になります。

 であれば、重症患者をいかに抑えるかということに注力するために、守るべき対象を明確化して高齢者と基礎疾患保有者には継続的に徹底的な外出自粛要請と経済支援、重症化率の低い世代には感染対策を行ったうえで経済活動を再開させることが、感染対策と経済対策のバランスをとった最適解ではないかと考えています。そして、調べてみるとすでにスウェーデンがそのような対応をとっていたので紹介します。

高齢者を保護するスウェーデンの[COVID-19]対応策

 スウェーデンでは、高齢者は可能な限り隔離状態に置いて保護するものの、高齢者以外の社会経済活動の制限は、感染リスクの高い業態のサービス業の営業・利用自粛等に限定する形で最小限にとどめることで、高齢者以外の感染をある程度許容するプランを採用しました。

※このプラン近い方針を「緩和戦略」としてイギリスも一度採用したもの、途中で断念しています。

 本プランは社会活動や経済活動への制約を最小限にとどめられるというメリットがありますが、医療に強い負担がかかるリスクを孕む大きな問題を抱えています。感染症の発生者数のコントロールは難しく、このプランの場合には新型コロナウイルスのために提供できる医療キャパシティを一時的に重症感染者数が上回るリスクが予想されます。イギリスが断念した理由もここにあり、感染ピーク時の医療需要がキャパシティの8倍に達すると試算がなされていました。

 ただし、一人一人が「感染機会」を低減するように、リスクコミュニケーションの徹底で手洗い行動の徹底、発話時のマスク着用の徹底、飲食中の近接会話の自粛、屋内におけるあらゆるケースにおける換気の徹底等の「行動変容」を誘発すれば、医療崩壊リスクを低減し、消滅させることも可能となります。

 しかしながら、そうした行動変容を誘発しても、医療キャパシティを重症感染者数が上回るリスクが生じ、かつ、スウェーデンが行っているプランの実践においても、報道によれば、集中治療室(ICU)には80歳以上は入れない、60歳から80歳でも深刻な臓器不全がある人々は入れないなどの方針が示されているようです。つまり、このような事前ルールの設定が医療キャパシティを医療需要が上回った時に医療崩壊を生じさせないための歯止めになっていると考えられます。

スウェーデンの対応策に対する評価

 スウェーデンは上記の高齢者に対する保護政策以上にロックダウンを敷かず、重症化リスクの低い年齢層の早期の集団免疫獲得を目指すという側面が、大きな注目を浴びています。5月7日時点では、スウェーデンの新型ウイルスによる死者が3040人となり、2万4623人の感染が確認されていると発表されています。

 他の欧米諸国と比較して、3000人超の死者数は圧倒的に多いというものではありませんが、決して少ないわけでもありません。しかし、医療崩壊が現時点でまだ起きていない点、経済活動を止めずにこの結果を得られているという点では一定の成果が得られているとも考えられるでしょう。集団免疫が順調に形成されていると仮定したときに、第2波、第3波の感染拡大時にどのような結果が出るかでこの政策の真価が問われます。

現時点で、COVID-19に対するどのような政策が正解だったかは全く分かりません。皆さんが政治家であれば、どのようなアイデアを提案しますか。皆さんのご意見をぜひともお聞かせください。

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Mt.KYO
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