数学ギョウザ|#ショートショートnote杯
日本の若き数学者・杉田が、独自の演算で導いた宇宙の形は実に奇妙だった。
多数の銀河を薄い外殻が囲み、端が波打つように閉じていた。
学会会場で図を見た別の日本人が、
「ギョウザだ!」
と叫んだことから、この説はマスマティカル・ギョウザ・セオリーとして定着する。
当初一笑に付された杉田説だが、これを支持する研究結果が続々と出る。
中でも中国の権威Liu氏の成果は見事だったが、氏の「ギョウザでなくジャオズと呼ぶべきでは」とのジョークが、日中の国際問題に発展してしまう。
長い論争に終止符を打ったのもLiu氏だった。
氏により、異なる宇宙をつなぐ星間物質が証明されたのだ。これは明らかに、焼餃子の羽根であった。中国は主に水餃子。羽根などない。
「宇宙はギョウザだ。ジャオズではない」
氏の宣言によって、ギョウザの名が守られた。
杉田とLiu氏は、のちに揃ってノーベル物理学賞を受賞する。
パーティーで焼餃子と水餃子が供されたのは、言うまでもない。