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夢現

何もうまくいかない。何もない 抜け殻になったように 空っぽだけどどこかに欠損があって自分に何かを取り込むことができなくなる。入れても入れても、どこかからこぼれ落ちてしまう。こういう、気分が沈み込んだ時に限って、昼でも太陽は僕を暖めてくれず、暗い闇の中に葬ろうとするかのように、静けさを与えてくる。

ふと、神頼みや偶然を心の片隅で期待して なにも変わらず それでもダメならと藁にもすがる思いで天に祈りを捧げる。頑張らないとってプレッシャーだけ高まり モチベーションは上がらない。

 活力も意志も意欲も 

何もかもディメンターに吸い取られていったように 身体という外骨格だけ身に纏い 「人間」を演じている。


ポツポツ。

雫が落ちてきたかと思うと、とたんに勢いが増してシャワーになる。本来僕が放出したい悲しみの涙を空が代わりに流してる。傘もささず雨に打たれてネガティブを払拭してもらおう。美意識やカッコよさなんてない。あるのは無の世界。感情の起伏は起こさない…起こらない…


街を歩いていると色々な明るさがある。通りの街頭や道行く人の手にあるスマホ、ビルの一室の灯る照明といった光度だけでなく、カップルやブティックで働く人たちの笑顔といった雰囲気などが相まって、街全体が僕とは対照的に希望に満ち溢れている。建物や、人や、空気、時間や空間といったあらゆるものが自然と僕を拒絶しているようだ。している自覚はないのかもしれないし、無意識にそう感じるのかもしれない。だが僕は別次元に逃げたくなる。ここではないどこかへ。逃げ場のない現実から解放されたい…そんな気分


雨が止み雲の間からわずかに光が見える。流れきれなかった心の膿は心の奥底に沈み、凝集し心の臓の重みを増す。さらに濡れた僕の衣服が重みを増し、ダルさは二乗する。それに伴い、視線も勝手に下に向く。

下にかすかな光が見える。辺りは真っ暗だがほんの一ヶ所、空のように一部光を放っている。そんな光を手に取ろうとするも、光をつかむことはできず、辺りに波紋がひろがるばかり… 道端の水溜りに映った空だと気付かず、僕はこの手で光をつかもうとしている。必死に、ひたすらに。真偽が定まってないのである。


可能性が見えたら飛びつく。それが虚偽でもいいのだ。ただ前を向く勇気と希望があれば生きていける。夢を…持たせてほしい…理想を…追わせてほしい…

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