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農業で「仕事ができる」とは:数字で見る農業経営

農作業は俗人的であいまいなもの。
誰がどこをやったのか、この作業は何時間かかるのかなど漫然と作業していると分からなくなります。一方で、さまざまな要素を見える可して数字にしようとすると細かい作業が多くて収集が付かない。人を雇うとなった時、どう給与を決めて評価すれば良いか分からない。難しい!!💦

そんなことを考えていた時に本屋で「数値化の鬼」という本を見かけました。何をどう数値化するのが良いのか、農業にどう生かせるかを考えてみます。


「数字」とは

ここで言う数字は、暗算するとか会計知識があるとかそういう類のものではありません。

事実を客観視するための道具です。四則演算さえできれば使いこなせます。
「今日は暑い中、これくらい作業を頑張ったからいいや」などの感情を排せるのが特徴です。
数字で見て、これくらい進んだから順調、もしくは遅れているのか。
そんな判断材料にする「モノサシ📏」

その「モノサシ📏」の手に入れられます。

このモノサシを手に入れると

  • 数値化された評価を受け入れる

  • 自分の不足を数字として受け入れる

そして仕事のできる人間に成長できるようです。

売り上げを上げる行動量の管理

「仕事ができる」
これは何を指しているのでしょうか。

仕事ができる=評価者から評価を得られる
つまり、生きる世界において皆がすごいと思う結果を出しているということです。

農業界、ひいては梨界隈で挙げられる評価軸は、単収(1反当たり収量)・栽培面積・売り上げ・秀品率・玉の大きさといったところです。

俺は仕事ができるんだ!と自信があっても、他人が認める評価軸で成果を出せないのであれば当たり前ですが評価されません。

この評価軸で要領よく成果を出すためには、まずは行動量を数値化する必要があります。それに必要なのがPDCAを回すこと。それを繰り返せば行動量が増え、その結果、質も上がります。

梨の作業の中で言うと、一日で何本剪定するとか、何本摘果するとか、ここまでの期間でどこまでの仕上げ作業を終わらせる、とか。
また、毎日、毎週、毎年繰り返していると、数字のズレを受けて変化にも気が付けます。

以上の話は、人を雇った際の評価基準にもなるので、自分の中で一人前の評価基準を作っておくべきと思いました。ただ、この個人の数字が独り歩きすると「それを達成すればOK」という独りよがりにもなってしまいます。
全体の目標数値の上に成り立っていることを忘れないようにしなければなりません。

数値化で甘やかさない

良く言われることですが、現状維持は衰退です。
数値化によって行動量が最大化され、質も向上することが数字で管理することのメリットです。
しかし、数字は使い方によって自分を甘やかすことにもつながります。

梨で例えると、面積は10aで単収は5トン。一方は1ヘクタールで単収は2トン。農水省の公表データでは2・5トンくらいとされています。

単収だけで見るなら前者は、データの2倍。一方は0.8倍。
この数字だけ見ると前者だけがすごく見えますが、中身はそんなことないですよね。

経営方針は好みなので、小さい面積でこだわってやるのも良し、大規模にするのも良しですが、自分を甘やかす方向に数字は使わないようにしたいですね。

やるべきことも判断できる

仕事のどこを変えれば成果が上がるのか。
これを考えて実践するのがとても重要です。

ビジネスにおいて、すべての物事はいったん数字に置き替えられます。

数値化の鬼、p164

プレイヤーとして自分の仕事の変数を見つけること。次に、マイナスにつながる変数を減らすこと。これが仕事の成果に直結します。

この変数をどうやって見つけるのか。
それは仕事の中身を細かくし、時系列に整理することです。

摘果をする→仕上げ作業をする→収穫
という風に分けた場合、
比較できるのは摘果の時期と仕上げ作業の正確性。

事実として今わかるのは、摘果が早いほど実は大きいことと、仕上げ作業開花から90日までに完璧にやると実は大きくなるということです。

ここから分かるのは、摘果の時期は変えられませんが、仕上げ作業の正確性なら変えられます。ここで注力すべきなのは仕上げ作業ということになります。
人を増やせば摘果の時期も早めることは可能です。こうやって分解すればどこで何をするのが効果的なのか分かる気がします。

行程を分けて、数字で数えて、「なぜ?」を繰り返すための観察力の重要性を感じます。常に変数を意識して農業経営したいと思います。

まとめ

本を読みながら農業に置き換えてみました。

まずはコストと結果を数値化する。そして、より作業を細分化して「変数」を見つけて解決するということを学びました。

8対2の法則(パレートの法則)で、特定の要素の2割が全体の8割の成果を生み出すことと言われます。その特定の2割を探すことがこの数値化で可能だと感じました。経営の原則でよく言われる「やるべきことやる」の本質に触れたかもしれません。





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