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空なのに空じゃない乾電池の不思議
今回も買って良かったのもの(乾電池のチェッカ)と、その調査(特許と意匠)です。
機器によって異なる乾電池の残容量
平素の血圧を知っておこうと、気が向いた時に測っています。
上腕タイプの血圧計を使っているのですが、たまにしか測らないのに乾電池が空になった表示が点き、ポンプが止まってしまいました。
「もう乾電池が空」という表示が出て、使えなくなったハズの乾電池を他の機器に入れると、まだまだ使えました。
別に血圧計に限ったことではないです。要は機器によって乾電池の使える残容量というか、空の定義が異なるので、このようなことが起こります。
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なぜ、機器によって残容量の定義が異なるのか?
単1や単4といった乾電池はプラスとマイナスの端子間電圧が1.5Vとなっています。この電圧自体は、負荷がない解放状態(機器に取付けてない状態)では新品の時と空の時であまり変わらず、約1.5Vとなります。
じゃ、電池は空になってないのか?というと、空になっているかもしれません(笑)。
乾電池は新品の時には電流を一気に大量に流すことができて、空になるとチョロチョロと少ししか流せなくなるのです。
専門的には電池の内部抵抗値の上昇が電池残量を低下させる要因なのです。難しいことを抜きして、蛇口の水を想像してください。
蛇口をひねっても水がチョロチョロと出る状態では、水量は少なく使い勝手は悪いですよね。
少し話を戻して、血圧計で使えなくなった乾電池が、他の機器、例えば置時計で使えるのは何故か?
蛇口の水の例えで言えば、血圧計はトマトソースの付いたパスタ皿を洗うのに必要な水量で、置時計は塩を測った計量スプーンを洗うのに必要な水量だとイメージしやすいかと思います。
水がチョロチョロとしか出なくなった状態ではパスタ皿を洗うのには不向きですが、ほとんど汚れていない計量スプーンを洗うのには、まだ全然使えるレベルです。
つまり、血圧計は大きな水量が必要なので、水量が下がると「乾電池が空だよ」と知らせてくれるのです。
ということは、まだ水はそこそこ出るので、そこそこの水量しか使わない用途では、まだまだ使える事になります。
置時計のよう一度に大量の電流を流さない用途では、まだまだ使えるのです。
買って良かったもの
シンプルに、乾電池チェッカです。
1つのチェッカで単1から単5までが簡単に測れます。このチェッカがあれば、空だと思っても残量がどのくらいか分かるんです。使える機器を探して、再利用というか、再登板させてあげれば、無駄に捨てることはなくなります。
ちなみに、血圧計で空と判断された電池をキッチンスケールに入れ替えたら、動作しました。
一般的に大きな機械動作を伴う機器は、一瞬であれ一度に大量の電流を必要とするので、早い段階で動かなくなったり空と表示されやすいです。
血圧計だけでなく、機械仕掛けのおもちゃ、ハンディマッサージ器などが該当します。
動かず、音もなく、光ることもない機器は大抵、少量の電流しか必要としないので、再登板させるのには向いている機器です。時計、リモコン、電子辞書などが該当します。
特許・意匠調査
電池の寿命を把握したいという需要は、昭和の時代からありました。米国特許まで調べればもっと古いものが見つかりそうですが、日本のデータベースで一番古そうなのは現在のセイコーエプソンが出願した特開昭54-063328のようです。
この出願は、先ほど説明を飛ばした電池の内部抵抗を測る技術を使っています。内部抵抗を測らない別の方法もいくつか出願がありましたが、やはり乾電池の残量確認程度なら内部抵抗を測るのが一番簡単のようです。
私が購入したのは、旭電機化成のものです。同社からは実用新案登録第3157563号 が出願されていました。
ただ、形状は似ているもののチェッカの電池を不要とした技術なので、購入したものとは技術内容が違っています。
同社からADC-08という品番で販売されているチェッカが紹介した実用新案の技術を使っているようです(単純に見た目がそっくりなのでw)。
この会社のチェッカのいい点は、サイズ違いの乾電池を簡単に測ることができるように、プラス電極の位置がいくつか設けられいる点です。
こちらの電極構成は特許という訳にはいかなかったようで、意匠登録が2003年4月25日になされていました(意匠登録第1176810号)。
私が購入したものと同一意匠です。
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意匠権なら権利取得ができる可能性が高いので、意匠権を取得する選択をしたのかもしれません。
なお、本権利は存続期間満了日(2018年4月25日)で権利消滅しています。
最後に
少し前に紹介した車用のバッテリ寿命判定器は充電可能な二次電池用なので、充電できなくなる寿命の判断が重要です。今回のチェッカは使い捨ての一次用電池用なので、構成はとても単純になります。
意匠が完全に一緒という訳ではないですが、よく似た意匠の他社製品もあります。
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技術でオンリーワンというのも重要ですが、使い勝手という「機能美」が優れるというのも重要です。
心臓部となる技術だけに目も向けるのではなく、最終的な製品の使われ方を意識したオンリーワン製品を設計できる技術者に憧れます。
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最後までお読みいただきありがとうございます!
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