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老舗が起こしたティッシュペーパー革命

今回は買って良かったというよりも、愛用しているものと、その特許調査です。

ティッシュペーパーの革命

春先は特に手放せないという方も多いティッシュペーパー(日本語だとティッシュと省略することも多いので、本稿では以下、ティッシュとします)。
私は主に鼻をかむための鼻紙として使用することが多いです。鼻をかみすぎるとヒリヒリするので、冬から春にかけては保湿タイプのティッシュをよく使います。

あの、しっとり感は、ウエットティッシュとは違い、チリ紙にはない。
ティッシュの革命が起きたといっても過言ではないと思っています。

商品名でいうと、贅沢保湿・+Water(エリエール)、鼻セレブ(ネピア)、アクアヴェール(クリネックス)などが保湿ティッシュの部類に入ると思います。

ウエットティッシュはその名のとおり本当に濡れていて、おしぼりと同等ですが、保湿ティッシュはごく少量のグリセリンなどの吸湿性のある成分が含まれていて、結果としてわずかな水分(湿度)が保湿に寄与する仕組みだそうです。

いつ頃から販売された?

エリエールブランドの贅沢保湿は1994年から、ネピアブランドの鼻セレブ(※前ブランド名にて)は1996年から 、 クリネックスブランドの アクアヴェールは2011年10月から だそうです。
 
ということは、一番早そうな、エリエールブランドを展開する大王製紙の発明なのかなぁと思って、調べてみました。

はじまりは地方の老舗製紙会社

意外と簡単に分かりました。
普通にGoogleで「保湿ティッシュ 特許」と検索すると、河野製紙という会社が1993年に販売し、特許取得しているとの記載がありました。

疑い深い性格の私は特許検索(J-PlatPat)でウラをとりました。
やはり、HP記載のとおり、1993年に世界で初めて開発・販売した製品で間違いなさそうです。
具体的には、特許第2996319号として1999年10月29日に登録された出願が1993年6月22日に公開されていました。
なお、この出願以前に似たような出願はありませんでした。

この河野製紙ですが、高知の会社で創業は1892年。時は明治時代、日清戦争開戦よりも前となる老舗です。

従業員数は140名あまりで、冒頭のエリエール、 ネピア、クリネックスブランドを展開する各製紙会社と比べると、まさに蟻と巨人

巨大製紙会社とは違う視点で、「柔軟で肌触りにも優れる上、保湿性が有り、しかもウェブ屑(紙粉)発生の少ない、家庭用として好適な高水分含有性を有するティシュペーパー」(「」内は特許文章より抜粋)を 開発したなんて。

しかも、発明者は1名です。天才的な従業員がいたということでしょうか。
住所が埼玉県なので、埼玉工場の方かなぁと思ったのですが、住所が違いました。どんな関係の方なのか気になりますw

老舗の郷土愛か、社会貢献か

河野製紙は、この保湿ティッシュの他にも保湿関連の特許を取得しています。
高知県は製紙産業が盛んで、高知県立紙産業技術センターなる機関があります(H20の古いデータですが、出荷額ベースの全国順位は、障子紙、書道用紙が2位、紙製衛生材料が3位だそうです)。

特筆すべきは、保湿ティッシュの開発以後、この産業技術センターと他製紙メーカと共願の特許を取得したりしています。特許第4431992号(発明の名称:保湿不織布)などがそうです。
ちなみに、この特許は国等の委託研究の成果とのことです。

補助金が必要だったのか、産業技術センターとのお付き合い的な研究なのか分かりませんが、ちゃんと成果を出すところはすごいです。

自らの権利はちゃんと主張するが、自社のみで技術を囲う訳でもなく、地元の人達と協力して技術を進歩させている点には、頭が下がる限りです。

最後に

河野製紙は土佐和紙の流れを組むそうです。
意地悪なことをいうと、英語でいうtissueは薄い織物のことであって、言葉としてはティッシュと和紙は別物です。

⼿漉き(てすき)和紙 の技術の延長だと、織物のような滑らかな手触りが出ないために、保湿というアイディアにたどり着いたのでしょうか。

着想の背景をお聞きしたいものです。

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最後までお読みいただきありがとうございます!
特許調査に間違いなどがあれば、ご指摘をいただければ幸いです。


趣味と実益を兼ねようと、家電修理を始めようとしています。
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https://note.com/mswkshop/n/n60a1810d3724

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