ふりかえりをデザインする
どこかで書いたような書いてないような記憶が曖昧なのですが、私自身がスクラムマスターとしてふりかえりをファシリテートするにあたって、どうやって事前にデザインしているかを書いてみようと思います。
この手順が絶対!とも思っていませんので、あくまで一意見として読んでいただけると幸いです。
この記事は TDCソフト Advent Calendar 2024 19日目の記事です。
前日(18日目)の記事はこちらからどうぞ!
1. ふりかえりの対象期間を自分自身でふりかえる
数あるふりかえりのフレームワークからその期間に最も適しそうなものを選ぶためにまずは自分自身でその期間のチームの様子をふりかえります。
チームとして作成物の状況や進捗が上手くいった感じがしたのかどうか、みんながいきいきして楽しそうに仕事ができていたかどうか、コミュニケーションの量はどうだったか等、チームがどういう状態だったかを自分なりにふりかえります。
これをするためにはチームを普段から「観察」していることがとても重要だと思います。
「SCRUM MASTER THE BOOK」にもスクラムマスターのメタスキルの一つとして「観察」があげられるようにスクラムマスターとしてはとても重要なスキルだと思っています。
2. ふりかえりのテーマを決める
1でチームの状態をふりかえったら、それを元に今回のふりかえりのテーマを決めるようにしています。今回のふりかえりでどんな効果をもたらしたいか?を考えます。
実際ふりかえりをしてみてテーマに完全に沿ったようなふりかえりにならなかったという場合も無きにしもあらずなのですが、個人的に大事だと思っているのは毎回のふりかえりに目的・ゴールを持つことだと思っています。
そうすることでただやるだけのふりかえりにならないように気をつけています。
3. 今回実施するふりかえりのフレームワークを決定する
テーマが決まったらそれを達成するためのフレームワークを決めます。あくまでフレームワークなので使い方によっていかにでもデザイン可能だと思うのですが、それぞれのフレームワークに色や強みがあると思っているので、今回はどれが適切だろうか?を考えるようにしています。
何を元に決めるかですが、これまで自分自身が実践してきたフレームワークはもちろん、まだ実践したことのないフレームワークも多々あるので基本的にはふりかえりカタログとにらめっこをして決めるようにしています。
このふりかえりカタログは本当に素晴らしくて、ご存じの方もきっと多いと思うのですが、いつも自分はこちらを参考に選ばせてもらっています。
4. 当日のアジェンダを考える
当日のアジェンダを考える上では「アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセット」にあった5つのステップを元にアジェンダを作っています。
ふりかえりの場を作る
出来事を思い出す
アイデアを出し合う
アクションを決める
ふりかえりをふりかえる
残念なことにチームのふりかえりのタイムボックスがかなり限られることがあるので、1と5は省略することもあります。
逆にチームが立ち上がりの時は1の時間を確保して4の時間を省略する場合もあったりします。立ち上がったチームだといざふりかえりをしようとしてもなかなか思っていることをすべてさらけ出したりできないこともあるので、しっかりふりかえりの場を作って会話ができるようにすることを心がけます。また、まずはふりかえりに慣れることからという意味であえてアクションまでを決めることをせず、まずはチームがどうだったかふりかえってみよう!とふりかえり自体に慣れさせる意図で4を省略することを選んだりしています。
5. ふりかえりを実践する
ここまで来たらあとはふりかえりを実践するのみです。記載はしていませんが当然ホワイトボードや付箋、タイマーといった準備は欠かさず行います。
最近はリモートでの実施が多いこともありMiroを使って実施することがほとんどです。
アジェンダと一緒にタイムボックスもあらかじめ決めておくのですが、やはりふりかえりが白熱すると時間が押してしまうこともあります。
そうなることを見越して自分はあらかじめバッファを持たせていますが、バッファだけに頼るわけにもいきません。そこはファシリテーターとして議論を区切って次のステップに移る旗振りをすることもとても重要です。
ここまでが私が普段実践しているふりかえりのデザインです。実際もっといろいろ気をつけている点はあるのですが、内容が細かすぎて文量が多くなってしまうので、色々と省略している所はありますが、大枠はこのような流れで組み立てています。
ふりかえりのやり方を毎回変えないやり方もある
今回書いた方法だと基本的に毎回ふりかえりのやり方が変わることになります。
ですが、あえて毎回同じやり方を実践する方法もあります。実は今の私のチームでは毎回のふりかえりを変えていません。
ふりかえりの方法を変えないメリットとしては準備が楽になることはもちろんですが、それとは別に大きな要因があると思います。
同じふりかえりのやり方を取ることによってふりかえりの状態からチームの状態を観察することができる点です。
例えば最も有名なふりかえりフレームワークである「KPT(Keep・Problem・Try)」を例にあげてみます。
チームがいつもよりもKeepの付箋が多かったときはチームがポジティブな状態である表れだと見ることができます。そういう時は何をきっかけにチームがポジティブだったのか?をより重点的にふりかえることで良かったことをさらに良い結果につなげるためのアクションが取りやすくなります。
逆にProblemが多くなったときは何か上手くいっていない状態を表していると捉えることができるので、どこにその原因があるのか話し合い少しでも次の期間がよりポジティブなものするためのアクションを考えることに繋げられます。
ここまで書いておいて何なのですが、つまりふりかえりのデザインに正解は無いと考えています。
大事なのはふりかえりに目的・ゴールを持たせることです。それを意識できるかできないかでチームのふりかえりが変わってくると私は思っています。
ぜひみなさんのふりかえりの何かいいきっかけになれればうれしいです。