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【キンタマ1つ無くなった時の話】最終回






工夫しながら入院生活を楽しむ僕!遂に手術当日!剛田先生が出迎えに来てくれて励まされながら手術室へ!イチゴフレーバーの全身麻酔を堪能!目が覚めるとそこは病室だったのだ!!!




目が覚めたのは18時か19時くらいだったと思います。




最近おかあに実家の特Aコシヒカリ20kgと大量のしゃぶしゃぶ肉を送ってもらったのでお礼LINEをしたついでにインタビューをしたところ意外と早く目覚めたと仰っていたので間違いないと思います。






おかあ「まさお疲れ様〜。無事成功したよ〜。先生呼ぶね。(ナースコールを押す)」



僕「よかった〜。」



山口よかった〜。キッカケで剛田先生と婦長さんがやって来ました。



剛田先生「山口君お疲れ様でした。手術は問題なく無事成功しました。」



僕「ありがとうございます。本当ありがとうございます。」



剛田先生「まだ麻酔が残っているので安静に。今日はゆっくり休んでください。」



僕「はい。」



剛田先生「あとその「くだ」について婦長さんから説明させて頂きますね。では。」



僕「はい?」









下半身を見るとチンチンのおしっこが出る道の中に「くだ」が通されていました。



くだの先にはシャンプーの詰め替えパックみたいな形の透明なおしっこ入れがありました。






すでに結構な量のおしっこが入っていてこれには僕もびっくり!婦長さんニッコリ!






全身麻酔が終わった後しばし排尿がままならなくなる為に施される処置、尿道カテーテルと呼ぶそうです。





僕のみんなより早く生え揃ったチン毛を刈り取っていった満島ひかりさんによく似た婦長さんに伝えられました。









おかあが帰宅し一人の病室。


ふつふつと湧き上がる実感。







僕は意を決しました。








ズボンを下ろし、キンタマを目視で確認する事にしたのです。









僕「わぁ〜。本当だ。キンタマ1個だ・・・。」











左キンタマ命日


2005年1月24日(月)










僕「ありがとう。左キンタマ。何十年も待たせるけど、天国ではまた一つになろうね。」



左キンタマ「ややこしいわ。」



欲しいツッコミをくれる左キンタマ。



僕は安心して眠りにつくのでした。














翌日夕方頃、チン中(ちんなか)のくだを抜きました。




僕の初チン毛(ういちんげ)を刈り取った経験もある婦長さんがそれはもう慣れた手付きで一気に抜いてくれました。






オエッと嗚咽するような気持ち悪い感覚の後すぐに、異物が無くなりスッキリした感覚が訪れたのを覚えています。






解き放たれたおちんちんと一緒におばんばんご飯を食べるとおかあがやって来ました。




なんでも今日はこれから手術結果の説明があるらしいと聞きました。






ええなにそれ?とりあえずやってみるか。
ここが手術結果の説明会場かあ。すいませ〜ん。
おい!ソバ打ってる時にドア開けんじゃねぇ!湿度が変わるだろ!
げえっ!ここ製麺所じゃん!って事はこの隣の部屋か。すいませ〜ん!
剛田先生「どうぞ〜」







無事説明会場にたどり着き椅子に座ります。剛田先生が棚から僕のカルテを取り出します。




A4ファイルに2〜30ページ。一丁前の厚さになったカルテが出て来ました。




手術が滞りなく終わり、今後も今まで通り生活をしても大丈夫という説明を丁寧にしてくださいました。






僕「本当にありがとうございました。」



剛田先生「あと・・・」



剛田先生が続けます。



剛田先生「摘出した睾丸どうしますか?」



僕「え?どうしますか?ですか?」



剛田先生「希望がある方にはお渡しすることもできるんですよ」



病院で摘出しようがその体の一部は持ち主の物という考えが根付いているらしく、このやり取りは今もどこかで行われています。




はるな愛さんが術後自らの睾丸を持ち帰り冷蔵庫に入れておいたらおばあちゃんがらっきょうと間違えてカレーに入れちゃって食べちゃったという、キンタマ史上最強のエピソードがございます。




僕「あっははは!いえ大丈夫です!いらないです!え?おかあ欲しい?」



おかあ「え〜大丈夫です!へその緒じゃあるまいし!」



一同「あはははは」










剛田先生「山口さんの睾丸の一部は医学の為に研究などに使わせて頂く事もあるかもしれません。」



僕「え?僕の睾丸の一部は医学の為に研究などに使わせて頂く事もあるかもしれないんですか?」




一旦頭は使わずに口を動かしました。




詳しく聞くと摘出後の部位というのは全部もしくは一部をホルマリン漬けにして一定期間病院に保存されるらしいです。




術後の経過を観察したり、研究などに使われたり使われなかったりするらしいです。




確かに若い少年の病気したキンタマは貴重だと思います。








僕「・・・お願いします!僕のキンタマでよければ!」




キンタマに携わっている人の元に届き更にキンタマの見識を深めるもヨシ!



医学生の元に届いて僕のキンタマを囲み座学をするもヨシ!



医学部教授「みなさんごきげんよう。今日までよく頑張りました。さて、最終試験です。このキンタマを顕微鏡で観察し、持ち主の身長、体重、年齢を当てなさい。」もヨシ!






世の中のキンタマ達の為にキンタマを差し出しました。






僕は高卒ですが、僕のキンタマだけは医学部でキャンパスライフを送ったかもしれません。






あなたのお父さんのキンタマを、あなたの彼氏のキンタマを、救ったかもしれません。






あなたの息子のキンタマを、救うかもしれません。






キンタマの代わりに、とても素晴らしい夢を頂いたのでした。








ただ、いざ差し出すとなると最後に一目会いたくなるのが親心。






僕「あの、摘出したものって見れますか?」



剛田先生「写真で良ければすぐ見れますよ。」



僕「、、、見せてください。」



剛田先生がカルテから一枚の写真を取り出しました。



おかあと覗き込みます。



想像していたキンタマとかけ離れたキンタマがそこにはありました。








まず、思ったよりデカい。






グーかと思いました。








さらにそこにキンタマと体をつなぐ太い神経的な物もついていて、全体の形を例えると数字の6もしくは9のような形でした。






いつもこの状態のキンタマを説明する時に僕は握り拳を作り、親指がある側を手首くらいまで見せてこんな感じだと説明するのですが、ほんとそんな感じでした。






さらに腫れ上がった部分も含めると僕のキンタマが日本で1番デカかったです。そう落ち込まないでください。






そして色、みなさん金色だと思うのでしょうが違います。








薄ピンクです。平素のチン先と同じ色です。








そんな健康な薄ピンクキンタマに覆い被さるように黒い悪魔が巣食っていたわけです。



陰陽道を表す白と黒のマークのようになっていました。



陰陽師の責務を全うし普通の小学生に戻った僕はやや軽くなった体で診察室を後にしました。






一週間入院をし体を休めて退院することになりました。








さあ。おかわり冬休みの始まりです。



朝ごはんを食べてこたえてちょーだいに始まりいいとも、ごきげんよう。



昼から夕方にかけて各階のロビーで雑誌をあさり晩御飯を食べて元気な体でお見舞いに応対。


義キンタマ(ぎきんたま)の提案を断ったりしながら過ごしました。



もう怖いものなんて何もありませんでした。










そんなある日、退院間近のお昼。







?「山口くーん?失礼しまーす。」



僕「はーい。」



ギャル「あー今日は大人しくしてるねー」



僕「えっへへ!」



安室奈美恵さん似のギャル看護師、通称ギャルが立っていました。



ギャル「山口君手術お疲れ様〜!」



僕「ありがとうございます!」



ギャル「山口君お風呂入れてないでしょう?」



僕「はい〜入れてないです〜。」



ギャル「シャンプーしてあげよっか!」



僕「(ふぇぇぇぇぇぇ!?)ふぇぇぇ!?」






落ち着いて短いふぇに収めます。




入院してから一度もお風呂に入れていない僕を気遣ってギャルがトンデモ采配を提案してきました。






ラブストーリーは突然に。






ギャル「大丈夫?」



僕「(うん!うん!うん!)ええっ!?いいんですか!?」



ギャル「もちろんだよ〜!ほらこれ!セット持って来ちゃった!」



ギャルがシャンプーとリンスのセットを顔の高さに掲げます。



美しい光景でした。



僕「お願いします、、、!」



ギャル「じゃあ洗面台行こっか!」



歩いてすぐの洗面所に向かいます。



学校にあった水飲み場が更に長く伸びているような形です。



朝、患者さん達が顔を洗ったり歯を磨いたりするスペースです。






ギャル「お湯出して〜、、、っと、これくらいでいい?熱くない?」


お湯と水でバランスを取るタイプの水道を調節し、その小さな手を行き来させお湯の温度を確かめるギャル。



僕「大丈夫です!!」



今も昔もギャルに全幅の信頼を寄せる僕はお湯を触る事なく返答しました。



ギャル「こらちゃんと触って〜」



僕「(わぁ!スケベなニュアンスがある言葉だ!俺嬉しいなぁ!)、、、えっへへ!あ〜!めっちゃちょうど良いです!」



ギャル「よ〜し頭出して〜」



僕「フェイ」



おじぎするような形で頭を差し出します。



洗髪が始まりました。



ギャル「かゆいところない〜?って美容室みたいだね!あははっ!」



僕「えっへへ!美容室みたいですね!」



一旦頭は使わずに返事をします。



ギャル「どう〜?久しぶりのシャンプー気持ち良いでしょ?」











確か僕は「最高です!」


くらいの返事をしたと思いますが、


本当は全然違いました。






一週間ぶりのシャンプー。



個人的に一番タイプの看護師さんによる洗髪。



他のお仕事ならネイルアートでも施したいだろうに、深爪とも言えるくらいに整えられた爪。



美容師顔負けの、程よく指を立てた洗髪。




立てられた指の近くの脳みそで僕はこう考えていました。
















「(キンタマ1個取ってよかった。)」











僕の人生最大の「結果オーライ」が起きました。











夢のような時間はすぐに終わり、最大限の謝辞を述べてお祭りが終わりました。






このように退院までの数日間はたくさんの先生や看護師さんが、手術までの日々とは違った雰囲気で応対をしてくださいました。






砕けた雰囲気でやり取りをし、たまに世間話。ああ僕はもうすぐ退院するのだと実感しました。



大雪が降った日に外を眺めていると吉高由里子さん似の看護師さんが訪れて、僕が退院する日に非番だからとお別れの挨拶に来てくださいました。



最大限の感謝と僕の地元の関川村は5月まで雪が残っているという鬼盛りエピソードを披露しました。






退院当日。おかあと荷物をまとめました。



まず最初に同室の伊藤さんに挨拶をしました。



伊藤さん「山口君頑張ったね〜おめでとう。二人部屋だから、寂しくなるな〜。」



伊藤さんは目に涙を溜めてくださっていました。



僕「お世話になりました。たくさんお話してくださってありがとうございました。」



思わず僕も声が震えてきたので元気に頭を下げて病室を出ました。



他にも世間話をしてくだっさった患者さん方に挨拶をしに行きました。



ナースステーションへ行き先生方、看護士さんに挨拶をし、病院を出ました。
















こうして、僕のキンタマはお空に旅立っていきました。




これを機にと、思い出せるだけまとめさせて頂きました。




長々と爆笑して頂き、長々と感動の涙を流させてしまい申し訳ありません。




お付き合い頂き本当にありがとうございました。











一つだけお願いのような事をさせてください。




このエピソードの中にイメージ仮名で登場した方々の本名は16年経った今でもハッキリ覚えています。




苗字ではありますが、おかあと名前を出し合って昔話ができました。








ただ一人を除いては。






その名前が思い出せない方とは、
















ギャルです。








各国の言葉での「マジかよ〜!!!」




受け止めます。




どうしても思い出せないのです。




ギャルはたしか新卒の看護士さんで、一番年齢が近かったのもあってお姉ちゃんのように接してくれました。




会いたい人に会わせていただく番組に出られる事が会ったら、ギャルを探して頂きたいとずっと思っています。




今も看護師さんをやっているのかも、新潟にいるのかも分かりません。




どうか、万が一心当たりのある方がこの記事を読んでいましたら僕に連絡をして頂きたいです。




もちろんギャルでなくとも当時病院で働いていた方や同じタイミングで入院していた患者さん方と連絡が取れたりなんかしたら、ちょっと泣いちゃうくらい嬉しいです。











計算し尽くされた、美しい文章ながらも笑いを取りこぼさないスタイルの物語から降りてお願い事をしてしまい申し訳ありません。






奇跡を何卒宜しくお願い致します。








それじゃあお待ちかね!エンディングです!











病院から出るとカラッとした冬晴れが僕を迎えてくれました。



おかあのスバルのPLEOに乗り込みます。



右手には大好物になったミルクセーキのホットドリンク。






おかあ「コンビニ寄るよ〜。今日は好きな物買いな〜!」



僕「よっしゃ〜!!」



左キンタマ「おい右キンタマ、聞こえる?」



右キンタマ「えっ!?左キンタマ!?左キンタマなの、、、?」



左キンタマ「そうだよ!手短に!昌孝を任せたぞ!俺は医学の役に立っちゃうからね〜!」



右キンタマ「左キンタマ〜」



左キンタマ「おい聞いてたのかよ!いつまでも泣いてんじゃねえよ!」



右キンタマ「ねぇ!最後昌孝になに伝えようとしてたの!?僕伝えておくよ!」



左キンタマ「えぇ?あぁ、いやそんな事はさ、、、」



僕「おかあちょっと先トイレ行ってくるわ〜」



左キンタマ「やべっ!俺行くわ!」



右キンタマ「ねぇ聞かせて!」



左キンタマ「いや俺がむしろ聞きたい!お前一人でやっていけそう!?」



右キンタマ「いや大変だよ〜。だってさぁ、、、昌孝さぁ、、、」



左キンタマ・右キンタマ「すぐキンタマパンパンにするんだもん。」



左キンタマ「だろ?」



右キンタマ「あはっ!!揃った!!」



左キンタマ「なら大丈夫!じゃあな〜!」



右キンタマ「あぁもう!、、、うん!またね〜!」











僕「(トイレトイレっと、、、わぁぁ、、、う〜ん。さすがにエロ本買ってって言ったら怒られるよな〜)」
















-完-


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