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Frederic Magnien フレデリック・マニャン

昔からブルゴーニュを飲んでいる人たちには、彼のさいきんの評価の高さにびっくりしている人も多いでしょう。ぼくもその一人で、彼の造るワインは濃い、重たい、濁っている、というイメージが強く、当時の印象は、ブルゴーニュというよりは新世界のワインに近かったです。

それもそのはず、ぼくが飲んだ2000年頃といえば、ロバート・パーカーが一世を風靡していて、どこもかしこもパーカー好みの味わいに近づけようと躍起になっていた時代でありました。

そのころのフレデリック・マニャンはというと、当時の日本のインポーターが輸入の際に、彼が造るワインをまず樽で買い、そのワインを特別に新樽100%のものを造らせてから輸入していたのです。
でも実際の彼のワインは、新樽比率は50%以下だったそうです。

なぜそのようなことをしていたかというと理由は簡単で、日本でもパーカーポイント高得点のものが売れ、濃い味わいのものが歓迎されていたからです。

とはいえ、かれが造るワインは、ブドウの収穫は今よりも遅く、過熟気味だったのは事実。
わざとらしいほどに濃いワインを造っていました。
そういう造り手はこの頃ブルゴーニュにたくさんいました。
売れるワインか、本当に造りたいワインか。
多くの生産者が、時代の流れに沿うか、自分らしいワインを造るかを悩んでいた時期でもあります。

フレデリック・マニャンもそうした葛藤のなか、自分の信じた道を突き進むという決断をしました。
2010年頃から有機栽培を徐々に取り入れ、太陰有機法に従った栽培や醸造を行ってます。


最近のフレデリックは、よりいっそう自然で人為的介入を少なくする方向に向かっており、そのおかげか、フレデリック・マニャンのワインは変わった、と評価されるようになりました。
そしてそれがまた今の時代の流れに乗ることとなり、彼はよりいっそう自信をつけました。
いまのフレデリック・マニャンは、ネゴシアンではあるもののドメーヌと変わらない仕事ぶりにますます評価が上がっていき、いまのような地位に昇りつめたのです。

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