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D&D雑感:コミュニティに「世界観の自作」を示したい

版元ウィザーズ・オブ・ザ・コースト直々の日本展開や映画、ゲームといったメディア展開の影響で、確かにダンジョンズ&ドラゴンズが盛り上がっている事を感じる昨今ですが、初心者が増える中で、少し私が懸念している事があります。

多元宇宙には無数かつ無限に多様な設定が存在する。うち、複数のものが、D&Dの公式セッティング(世界設定)として刊行されてきた。(中略)そしてこれらの名高い世界のほかに、さらに無数の世界がある――何世代にも及ぶD&Dプレイヤーが、自分たちのゲームのために作り上げた世界が。この豊穣な多元宇宙のなかに、君もまた、君自身の世界を作り上げることになるかもしれない。

『Player’s Handbook』(2014年版)「はじめに」より抜粋

その懸念というのは、世界観の自作という行為が浸透しないまま、新たな日本のD&Dコミュニティが成熟してしまうのではないかというものです。

確かに『Dungeon Master’s Guide』や『ターシャの万物釜』、『フィズバンと竜の宝物庫』といった本では、オリジナルの場所やNPCを用意し、世界観に組み込むための情報が数多く掲載されていますが、それでも用途がわからなかったり、興味がなければ意味がありません。

現状初心者が多いであろう日本のD&Dコミュニティとしては、世界観をDMが自作するという行為はハードルが高く感じられます。
しかし同時に、国内で素人だらけの手放しで発展したクトゥルフ神話TRPGという前例においては、SNSでシェアできる、既成のシナリオによる「広い範囲での共通体験」が目立った―TRPG全体からすれば視野が狭まっていると言える状態になった現状を見るに、日本人の間で自然発生的に注目され、コミュニティの一角をなすという事も考えにくいのです。

既に日本で人気のシステムでは既に熟成されたコミュニティがあり、主流のプレイスタイルが確立されてしまっていますし、別にシステムがそういった行為を推奨している訳でもありません。
オリジナルの世界観をあてがう事なら他のシステムでもやろうと思えばできますが、「ルールブックにそう書かれている」という事が認知されるだけで、日本人にとっては気が楽になるのです。
そして、それこそがメディア展開に依らない、他の日本でのメジャーシステムやその気風と比較した際のD&Dの強みだと私は考えています。そうではなく、ただファンタジーが欲しいだけならどうせソード・ワールドやアリアンロッドなどでいいということになってしまいます。

「TRPGはコンピューターじゃないのでより柔軟な解決法が許される」そういった自由度を期待してTRPGを始めても、GM第一の感覚(?)や共通体験を意識しすぎるせいで思うように遊べず、辛い経験をされた方もいらっしゃるでしょう。
事実、共通体験などへの固執に対して、SNSでも槍玉に挙げられる事は度々あります。しかし、それ程までに問題視されるのならば、そういった方向性にうんざりしたり、悪い印象を抱いてしまった、もしくはTRPGに興味がなかった人々まで、TRPGの違った魅力を届けることで、新たなコミュニティを形成し得るのではないでしょうか?

私自身も何かできないか考えていますので、思いつき次第お送りしたいと思います。

(2024/02/21追記)私自身も、手探りかつ手前味噌ながらオリジナルの世界観でのD&D配信を行う予定です。
詳しくは以下の記事にて。


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