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ヴォクス・マキナの伝説をTRPG側から解説してみた Season1 #3(第6~12話)

この記事は「ヴォクス・マキナの伝説をTRPG側から解説してみた」の続きとなる。#1では『ヴォクス・マキナの伝説』の原作となるTRPGセッション『Critical Role』についても紹介しているため、まだ読んでいない方は#1から順を追って読むことをお勧めする。

ネタバレ対策のため内容はストーリー展開に合わせていくつかに分割している。今回は第1期後半、ホワイトストーン編完結となる第6話から第12話までの登場分を紹介する。

第6話

バッグ・オヴ・ホールディング(パーシー)

パーシーが秘密兵器の新手の銃を袋に入れるシーン、明らかに入りきらないサイズの袋に入っていたが、これはあの袋がバッグ・オヴ・ホールディング ― 外見以上に中身を詰め込める魔法の袋だからだろう。早い話が四次元ポケット。冒険の中で多数の装備や戦利品を運びたい冒険者達の必需品である。

続く第7話でもグロッグが同様の袋から斧を取り出してる。

ライトニング・ボルト(スキャンラン)

「ライトニィィィング!」の歌と共にスキャンランの楽器から放たれる電撃は、そのものずばり「ライトニング・ボルト」だ。本来バードは習得できないが、これもビグビーズ・ハンド同様、知の学派の特徴で習得していると思われる。

第7話

コミューン・ウィズ・ネイチャー(ケイレス)

冒頭、ケイレスが太陽の樹の根から情報を得るシーン、これは「スピーク・ウィズ・プランツ」よりもさらに大規模な「コミューン・ウィズ・ネイチャー」と言える。周辺(地上なら3マイル≒4.8km、地下なら300フィート≒91m)の情報を得ることができる。

マイナー・イリュージョン or プレスティディジテイション(スキャンラン)

スキャンランが笛を吹くと、別の場所から音が鳴り始めた。これは「マイナー・イリュージョン」だろう。音か物体の幻像しか出現させられない上に効果時間も1分と短いが、初級呪文なので低レベルから使用できて回数制限もない。

(2022/02/24追記)また、「プレスティディジテイション」でも同様の事ができる。射程が少し短いが、ドルイドの「ドルイドクラフト」同様に、一つの呪文で細かい事がいろいろできる。

衛兵がTRPG?

屋敷を逃げ回るスキャンラン。逃げ込んだ先の部屋は4人の衛兵がテーブルを囲んでサイコロを振ったりなどしていた。まさにこの姿こそオフラインでTRPGをプレイしている様子そのものである。一人は仕切りを前に出していたが、これはゲームマスターがプレイヤーに見られないように情報を管理するためのものだ。スキャンランが部屋に入る前に英語原文では「Roll to see if you hit.」という声が聞こえており、攻撃がヒットしたかどうかの判定を行うところだったようだ。

瞬間移動のポーション(スキャンラン)

スキャンランが緊急時に飲んだポーションは、瞬間移動を可能にするものだった。D&Dの公式のデータ上にこのようなポーションこそないが、「ディメンション・ドア」「ミスティ・ステップ」など、いくつかある瞬間移動の呪文のような効果を一定時間使用可能にするものなのかもしれない。

(2022/02/24追記)見落としがあった。ポーションは「ブリンク」の効果だったのかもしれない。ルールによれば効果は一定時間ランダムに姿が明滅するというもので、まさにスキャンランの身に起きた通りの効果である。

ポーション・オヴ・ディミニュション(スキャンラン)

続いてスキャンランが飲んだのは縮小化のポーション。これは「ポーション・オヴ・ディミニュション」として存在している。サイズ区分で1段階分小さくなる効果なので、元々”小型”のノームだったスキャンランは1サイズ分小さくなって”超小型”に相当するサイズになっている。効果時間が明らかに1時間もなかったのは御愛嬌。

ポーション・オヴ・ファイアー・ブレス(スキャンラン)

最後の一本は火を吐くことができる「ポーション・オヴ・ファイアー・ブレス」。これも明らかに3発以上使用しているが、またしても御愛嬌。

ボーンズ・オヴ・ジ・アース(ケイレス)

ヴォクス・マキナの面々が突入する中、ケイレスはヴェクスの足元の地面から岩の柱を生やし、射線を確保した。地面を操ってこのようなことができる呪文は「ストーン・ウォール」もあるが、『ザナサーの百科全書』収録の「ボーンズ・オヴ・ジ・アース」の方が挙動は近い。ちなみに、ボーンズ・オヴ・ジ・アースは同時に6本まで作り出せる他、天井と挟むことができれば攻撃にもなる。

第8話

キュア・ウーンズ(ケイレス)

ケイレスはけが人の救助に薬草と併用して治癒の魔法を使用していた。ゲームのデータ上はパイクが使用するキュア・ウーンズと機能は同じだが、他は何もかも違う。

D&Dでは魔法はどこからくるのか、どのように発動されるのかは呪文の説明には必要最低限しか書かれていない。それ以上はクラス、そしてキャラクターによっても違うものだからだ。前回のデライラ婦人の呪文の項でも書いたが、それがTRPGというものだ。

死亡判定

D&D5eでは、プレイヤーキャラクター(やGMが決めた一部のNPC)はHPが0になっても、一度に大ダメージ(最大HPによる)を受けたのでなければ、まだ気絶扱いとなり、「死亡セーヴィング・スロー」で死亡するかどうかを判定する。成功すれば容態が安定化し、しばらく後に起き上がれる他、この時に応急処置に成功しても容体安定化扱いとなる。また、呪文やポーションでHPを回復すれば、すぐに立ち上がれる。

モンスター:アニメイテッド・アーマー

屋敷でパーシーを取り囲んだ動く鎧。ドラゴンクエストの「さまようよろい」などでお馴染みのこれも、D&Dから鉄板のクリーチャーである。

カンジャー・バラージ(ヴェクス)

続く動く鎧との戦いの中でヴェクスが放った増える矢。また設定上はギルモアの店で買ったアイテムかもしれないが、これもレンジャーの呪文として存在する。また、矢ではなくナイフなどの投擲武器も使用できる。貴様が何秒動けようと関係ない処刑を思いついた…

ドミネイト・パースン?(アンダース)

アンダースがグロッグにヴァクスを攻撃させた精神操作、あえて対応する呪文を挙げるなら「ドミネイト・パースン」だろう。前回名前の挙がった「ドミネイト・ビースト」の対人版で、相手を完全に操ることができる。
ただ、一度に4人も5人も寝返らせていたので、そもそもドミネイト・パースンではなくNPC固有の能力としておいた方がいいのかもしれない。というかそもそもゲーム上で一度にあんなに操ってしまえば敵の勝利はほぼ確定だろう。

スカイライト?(ケイレス)

一行が作戦成功を伝えるべく、ケイレスは雲を操りデ・ロロ家の家紋を空に描いた。
明確にこれと言える呪文は見つからなかったが、『ザナサーの百科全書』収録の「スカイライト」に近い。このライトというのはlightではなくwrite、空に雲で文字を書くのである。今回ケイレスが作り出したのは文字ではなかったが、これぐらいならGMもOKを出してくれる範疇かもしれない。

第9話

おまけ:パーシーの銃器

ちょうどパーシーの新作銃「バッド・ニュース」も登場したので、パーシーの銃器に関する原典の設定も解説しよう。

Critical Roleのセッションにおける銃器のデータは、D&D5eの『ダンジョンマスターズ・ガイド』に掲載されたものと異なり、『パスファインダー』第1版の銃器のデータをモデルに設定されている。公式版との主な違いはダメージ量と、ヒット判定のダイスの出目次第で弾詰まりを起こし不発になる可能性があることである。「ガンスリンガー」のサブクラス含め、詳細なデータはCritical Roleのスポンサーを務めたことのある公認データ管理サイト『D&D Beyond』にて公開されている(英語、セッション当時と異なる可能性があります)。

#1にも掲載したが、今回の解説のついでとしてこれらのデータを翻訳したものを公開している。

●ザ・リスト
パーシーが普段使用しているペッパーボックス(回転式弾倉と銃身が一体化した形態を持つ黎明期のリボルバー拳銃)。6つの弾倉のうち、5つにそれぞれ復讐相手の名前が刻まれ、撃ち殺す度に消えていく。しかし、表示される復讐相手に関して、まだ何かあるようだが…(9話時点)。
アニメでは登場していないが、原典のデータ上は追加で火炎ダメージと冷気ダメージを与える弾倉が1つずつあることが確認されている。

●バッド・ニュース
本人曰く「未完成」のスナイパーマスケット。今までのペッパーボックスより大型で強力な分、一発毎にリロードする必要がある。

コーン・オヴ・コールド?(ケイレス)

ゾンビ達との戦いの中でケイレスが冷気を発する呪文を使用した。原典ではケイレスは雹を降らせる「スリート・ストーム」、氷を降らせる「アイス・ストーム」を使用したとWikiにあるが、手から放射状に発される様子は「コーン・オヴ・コールド」の方が近いように見える。ちなみにセッション当時の正規のルール上では、ドルイドの場合、サブクラスとして「土地の円環」、そしてその円環(ドルイドの集まり)が守護する土地に「極地」を選んだ場合のみ使用できる(のちにどのドルイドでも使用可能にするサプリメント(未訳)が出ている)。

余談だが、このシーンの後のヴァクスや第12話のヴェクスはケイレスを「キキ」と呼んでいるが、日本語ではKeylethの読みが「キーレス」ではなく「ケイレス」になってしまっているため、ニックネームの由来が少々分かりづらくなっている。

アストラル・プロジェクション(パイク)

一行の前に再び現れたパイク。「魂の投影」として現れたが、原文では「Astral Projection」。超高レベル専用ではあるが、実際にプレイヤーが使用できる呪文にある。通常は物理世界と重なり合った「アストラル界」に出現するため、物理世界に出現するにはポータルが必要になるが、こんな高レベルの呪文も使用した上ポータルを用意するとは、やはり神は格が違った。

ちなみに、この形で登場したのはメタ側の事情がある。パイクのプレイヤーは当時ドラマの撮影でその場でセッションに参加できず、時折スケジュールが合った場合にSkype通話で参加していた事が元ネタとなっている。

レッサー・レストレーション or グレーター・レストレーション(パイク)

蝕まれたスキャンランの腕を治すパイク。これは「レストレーション」系呪文だろうか?ルール上書かれている内容としては、「レッサー」は盲目や毒の状態や病気の治療、「グレーター」は能力の低下や石化、魅了、呪いなどの効果の治療である。

フレイム・ストライクorアンデッド破壊→スピリチュアル・ウェポン(パイク)

続いて戦場のゾンビ達を一掃するパイク。もちろん光の攻撃、そして飛び回る武器にはネタ元がある。

まずはザコゾンビを一掃した光。これは「フレイム・ストライク」だ。「フレイム」とつくので火炎系と勘違いしてしまうが、呪文の説明には聖なる光を降り注がせる呪文といった旨があり、[光輝]ダメージを与える。

(2022/02/24追記)もう一つ、候補として「アンデッド破壊」が見つかった。クレリックは早いうちから周囲のアンデッドを退散させる能力があるが、これがレベル5になると一定以下の強さのアンデッドは即座に破壊できるようになるというものだ。

続く「スピリチュアル・ウェポン」は一定時間霊体の武器を召喚して攻撃させ続ける。効果時間中、通常の攻撃とは別で毎ターン行えるため、純粋な火力の底上げになる。

クルセイダーズ・マントル(パイク)

そして街の人々を勇気づけ、エヴァーライトの力を授けるパイク。戦の領域のクレリックが使用できる全体強化呪文に、「クルセイダーズ・マントル」がある。周囲の味方の攻撃に[光輝]ダメージを上乗せするものだ。それぞれの強化量は小さいが、全体強化な上に複数ターン続くのでかける相手が多ければ多い程強くなる。

第10話

ディテクト・イーヴル・アンド・グッド(パイク)

復讐相手を見つけると様子がおかしくなるパーシーに対し、パイクは聖なる力で邪悪な力を感知した。「ディテクト・イーヴル・アンド・グッド」の呪文だ。悪魔系だけでなく、第5版の仕様では超常的な生物や聖なる力や邪悪な力の宿った場所ならなんでも感知できる。

フレイムタン・ダガー(ヴァクス)

ヴァクスが暗い所に光を灯すのに使った、刃から炎を噴き出すダガー。ファンタジーでは定番のこういった武器は、武器種を問わず、D&Dでは「フレイム・タン」(炎の舌)と呼ばれる。

ちなみにD&Dの影響の色濃いファイナルファンタジーでも、多数のシリーズ作品でこの名前が登場している。

光の波動?(パイク)

ゾンビを軽々と倒したパイクの光の波動だが、そのものずばりと言える呪文は見当たらなかった。初級呪文「セイクリッド・フレイム」が近いが、これは聖なる光を頭上から降り注がせる呪文と説明されている。

(2022/02/24追記)これもアンデッド破壊かもしれない。

メイジ・ハンド(スキャンラン)

ビグビーズ・ハンドを維持するのに追加の小さな手を作り出してリュートを弾いていたが、これは「メイジ・ハンド」だろう。
初級呪文ゆえか、攻撃には使用できずあまり重い物も運べない。
ただし、精神集中を必要としないので、ビグビーズ・ハンドと併用はできる。

ヒーリング・ワード(パイク)

部屋に閉じ込められ、上がり続ける酸液。最終的に一行を救ったのは、グロッグとパイクの機転だった。酸でダメージを受け続けるグロッグをパイクは遠隔で回復したが、これこそ「ヒーリング・ワード」だろう。精神集中のような描写も複数ラウンド継続して使用したと解釈できる。
まさにTRPGらしい機転に溢れた名場面である(原典wikiによれば違う展開だったようだが…)。

第11話

パワー・ワード・スタン?(デライラ婦人)

戦闘が始まるやいなや、デライラ婦人が早速グロッグを跳ね飛ばし行動不能にした。NPCな上に言葉は発していないのでまた特殊な何かかもしれないが、プレイヤーが使用できる範疇で敵を朦朧状態にするといえば「パワー・ワード・スタン」だろうか。「パワー・ワード」といえば最近の日本ではインパクトのある言葉という意味で使われがちだが、原義は文字通り力を持つ言葉である。

エンタングル(ケイレス)

ケイレスがサイラスに放った絡みつくツタの呪文。ツタを絡みつかせる呪文として、「グラスピング・ヴァイン」以外にも「エンタングル」がある。こちらはツタ一本を操るのではなく雑草や蔦を生い茂らせ、拘束するついでに地形を移動困難にする。「グラスピング・ヴァイン」と異なりレベル1から使えるので幅広くお世話になることだろう。

サイレンス(デライラ婦人)

呪文を唱えようとするスキャンランに「シー」とお口チャック。これは「サイレンス」呪文のような効果だろう。アニメではスキャンラン単体に対してかけているような描写だったが、実際のD&Dでは範囲内の音を聞こえなくすることで、音を発する必要のある呪文や会話、音波攻撃を止めることができる。

ガイディング・ボルト(パイク)

飛び上がったパイクがサイラスに向けて一撃、これは「ガイディング・ボルト」だろうか?もし当たればサイラスは光り始め、攻撃が当たりやすくなっていたのだろう。

20面サイコロ目(スキャンラン)

ピンチの時に守りに来てくれたパイクに対し、目がハートになるスキャンラン。サイコロの目にハートが描かれているが、面が三角形かつ他の面が広がっているので、これは20面体と思われる。そしてD&Dで20面体と言えば、能力判定、攻撃判定、セーヴィング・スロー(抵抗判定)の3つに使う20面ダイス。第3版以降では他のダイスに比べて使用回数が非常に多く、D&Dの代名詞になっている。

サンビーム(ケイレス)

太陽の樹と心を通わせ、サイラスにトドメを刺したケイレスの一撃。ドルイドが使用可能な呪文の中に、まさしくこれと言える呪文があった。それが「サンビーム」だ。太陽光ゆえにヴァンパイアのようなアンデッドは抵抗判定に不利(2回20面ダイスを振って低い方の値を使う)がつく。

プレイヤー・オヴ・ヒーリング or マス・ヒーリング・ワード or マス・キュア・ウーンズ(パイク)

戦闘後、一行をまとめて治療するパイク。D&Dにはいくつか全体回復の呪文があるが、細かい違いがある。
「プレイヤー・オヴ・ヒーリング」は低レベルな代わりに唱えるのに時間がかかる。
「マス・ヒーリング・ワード」は通常の攻撃や呪文とは別枠の「ボーナス・アクション」で行える代わりに回復量が少なめ。
そして「マス・キュア・ウーンズ」は一番呪文レベルが高い上に、通常のアクションを使用する分同時に回復できる数も、回復量も多い。

デライラ婦人はウォーロック? / エルドリッチ・ブラスト、影の書

デライラ婦人は「ささやかれる者」と契約しているような口ぶりだったが、「ウォーロック」クラスを選べば、プレイヤーもそういったキャラクターを作る事ができる。

専用の初級呪文にほとばしるエネルギーを放つ「エルドリッチ・ブラスト」があり、時折戦闘で見せていた闇エネルギーの元ネタの一つだろう。

また、これで呪文書を持っている事にも説明がつく。レベルが上がっていく過程で選べる能力の一つに「書の契約」というものがあり、契約相手から得た「影の書」の力によって追加で初級呪文を追加習得できる(本来ウォーロックが習得できないものも含む)というものである。

ウォーロックのサブクラスは契約相手で決まるが、デライラのようにアンデッド系と契約するサブクラスは原典のセッション当時でも『ソード・コースト冒険者ガイド』収録の「アンダイイング」があるほか、のちに『Van Richten’s Guide to Ravenloft』(未訳)に別バージョンとなる「アンデッド」のサブクラスが登場している。

「ささやかれる者」、またの名をヴェクナ

デライラが復活させようとした、第11話の邦題にもなっている「ささやかれる者」。
『ヴォクス・マキナの伝説』はライセンス上D&Dとは独立しているので、この名前で出てくることはないと判断して紹介するが、原典セッションではその真名が「ヴェクナ」であることが明かされている。
その出自や詳細は第2期以降のネタバレになると思われるので、詳しい内容は割愛するが、D&Dの世界の中でも有数の有名キャラである。

第12話

ジガラットのオーブ

デライラ婦人の儀式の後に残った、魔力をかき消し、触れた物を破壊するオーブ、その性質には二つ元ネタがある。

一つはクレリックやウィザードのプレイヤーが使用できる呪文「アンティマジック・フィールド」。相当の高レベル呪文となるが、こういった対魔法領域の展開もプレイヤーキャラクターが行うことができるほか、一部のモンスターもこれに相当する領域を展開する能力を持つ。

もう一つはマジックアイテム「スフィアー・オヴ・アナイアレーション」。空間そのものに開いた穴を魔法で安定化させたもので、触れたありとあらゆる物を簡単に破壊してしまう。この部分に関しては、オーブ自体が回転しているなど、細かい性質が本家と異なるCritical Roleオリジナル仕様となっている。

ヒーリング・ワード(スキャンラン)

3人目となる回復呪文使い。スキャンランが覚えていたのはヒーリング・ワードだけだった。

呪いの武器(グロッグ)

サイラスが落とした剣を拾ったグロッグだったが、それは使い手に殺意を与える呪われた剣だった。ファンタジーではまたまた鉄板の呪われた武器は
D&Dにも存在している。
例えば、ソード・オヴ・ヴェンジャンス(復讐の剣)はダメージを受けた相手を攻撃したくなる呪い、バーサーカー・アックス(狂戦士の斧)なら一番手近な相手を攻撃する呪い、といった具合である。

トランスポート・ヴァイア・プランツ(ケイレス)

戦いが終わり、太陽の樹の根でポータルを作るケイレス。超長距離を移動している、そして他の生物も移動していることから、これは「トランスポート・ヴァイア・プランツ」の呪文で間違いない。同じ世界の中であればどれだけ離れていても、知っている植物のある場所になら移動できる。

あとがき

ついに第1期の12話の解説が終了した。飽きずに全話解説できたのも、皆さんの期待と自分のD&Dへの情熱のおかげだと思っている。
もし第2期が決まっていたとしても、公開まではまだしばらくかかるだろう。とりあえずここまでお付き合いいただき、感謝している。

しかし、次が公開されるのを最低でも1年後以降と仮定すると、少々厄介な問題がある。現状、『ベーシック・ルール』日本語版の公開は今年10月までとされている。

しかしその間にも、NetflixではこれまたD&Dの影響の色濃い『BASTARD!!-暗黒の破壊神-』(Netflixがないのでこちらは解説できるかどうかわからない)のアニメ化が発表されており、本国ではD&D5eの基本ルールブックの改訂版の製作が、2024年の公開を目指し進行している。

日本のD&Dの系譜を途絶えさせないためにも、今一度、日本語版復活の署名にご協力いただき、そして何よりも、D&Dを楽しんでほしい。

これだけ言ったが、どうか「サ終しかけのゲーム」ととらえないでほしい。公式に何が出ようと出まいと、そこに『D&D』はない。あなたと仲間達が楽しむそのセッションこそ、どれだけ自作のデータを突っ込んだとしても、それは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』なのだから。

そして、D&Dを楽しむあなたの姿をTwitterか何かで見かけることができれば、心よりの幸いである。

(2023/01/29追記:)2022年12月をもって、版元ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの日本支部が本格的にD&D日本展開を再開。それを祝うかのように、続く1月には「ヴォクス・マキナの伝説」シーズン2が公開された。
これからもD&Dとそれを取り巻く文化を楽しんでいただければ幸いである。

マイケル・スタンフォード(田路マサタカ) 
Twitter: @MSLabo102

追記・修正
2023/01/29 Season1であることをタイトルに明記、シーズン2開始とウィザーズによるD&Dの日本展開に関して追記
2022/02/24 Sadknight様(https://www.youtube.com/channel/UCZokfxhzRTumgVraENBB5gg)の情報を基に全記事大幅改定

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