見出し画像

ヴォクス・マキナの伝説をTRPG側から解説してみた Season3 Week3(第7~9話)

※初見の方へ※
この記事は「ヴォクス・マキナの伝説をTRPG側から解説してみた」の続きです。過去の記事がまだの場合は順に読むことをお勧めします。
シーズン1 #1では通算第1~2話の内容に加え、原作となるTRPGセッション『Critical Role』についても紹介しています。

シーズン3の前回の内容については↓からどうぞ。


プレイヤーキャラクターのマルチクラス

グロッグ:ファイター/バトル・マスター

数々のヴェスティッジを集め、戦いの経験を積む中で、グロッグも少し戦いに丁寧さを見出してきたのでしょうか。彼はこれまでのバーバリアン・クラスに加え、パーシーと同じファイターにもマルチクラスしています(この時点でバーバリアンLv15、ファイターLv1)。

ファイター・クラスのイメージイラスト。『Player's Handbook』(2024年版)より。

バーバリアンが怒りに身を任せて戦うのに対し、ファイターは武具の扱いに長けた、訓練された戦士です。ガンスリンガーとして変わり種のパーシーとは異なり、基本のファイターのイメージにはグロッグの方が近いでしょう。

そして、もっと先の話(話数としてはヴェクナ編最序盤)にはなりますが、彼が後に得ることになる「類型」(サブクラス)は「バトル・マスター」。
ファイターの中でも一番の技巧派で、「戦技」と呼ばれる専用の能力によって攻撃しながら相手を転倒させたり、武器を落とさせたりするなどといった能力を扱います。

原作ではパーティが分断されることなく

  • フェイワイルド

  • 一時帰還

  • ドラコニアの様子を確認

  • マーケット大陸・

  • アナ・リプリーを追ってグリントショア島へ(カバルの破滅を入手)

  • 帰還、ライシャンと会話

  • ウィルドマウント大陸・ドラコニアでヴォルガル戦

  • 火の次元界(夜明けの殉教者の鎧を入手)

と各エピソードの順番が違っており、火の次元界から帰ってきた時点でグロッグはレベル16になっていたので、このタイミングで紹介させていただきます。

主要設定

第7話~:グリントショア島/Glintshore

重要な情報は一通り劇中で説明されていましたが、もう少し解説しましょう。

まずは島の名前。英語でglintはきらめき、shoreは海岸を表すので、この名前はガラスが自然に見つかる立地が由来でしょう。

島の場所は、第1話から登場したマーケット大陸の北、ヘスペット列島(Hespet Archipelago)内です。前述の通り原作Critical Roleでのエピソード順がマーケット大陸の街・アンクハレルからアナ・リプリーを追ってグリントショア島へ向かうという流れゆえにこうなっているのでしょうが、ヴォクス・マキナの伝説ではわざわざタルドレイ大陸から向かっているため、相当な長旅になっているのでしょう。

第8話~:「夜明けの父」

パーシーの葬式の演説にて、「夜明けの父」に関して言及されています。
「夜明けの父」/the Dawnfatherとはペイロア/Pelorの別名で、D&Dで初めて出版された世界観設定「グレイホーク」を初出とする太陽と農耕の神です。
Critical Roleの主な舞台となるエクサンドリアの世界観では、永遠なる光エヴァーライトことサーレンレイと同じく創造の神々の一柱であり、裏切りの神々とは対立する関係にあります。

登場NPC

個別解説:第7話

タイトル「マントと短剣」

TRPGではなく英語の話なのですが、原文"Cloak and Dagger"(直訳はタイトル通りです)とは、スパイものや、陰謀渦巻く作品を表します。

ファイアーボール?(アセンブリーの魔術師)

鉱山の町を襲う「アセンブリー」なる組織の魔術師たち。
建物を焼き払う火の呪文はファイアーボール(火球)でしょうか?
詳しい説明も要りません。火球の爆発を起こし焼き払う、それだけです。
D&Dを代表する呪文の一つですが、意外にもヴォクス・マキナの伝説に登場するには累計31話かかりました。

ディスインテグレイト(アセンブリーの魔術師)

アセンブリーの魔術師は、さらに町人の体を跡形もなく分解してしまいます。
これはディスインテグレイト(分解)の呪文でしょう。よほどの腕の立つ者でもなければ、一瞬で物体でも生物でも分解してしまう、高レベルの呪文です。
ルールには「細い緑の光線が、君の人さし指から、君から見える射程内の目標1体へ走る。」、そして触媒として「天然磁石と塵ひとつまみ」が指定されており、複数人を貫いている事を除けば、ヴォクス・マキナの伝説の割にはかなりルールに近い描写がされています。

ライトニング・ボルト(アセンブリーの魔術師)

続いて魔術師が町人に放ったのが電撃の呪文。
直線範囲の一般人を焼き払っていることから、何度かスキャンランも使用しているライトニング・ボルト/電撃でしょうか?
ルール上指定されている横幅1.5mからはやや幅が広いですが…。

テレポートについて追記

グリントショア島に向かうにあたって、「アルーラのテレポートでは海に出てしまう可能性がある」と警告するケイレス。
テレポートの呪文は専用の魔法陣(テレポーテーション・サークル)が設置されていば確実に飛ぶことができますが、そうでなければ位置がズレたり、似たような場所に飛んでしまって、失敗に終わってしまう可能性があります。位置がズレる場合、最大で30km以上ズレた場所に飛んでしまいます。グリントショア島は魔法陣を作れる魔術師もいなさそうな小さな島である上に、三日月型で水場も多い場所です。確かにリスキーな選択肢でしょう。

クリスタル・ボール(リプリー)

水晶玉で幻覚ガスに苦しむ仲間の姿をパーシーに見せつけるアナ・リプリー。
シーズン2第4話でも使っていたクリスタル・ボールです。
クリスタル・ボールで発動できるスクライングの呪文も度々登場していますね。

レッサー・レストレーション(パイク)

幻覚を見るケイレスを治そうとするも、力が思うように使えないパイク。
シーズン1第9話でも使用していたと思われるレッサー・レストレーション/初級回復術の呪文だったのでしょうか?恐怖状態はレッサー・レストレーションの解除対象に含まれていませんが、ルール上、毒は別の状態異常も連動して与えることもあり、これも幻覚ガスなので、毒状態と紐づいていると考えれば対象内と解釈できます。

パーム・ピストル(リプリー)

手を差し伸べるパーシーに、リプリーから最後の不意討ち。
彼らが開発した銃器の一種のパーム・ピストルでしょう。
ガンスリンガーのルールにも名前の出ていた武器です。

個別解説:第8話

戦闘も多くなく、既出の能力ばかりだったので数は少なめです。

ダンシング・ライツ or プロデュース・フレイム?(火のアシャリ達)

煙の立ち込めるエモンの廃墟を魔法の光で照らす、パイラのドルイド達。
光の球を生み出すという性質は、ダンシング・ライツ/踊る灯の呪文のようですが、ルール上はドルイドは使用できない呪文です。
彼らは火のドルイドであることから、プロデュース・フレイム/火炎作成という可能性もあります。こちらはD&Dのルール上では手の中に揺れる火を作り出すと説明されていますが、手の中に生み出している事とは合致します。

個別解説:第9話

マジック・ウェポン?(シンゴーンの兵士)

ソーダクに向けて放たれる石弓を魔法で強化するエルフの兵士たち。
シーズン1の第1回でも紹介した、マジック・ウェポン/魔法の武器の呪文の延長線上でしょうか?石弓も攻撃判定を行う武器ではあるので、D&Dのルール上でも可能なように見えます。

シャター?(ザーラ)

街の外壁を破壊し、エモンの街に現れるザーラ。
壁を破壊するという意味ではシャター/破砕の呪文でしょうか?
雑音を響かせながら、音波により範囲内の物体を破壊する呪文です。攻撃だけなら他の呪文でもできますが、シャターは物体に対して成功しやすいのが特徴です。

ウォール・オヴ・ストーン(ケイレス)

仔ドラゴンの火から兵士を守るため、石の壁を生み出すケイレス。
これまでに使用したムーヴ・アースボーンズ・オヴ・ジ・アースと考えることもできますが、これはウォール・オヴ・ストーン/石の壁の方が近いようにも思えます。
これまでに紹介したウォール・オヴ・フォースウォール・オヴ・ソーンズ同様に壁を生み出す呪文ですが、地面から生える必要はある代わりに、階段や橋を作るなど、足場としての利用もしやすいです。

レッド・ドラゴンの火耐性

火のエレメンタルに変身したケイレスがソーダクに鉄拳を喰らわせるも、まるで効いていません。
レッド・ドラゴンは火の力を宿しており、完全耐性を持っています。シーズン1第2話でブルー・ドラゴンのブリムサイズにケイレスのコール・ライトニングが効かなかったのと同様です。

ミスカーヴァーのビーム

ミスカーヴァーから放たれる光線で壁を破壊するスキャンラン。
前シーズンの際に公開したデータにもない通り、ヴォクス・マキナの伝説での追加要素のようです。
一方で、元のデータにあった連続攻撃する要素はここまで確認されていません。

ガス包み?(ライシャン)

ケイレスの顔の周りにだけ毒ガスを生み出すライシャン。
クラウドキルなど毒ガスを生み出す呪文はありますが、特定の人物にだけ毒ガスを生み出すという効果は見当たらず、特定できませんでした。困った時のNPC補正

シールド?(ライシャン)

続いてヴァクスのダガーを魔法の壁で跳ね返すライシャン。
何度か紹介したシールド/盾の呪文でしょうか。

あとがき

ソーダク戦が終わり、ライシャンを取り逃がした時点で、原作は80話目。この後3話でクロマ・コンクラーベ編は終了なのですが… 通例通りなら、今シーズンはまだ3話残っています。原作何話分もの内容を圧縮できるアニメで、3話というのは少し多いようにも感じます。―ここから、何が待っているのでしょうか?

いいなと思ったら応援しよう!