なぜ中国の人は英語が上手なのか
中国の人は英語が上手だと思う。英語の中級レベルの人でも特に発音が本物っぽく、上手だと思う。
中国語を勉強している私が、彼らの母国語(中国語)の影響という面から、中国の人の英語上手の要因を考えてみたいと思う。
要因1:中国語は発音するのに繊細なコントロールが必要
中国語を勉強して思うのが、中国語は正確に発音しないと全然通じないということだ。
漢字1字に1つの音が当てられている。この音を間違えると、全然違う漢字になるので、文がめちゃくちゃになる。
例えば同じ「ma」という発音でも、4つのイントネーションがあり、それによって意味する漢字が違う。
写真出典元:http://www.shu-yu.co.jp/pronunciation
中国人は大声で話してうるさいとよく言われるが、それに反して中国語の発音は繊細なコントロールが必要な言語だ。日本語に比べれば日頃から喉、顎、口の筋肉を鍛えているようなものだ。
要因2:母音が36個もある
母音が36個!母音が「あいうえお」の5つしかない現代日本語の話者にとって、母音36個は多いと感じる。
多くの日本人が苦手なのは「e」と「ü」だと思う。日本語にない音だからだ。「e」の発音は「エ」ではなく「エのくちでオの音を出す」。「ü」はもっと難しい。「ウのくちでイの音を出す」のだ。できない人はずっとできない。(´;ω;`)
さらにさらに難しいのが「an」と「ang」、「in」と「ing」の音の区別だ。日本人はanもangもどちらも「アン」、inもingでも「イン」としか聞こえない。日本語では「n」と「ng」は全部「ン」だと認識しているので、初級中国語のレベルでは聞いても区別できない。でも中国語ではちゃんと区別されている。
そして子音の話になってしまうが、日本人が嫌いな「r」と「l」の区別も中国語にはある。強い!強いぞ中国語!!
というわけで、中国の人が区別できる母音の多さも、英語の発音の理解と発音の良さに役立っているはずだ。
要因3:文法の類似性
中国語の文法は、主語+動詞+目的語である。英語もそう。
I love youはそのままローマ字を漢字に書きかえれば中国語となる。
I love you = 我 愛 你
I am Japanese = 我 是 日本人
I want study Chinese = 我 要 学習 中文
さて、漢字の読める日本人なら、英語と中国語の文法が完全に一致していることが見て取れるだろう。ぴったり~( ゚Д゚)
と、言ってはみたが、厳密には完全に文法が同じというわけではない。ちょっと日本語寄りの文法があったりもする。複雑な文になればなるほど、英語との違いは出てくる。でも、日本語よりは中国語は英語に似た文法を持っている。
おまけ:発音記号を習うし、発音記号のテストもある
ここまでは母語の影響を見てきたが、最後に教育の影響にも触れておく。
中国の友人によると、英語を学習する最初の段階で、発音記号の読み方をマスターするらしい。発音記号の暗記テストもあるそうだ。
私は日本の学校で英語の発音記号をそこまでみっちり習った記憶がない。発音記号のテストも無かった。そう言ったら、「じゃあ、どうやって正しい発音を調べるの?」と聞かれ、先生が発音したのを聞いてカタカナでメモしていた気がすると答えた。
なるほど、中国の人は、母音が36個もある母語を操りながら、学校で英語の発音を厳しくみっちり教えられるのね・・・。
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さて、なぜ中国の人は英語が上手なのかを、中国語の特徴から語ってみました。他にもいろんな理由があるでしょうし、「中国の人が英語が上手なんて聞いたことがない」という意見もあるかもしれません。私の知る範囲の中国の方々のことなので、そのへんはご理解くださいね。