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29.【実践編】ムーブメントスペクトラムをベースにしたケーススタディ
このnoteは、MSI(Movement System Impairment)について解説することを目的としています。
MSIについては、こちらをご覧ください。
MSIでは、セラピストに向けて、身体の動きがきっかけで生じた痛みの原因を解明し、改善するプロセスを学ぶことができます。
はじめに
今回のテーマは、”ムーブメントスペクトラムをベースにしたケーススタディ”です。
数回にわたり、リハビリとパフォーマンスのギャップを埋めるために身体の動きを段階的に分類する”ムーブメントスペクトラム”について紹介してきました。
今回は、ここまで紹介したムーブメントスペクトラムを現場で落とし込むことをイメージしてもらうためにケーススタディに落とし込んでみます。
今回のnoteでは、以下の3点がわかる内容になっています。
症例紹介
評価
ムーブメントスペクトラムを基にした運動療法
ぜひ最後までお読みください!
症例紹介
症例:10代男性
職業:大学生
スポーツ:サッカー
ポジション:ボランチ
利き足:右
既往歴:左内側半月板縫合術(3年前)
主訴:右大腿部内側の痛み
現病歴:
以前からサッカーの際に右大腿内側の違和感があった。
ロングキックを繰り返すうちに痛みが増加してきた。
サッカーできない程ではないがロングキックのインパクト時に痛みがありパフォーマンスが下がっているのを自覚している。
![](https://assets.st-note.com/img/1737547340-hj71AgYFlLBZtMpIzeucm4xw.png)
評価
圧痛:大内転筋筋腹付近
可動域:股関節外転30°
筋力:右内転筋MMT4程度(痛みあり)、右腸腰筋MMT3以下(最終域保持困難)、右外転筋MMT3以下(最終域保持困難)
筋の硬さ:右大腿筋膜張筋の硬さ著明
アライメント:立位右骨盤高位
Active SLR:右 骨盤右回旋を伴い、右股関節軽度内転内旋位となる
ボールキック動作:右足でのロングキック時に骨盤右回旋を伴い右股関節内転内旋が過剰に生じる
![](https://assets.st-note.com/img/1737547430-8dWN5yUoR4MIhGetwxukF63H.png)
ムーブメントスペクトラムを基にした運動療法
上記の評価結果から、MSIに基づく分類名を”内旋を伴う内転症候群”と判断しました。
腸腰筋の機能不全から、内転筋・大腿筋膜張筋の過剰収縮が生じたと考えられます。
内転筋部の痛みは軽度の肉離れ用の症状だったと考えられます。
このような所見に対してムーブメントスペクトラムに基づき運動療法を組み立ててみます。
分離運動:内転筋ストレッチ・マッサージ、大腿筋膜張筋マッサージ、腸腰筋エクササイズ、股関節外転筋・外旋筋群エクササイズ
基礎的運動:片足立ち・スクワット・デッドリフトのフォームチェック(特に片足課題をチェック)
統合された運動:チューブで腸腰筋を活性化したWall Drill
活動特異的運動:上半身・体幹の動きと連動したスイング練習
各動作において内転筋・大腿筋膜張筋の過剰な活動が生じないかをチェックすることがポイントです。
![](https://assets.st-note.com/img/1737548440-hJ34PuYRZofdmvHQsbMFDLBV.png?width=1200)
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まとめ
今回は、”ムーブメントスペクトラムをベースにしたケーススタディ”ご紹介しました。
今回の症例のように、明確な起点がなくても動作のエラーの積み重ねが痛みにつながります。
ムーブメントスペクトラムを基に運動療法を組み立てるイメージが少しでもつけば幸いです。
手前味噌で恐縮ですが、ロビー先生から許可をいただき、こちらのオンライン講義でムーブメントスペクトラムについてご紹介させていただきました。
より深く知りたい方は、こちらの講義も参考にしていただければ幸いです。
少しでも良いなと思った方は、「スキ」を押していただけると今後の記事作成の励みになります。
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