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【骨格の問題】大腿骨の前捻と後捻が身体の動きに与える影響
このブログは、MSI(Movement System Impairment)について解説することを目的としています。
MSIについては、こちらをご覧ください。
MSIでは、身体の動きがきっかけで生じた痛みの原因を解明し、改善するプロセスを学ぶことができます。
はじめに
ヒトはそれぞれ骨格が異なります。
足が長い人、骨盤が横長な人、足の親指が長い人など様々な違いがあります。
これらの骨格の違いは、身体の動きに変化をもたらします。
骨格の違いの中でも大腿骨の形態の違いは、身体の動きに大きな影響を与えます。
そこで、今回は大腿骨の前捻と後捻についてご紹介したいと思います。
大腿骨の前捻と後捻とは?、それが身体の動きにどのような影響を与えるのか?、が理解できる内容になっています。
大腿骨の前捻と後捻
大腿骨は下の図のような構造になっています。
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筋骨格系のキネシオロジーより引用
大腿骨の骨幹部に対して、大腿骨頭は前方に捻れています。
この角度を前捻角と言い、正常は8-15°と報告されています。
この角度が正常範囲より大きい場合を大腿骨前捻、
小さい場合を大腿骨後捻と言います。
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筋骨格系のキネシオロジーより引用
大腿骨前捻と後捻が可動域に与える影響
大腿骨前捻角の変化は股関節回旋可動域に影響を与えます。
大腿骨が前捻すると股関節の内旋可動域が増加し、外旋可動域が減少します。
逆に、大腿骨が後捻すると股関節の外旋可動域が増加し、内旋可動域が減少します。
一般的に、女性は前捻傾向の方が多く、男性は後捻傾向の方が多いと言われています。
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大腿骨前捻と後捻が身体の動きに与える影響
前捻角の違いは、立位における足部の向きに影響を与えます。
どちらも膝の構造が同じと仮定します。
大腿骨前捻の場合、股関節の適合を良くするために股関節内旋位が適したポジションになります。
そのため、つま先の向きが内側を向いていることを許容する必要があります。
無理につま先をまっすぐにしてしまうと股関節が外旋したポジションになり適合が悪くなってしまいます。
歩行時につま先が内側を向いている場合、修正したくなってしまいます。
しかし、その方にとっては股関節の適合が良いポジションかもしれないため注意が必要です。
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大腿骨後捻の場合、逆の現象が起こります。
股関節の適合を良くするために股関節外旋位が適したポジションになります。
そのため、つま先の向きが外側を向いていることを許容する必要があります。
無理につま先をまっすぐにしてしまうと股関節が内旋したポジションになり適合が悪くなってしまいます。
スクワットをする際に、つま先の向きを真っ直ぐに修正したくなってしまいます。
しかし、後捻している方にとっては股関節内旋位が強制されてしまい、股関節のつまりにつながる可能性があります。
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取るべき対応策としては、股関節の形状に合った動作を指導するという形になります。
前捻している方は、股関節内旋をある程度許容する。
後捻している方は、股関節外旋をある程度許容する。
もちろん過度な内外旋は修正するべきです。
しかし、大腿骨の形状を考慮せず一般的に言われる良いアライメントを目指してしまうと、前捻後捻の大きい方にとっては、適さないアライメントになってしまうかもしれません。
まとめ
今回は、大腿骨の前捻と後捻が動作に与える影響についてご紹介しました。
大腿骨の前捻角は、股関節の適合する角度に大きな影響を与えます。
それを考慮して身体の動きを指導することで、股関節の適合が良い状態で動く事ができます。
その結果、関節への過剰なストレスを軽減し、痛みの改善につながります。
一人一人の骨格構造を考慮することが大切になります。
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