【足関節のキーポイント】距腿関節背屈
このブログは、MSI(Movement System Impairment)について解説することを目的としています。
MSIについては、こちらをご覧ください。
MSIでは、身体の動きがきっかけで生じた痛みの原因を解明し、改善するプロセスを学ぶことができます。
はじめに
今回のテーマは、足部・足関節のリハビリにおけるキーポイントである、距腿関節背屈についてです。
足部・足関節は多くの骨が連結しているため、構造が複雑です。
骨の触診や運動軸など覚えることも多く、学ぶのに多くの労力を要します。
私は効率が悪いので、解剖の本と睨めっこしながら自分の足を触って構造を勉強していました。
そんな足部・足関節のリハビリの中でもキーポイントになるのが、距腿関節背屈です。
距腿関節背屈が制限されると、足部・足関節において多くの問題が生じます。
今回のnoteでは、以下の3点がわかる内容になっています。
・足関節の症候群に距腿関節背屈制限がどのように関わるか
・距腿関節背屈が制限されると動きにどのような影響を与えるのか
・各症候群における距体腿関節背屈を改善するためのポイント
足部は唯一地面と接する部位であり、下肢の動きに大きな影響を与えます。
足関節の症例担当する方も、しない方も臨床に役立つヒントを得ることができます。
是非最後までお読みください。
足関節の症候群と距腿関節背屈制限
前回のnoteで、足関節の症候群について解説しました。
足関節の症候群は6つに分類されます。
・回内症候群
・回外症候群
・背屈不全症候群
・低可動性症候群
・足部/足関節機能障害症候群
・近位脛腓関節滑り症候群
このうち距腿関節の背屈制限が関係あるものをピックアップしました。
⭕️が強く関係する、△が部分的に関係する症候群です。
・⭕️回内症候群
・⭕️回外症候群
・⭕️背屈不全症候群
・⭕️低可動性症候群
・△足部/足関節機能障害症候群
・△近位脛腓関節滑り症候群
このように多くの症候群で距腿関節背屈制限が関係しています。
距腿関節背屈と動きの関係
距腿関節の背屈制限は動きにどのような影響を与えるのでしょうか?
動きについて考える前に、制限因子について簡単に振り返ります。
距腿関節背屈制限の制限因子は大きく分けて、軟部組織の問題と構造的問題に分かれます。
解剖学的な説明は割愛しますが、軟部組織の問題は関節包や筋肉の問題、構造的な問題は骨の問題です。
回内症候群、回外症候群、背屈不全症候群は主に軟部組織の問題です。
低可動性症候群は構造的問題です。
ここからは、距腿関節背屈制限が各症候群における足部・足関節の動きにどのように関係するか、どのように対策を取るかについて解説していきます。
回内症候群
回内症候群では距腿関節背屈制限を代償するために、前足部の柔軟性で背屈を代償します。
距腿関節背屈制限は柔らか過ぎる足部をさらに柔らかくしてしまう悪循環に入ってしまいます。
介入のポイントとしては、
距腿関節背屈可動域の改善を目指します。
CKCでストレッチを行うことが最も効率的です。
しかし、中足部以遠での背屈代償が起きないように注意が必要です。
回外症候群
回外症候群では距腿関節背屈が制限されると、歩行立脚時に回外が増加しCOPの軌跡が外側に偏位してしまいます。
回外症候群は距骨下関節の回外に伴う、硬過ぎる足部が問題となります。
距腿関節背屈制限は硬過ぎる足部をさらに硬くしてしまう悪循環に入ってしまいます。
介入のポイントとしては、
距腿関節背屈可動域の改善のみでなく、中足部以遠の柔軟性改善も視野に入れる必要があります。
背屈不全症候群
背屈不全症候群では、距腿関節背屈制限に対して回内外での代償は生じません。
背屈不全を早期の踵挙上などで代償します。
それに伴いMP関節の過剰な伸展が要求されます。
足関節背屈時に足趾伸筋が優位になるのも、この点が影響しています。
介入のポイントとしては、
足趾伸筋の過剰活動を抑制しながら足関節背屈可動域を改善する必要があります。
低可動性症候群
低可動性症候群は変形性足関節症などの病態と関連しています。
骨の変形が影響しているため、可動域の改善が難しい場合が多いです。
過度な背屈は距腿関節でのインピンジメントを引き起こし、痛みにつながります。
介入ポイントとしては、
距腿関節背屈は構造的に制限されているため、インピンジメントが生じない範囲で距体関節背屈可動域の改善を目指します。
また、踵の補高などで足関節背屈が過度に生じないようにすることもポイントです。
まとめ
今回は、足関節のキーポイントである距体関節背屈についてまとめました。
距腿関節背屈制限は多くの症候群に関連します。
距腿関節背屈可動域の改善を目指すことは変わりませんが、各症候群において注意すべきポイントは異なります。
動きと症状から分類し、適切な介入の方向性を決めることが重要になります。
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