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開発組織の変化と向き合った2023年を振り返る

この記事はグロービス Advent Calendar 2023 18日目の記事です。「GLOBIS 学び放題 」 EM 渡辺(@mshrwtnb_)がお送りします。

この記事では、2023年4月から12月現在まで、自分やチームが何を思い、やってきたのかについて記していきます。等身大の自分たちの姿をそのままお伝えします。

将来の自分たちが「あのときはこうだった」と振り返ることができたり、読者の方々が何かを考える上で少しでも参考になると嬉しいです。


2023年1Q・2Q:ガンガン、バラバラ期

「GLOBIS 学び放題」はいくつかの開発領域で分かれており、自分は受講画面領域のマネジメントを担当しています。(受講画面の例:トップページ

2023年4月、この受講画面領域にあった1つのフィーチャーチームを2つに分け、開発をスタートさせました。

結果として、リリースの量や速度ではポジティブに働いたものの、以下のような声が徐々に聞こえるようになってきました。

  • 「◯◯(施策)の△△(目的、根拠、仮説、指標 etc)は何?どこにドキュメントある?」(施策の思考、言語化)

  • 「いろんな施策がガンガンリリースされているけど、全体としてどこを目指してる? 」(全体感)

  • 「◯◯(施策)が進んでるけど、そっちじゃなくて、あっちをやって欲しかった…」(優先順位)

  • 「その施策、うちでもやろうと思ってます…」(施策の交通整理)

起きていたこと

  • 受講画面領域には元々3名のPOがいた。まとめ役を担っていたPOが別のチームに異動することになった。残り2名のPOが、それぞれフィーチャーチームを任されることになった。

  • エンジニア、デザイナには成果物を共に作り上げるプロセス(例:コードレビュー→マージ)が存在していたが、PO陣には相当するプロセスがなかった。そのような状態で2チームに分かれた結果、チーム間で足並みを揃えるよりも、個別最適化が進んでしまった。


2023年3Q:まとまろう期

こういった声が多くなってきたことで当事者たちも問題意識を持ち始め、11月から新体制にすることにしました。

体制とプロセスをまとめ、認識を合わせていく


変更点

  • 2フィーチャーチーム制は廃止

    • 個別最適化しやすい体制は止め、「企画」と「開発」でチームを分ける(他社事例を参考)

    • 「企画チーム(PO、デザイナ)」にPOまとめ役を招聘し、「POサイクル」(=組織が何をすべきかを決める流れ(Why/What))の確立を第一優先で目指す

    • 「開発(エンジニア)」内に2つのサブチームを設置して、開発を回していく

  • 規範(=あるべき)を揃える

    • LeSSをベースに開発プロセスを構築する。セオリーを100%再現できない現実は受け入れる

    • LeSS勉強会を開催する。スクラムの基礎知識がないメンバーも多かったため、チームで用語、流れ、世界観の共通認識化を行う

    • 会議体を見直す。ファシリを渡辺に一旦集約し、流れを作ってみる

やってみて、どうだったか?

変更による戸惑いは一瞬あったものの、チームの視野が広がり、視座も高くなりました。

「受講画面」という単位で物事を考えるようになり、自分の動きがシステムのなかで適切なのかを意識するようになりました。

「POサイクルの確立」はまだ始まったばかりですが、徐々に形成されつつあります。施策の言語化・見える化、優先順位付け、交通整理などが行われはじめました。


しかし、どこを目指している?

12月に入ると、組織としての動き方が板についてくるようになりました。
しかし、
「出来上がってくる施策が少なく感じる」
「自分たち(開発チーム)はもっと開発できますよ」

とった声が聞こえてきました。

新たな企画プロセスでは、今まで以上に「仕込み」が必要になったのもありますが、根本的な原因を探っていくと「OKRや方向性が曖昧」という問題に行き着きました。

スクラムマスター陣がメンバーにヒアリングをしてくれ、課題を構造化していった図。
肌感とファクトが一致して、皆でなるほどとなった

このようなことが起きていました

まとめ役POとしては、ファクトを集めてからOKRや方向性を決定したい

曖昧な表現のOKRが宣言される

PO陣はどの方向性で施策を考えれば良いかわからない + 他の課題

出てくる施策が少なくなる

開発チームはバッターボックスでウズウズしている


4Qに向けた準備

「このままだとまずい」ということになり、4Qに向けた準備を始めました。

このままではあかん、せやなという決意表面

PO合宿
4Qの方向性、OKR案をPO陣で話し合う。他職種と比べると、普段からPO同士の対話機会が少なく、チームビルディングが最も必要だった。お互いが考えていることをSyncさせる。

ハッカソン
PO合宿の隣部屋にて、エンジニア&デザイナ陣でアイディアを出し、形にする力を試す。普段、遠方に住むメンバーも東京に集結し、海外在住メンバーはオンライン参加した。

PO合宿:
PO陣でしっかり時間を確保し、
チームが迷子にならないように方向性を決めていく。
ここで素案ができあがり、後日固めていく動きが生まれた。
ハッカソン:
PO合宿の隣では、エンジニア、デザイナがものづくりに励んだ。
デザイナをPOと同じ企画チームに配置していたが、「エンジニア、デザイナで協働したほうが進みが良いのでは?」という仮説が出てきたため、試してみた。
短時間でアイディアを形にする力がとても心強かった
おまけ:
夜は懇親会でメキシコ料理店へ。新メンバーも歓迎🌵🌮



変化で得た気づき、学び

先週、3Qのふりかえり会を実施しました。

3Q ふりかえり会:
Keep, Problemだけでなく、チームへの感謝メッセージや新年の抱負も並ぶ

どのグループからも同じようなKeep, Problemが出てき、視点が揃っているのがわかりました。体制変更により、同じような体験を共有できたからこそ、このような結果になったのだと感じています。

また、PO陣からは4Qに目指したい方向性の共有がありました。PO合宿から議論を何度も重ねた結果、以前よりも具体的な内容の目標ができあがってきました。

スクラムでも、POは方向性やビジョンを担うと書かれていますが、今回の件を通じてPO陣だけでなく自分も「この規模(20名超)の組織で、歯切れの悪い目標、とりあえずの目標は混乱しか生まない」という学びを得ました。


さいごに


いろいろな変化はあれど企画チーム、開発チームともにエンゲージメントスコア(Wevox)は約90点と組織コンディションは良好です。

エンゲージメントスコア(Wevox)

このチームで働いていて感じるのは、チームメンバーのソフトスキルの高さです。新たな動き方にトライしてみようとポジティブに動けるだけでなく、皆が仲間を尊重し、協力していこうとする力が半端ないです。

新年も新たな課題が浮上し、対応に追われるでしょうが、こういったメンバーとなら、やっていける気がしています🔥

以上

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