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ニュータンタンメンについて
神奈川県横浜市のソウルフードと言えば、家系ラーメンを挙げるのに躊躇する人はいないだろう。家系ラーメンは1974年の吉村家のオープンが始まりだが、これが流行る前は生馬麺(サンマーメン)が横浜の味だったし、崎陽軒のシウマイもある。
対して隣の神奈川県川崎市には何かソウルフードがあるのか?多摩川を境に東京都と隣接する同市は東京の影響が濃く独自の食文化を見つけるのが難しいが通称セメント通りは焼肉で有名らしい。そしてラーメンについてはニュータンタンメンがある。
一般的な担々麺は胡麻・芝麻醤(チーマジャン)・辣油が調味料として用いられるが、ニュータンタンメンはいくつかある、ご当地タンタンメンの一つで、塩味のかきたまスープに唐辛子で味つけがされている。胡麻の風味はないがニンニクが効いている。主に「元祖ニュータンタンメン本舗」というチェーン店で提供されていて、同店のホームページには次のように由来が記されている。
1964年 創業 スタミナがつく料理をと創業者が中華料理の担々麺をアレンジしたのが始まりです。坦々麺をアレンジしたということで、「ニュータンタンメン」と命名。現在では、川崎市を中心に30を超える店舗数を展開しています。
三十年くらい前に川崎市内に居住していたことがあるが、その頃すでに四半世紀を超える歴史を有していたのかと感慨深い。とまれ、好奇心に駆られて初めてニュータンタンメンを味わった時は、自分が知っている担々麺とかけ離れていて衝撃だった。
今は川崎市幸区の鹿島田駅の東側に店があるようだが、当時は新川崎駅から西側にあった。ちょっと町中華の雰囲気もあって、仕事が終わって一寸やさぐれた気分でビールとつまみをもらい〆にニュータンタンメンを食べたこともあったっけ。
最近では「サッポロ一番」のサンヨー食品とコラボして同社から、カップ麺が製造販売されたし、元祖ニュータンタンメン本舗も都内はもちろん仙台市(宮城県)や上田市(長野県)にまで出店しているから、相応の人気があるのだろう。
一般的な担々麺とは別のモノではあるが、勝浦タンタンメンや広島発祥らしい汁なし担々麺などと併せて、日本でローカライズされた中国の料理の例として面白い。焼餃子・広東麺・天津飯なども昔からあるローカライズされた中華の例である。(本来、中国で食された担々麺は、天秤棒で食材と丼を担いで運び、汁なしの麺料理として提供された一種の屋台料理らしい)
【余談】
元祖ニュータンタンメン本舗という会社のロゴマークが商標登録されていて(登録627811〜2番ほか)、権利者は「株式会社みなもと」さん。商品名のニュータンタンメンが商標登録されているのかどうかは不明だが、川崎の中華で修行した人が地元に帰って似たようなメニューを「川崎タンタンメン」と銘打って提供する例があるようだ。
ちなみに以前は「イソゲン」という呼称も商標の一部になっていて、川崎では今でもこのメニューをイソゲンと呼ぶ人もいるらしい。その由来は創業者の名前が「五十嵐源吉」さんというからだと推測。会社の名前「みなもと」もきっと同じですね。