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進む少子化と人口減少

2024年9月5日のNACK5『Good Luck! Morning!』内「エコノモーニング」では、こんなお話をしました。

今日は、「進む少子化と人口減少」というお話です。

8月30日に厚生労働省が発表した、人口動態統計の速報値というものが話題になっています。それによると、今年1月から6月までの上半期に生まれたこどもの数が「外国人を含めても」約35万人だったそうです。これは、去年の同じ時期と比べて2万人以上、率としては5.7%の減少ということになります。この、上半期で35万人しか生まれなかったという数字は、国が統計を取り始めた1969年以降では最も少ないもので、少子化に歯止めがかからない、少子化が深刻であるということを表しています。

なお、今から10年前である2014年の上半期の出生数は約50万人です。

先ほど申し上げた今年上半期の出生数が35万人ですから、10年で約15万人、約3割の減少です。これは深刻ですね。ここまでは上半期の出生数をご紹介してきましたが、1年間の出生数でいうと去年は外国人を含む速報値で約75万人で、これも過去最少だったそうです。今年は上半期で35万人ということですから、昨年の75万人を下回ることはどうやら間違いなく、過去最少という記録を更新することになってしまいそうです。

こうした社会動向を踏まえて政府はこども家庭庁を作り、「異次元の少子化対策」と銘打って児童手当など経済支援の強化や、学童保育などの拡充、働き方改革の推進などに取り組んでいるところではあります。先ほどの「上半期の出生数が過去最少だった」というニュースに対するSNS上での反響には「少子化対策の効果が出てないじゃないか」という声もありましたが、子供を持つかどうか、いつごろ何人欲しいかというのは人それぞれですし、思ったようになるものでもありませんので、そんなすぐに政策の効果が出ると期待してはいけないのだろうと思います。

比較的人口の多い団塊ジュニア世代、いまの50代前半くらいの人たちが若い頃にもっと対策を打てていれば、もう少し減少のしかたを緩やかにできたのではないか、20年遅かったんじゃないかと私は思いますが、とにかく打てる手を全て打って、少しでも少子化のペースを食い止める努力をしていく必要があると思います。

ところで、人口問題には「自然減」と「社会減」という言葉があります。少子化が進むことで人口が減少するのが「自然減」で、地方から都市に向かって人口が流出していくのが「社会減」です。

「自然減」だけでも今後の日本経済にとっては大きな懸念材料であるわけですが、東京以外の多くの地域にとっては、東京への一極集中に歯止めがかからないことも大きな問題です。この問題に対しては、政府が、来年度予算で、東京23区に在住が23区に通勤する女性が結婚を機に地方へ移住した場合に支援金を支給する構想を持っているという報道が先週ありまして、なぜ女性だけなんだ、などという批判がSNS上などで強まり、地方創生担当大臣が撤回する、などということもありました。さらに、全国知事会が自民党総裁選と立憲民主党の代表選の立候補者に対して、東京への一極集中を是正すべきだという提言をしようと協議したという報道もあります。

たしかに、東京やその近郊ではまだまだ人口増加が見込まれています。たとえば私が勤務する武蔵大学のある練馬区も、2035年までつまりあと10年は人口が増え続けると予測されており、私が昨年お手伝いしたまちづくりビジョンでも「人口増加が続くまち」ということが議論の大前提となっていました。埼玉県では、さいたま市も2030年まで人口が増え続けると予測されています。

でもこの増加というのは少子化対策によって子供が増える「自然増」ではなくて、ほかの自治体から流入してくる「社会増」なんですよね。日本全体の人口が減少している中での、人口の、とりわけ若い人たちの奪い合いになっているわけです。

ということで、埼玉県はまだしばらく人口が増えていく、あるいは横ばいが続く、という恵まれた環境にありますが、その増加だってあと数年で止まるわけです。日本全体の人口減少も、地方から東京圏への一極集中も、国や地方の経済を左右する大きな問題です。先ほどの知事会の提言が訴えているように、与野党の総裁選・代表選や、その後の新政権発足、もしかしたら総選挙もあるかもしれませんが、この機会にぜひ人口問題という根本的な課題についての議論も深まってほしいと思いますね。


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