脳が中空を舞うことがある
朝
なんとはなしに林檎を齧る
慣れ親しんだ食感に
脳は別のことに勤しむ
何かを埋めようとして
発せられた言葉は
往々にして宙を舞い
思ってもない明後日の方向に着地する
明後日の方向は概ね具合が悪い
デザートを食べ終わって
少し残してしまったときに
上手く褒められない
そんな状況が人生には時折ある
言葉が通じない
いや、何も通じない
酸素は足りなくなり
呼吸は浅くなる
本当に必要なのは
黙して時間と揺蕩うことなのだけれど
どうしても
何かが足りないと思ったとき
言葉で埋めようとしてしまう
美しさとは真逆のそんな滑稽な時間も
いつか思い返したとき
まだ青臭かったと笑えるだろうか