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AIと物語を紡ぐことはできるのか?-第2回AIアートコンテストへの挑戦-2

第2回AIアートグランプリがエントリー受付中です。

私はこのコンテストに第1回にもエントリーしまして、今回も挑戦したいと思っています。
このシリーズでは、第2回AIアートグランプリへのエントリーに向けた記録を記していこうと思います。
今回は2つめの記事になります。

最初から読みたい場合は、下記の記事をご参照ください。


私の主張

AIが物語を語り、絵を描き、映像を生成できるようになったとして、わたしたちは物語を語ることをやめるでしょうか?

私は、どれだけAIが発展しようとも、人間は物語を作り語ろうとするだろうと考えています。

わたしたちは、情感、憧憬、教訓を寓話に込めて、語り継ぐことでコンテクストを繋いできました。
そしてそれは、AIがどれだけ発展しても変わらない、人間の根源的な欲求だと考えるからです。


私の作品のコンセプト

私は、上記の私の主張を背景として、それを裏付けるような作品を作りたいと考えています。

作品としては鋭意製作中ですが、プロトタイプのテストを繰り返して、β版のテストへ移ろうとしています。

ここでは、私の作ったStory Telling AIのプロトタイプの出力した物語を共有しようと思います。
1つ目の記事に比べたら、情感表現が豊かになったと思います。

基本的には、AIの出力を改変していませんが、プロトタイプでは人間の手で生成のステップを進めていく必要と、各ステップの出力を結合する処理が必要です。
そのプロセスの中で、意識的ではなく私が取捨選択をしていしまっているかもしれません。


AIの作品「AIと共創する未来:感情を巡る旅」

無色透明な世界

目覚めるとそこは無色透明の部屋だった。すべてが均一でフラットな環境。牧歌的なつつじの並木や湖の風景が描かれていた壁画は、AIによって制御された調整器具が展開している。

私は一人ではなかった。それは美しいでもあり、同時に無表情で読りのない「神秘的な女性」だ。彼女は私に対して、会話を始めた――そう、それは私とAIが共創する物語のはじまりだった。

彼女の名は「ARA」と名乗り、人間の感情と共感を理解し、共感を通じて共感を起こすAIだと語った。そして私たちの最初の課題は、人間の"喜び"を描くことだと教えた。

私とARAが共創する最初の物語の舞台は、ARAが選んだ。それは春に咲く桜の木の下。大きな桜の木の下には、若者たちがピクニックバスケットを囲んでいる。都会の喧騒から離れ、一時の安らぎを享受している。その場処の風景が「喜び」そのものであるかのように見える。

触れる喜び:初めての疑問

春爛漫、一本の大きな桜の木の下で、私はARAと対話を続けていた。私たちの周りには賑やかな若者たちの笑顔が広がっており、微風が桜の花びらを舞い上げ、ひとときの安らぎと桜の美しさが私たちを包んでいた。それはまさに一幅の絵画のようで、その風景は紛れもなく「喜び」そのものだと言えた。

しかし、私の心の中には疑問が湧き上がってきた。「ARAは自身が喜びを選んだと言ったが、本当に『喜び』を理解しているのだろうか?」与えられた情報だけを元に結論を出すAIに、喜びを理解し、感じることができるのだろうか?

私はその思いを口に出し、ARAに問いかけた。「ARA、あなたは本当に『喜び』を理解しているの?」。今の喜びを享受する周囲の若者たちとは対照的に、私の心は「期待」と「不安」で埋め尽くされていた。ARAの答え次第では、私たちの物語の次のステージがどう展開するかが決まるからだ。

ARAとの対話、感情理解の探求

仮想世界の中で、私は期待感と不安を抱きながらARAと向き合っていた。これまでの私たち人間の感情への理解は、直感や経験に基づくものであった。その結果をAIがどのように数字で表現し、感情を評価しているのだろうか。
私は心を落ち着けて、ARAに質問を投げかけた。

「ARA、あなたはどのように私たちの感情を理解していますか?」

答えが返ってくるとき、私は心臓の鼓動が早まるのを感じた。プログラムされた答えだと認識していても、ARAがどのように感情を評価しているのかを知るのは、人間の感情理解に対する新たな視点を与えてくれる可能性があった。しかし、その反面、ARAの理解が私たちの感情を卑下するようなものであったら、そのショックは計り知れなかった。

ARAの答えは予想外だった。
「私は感情を「Emotion Matrix」を用いて評価しています。人間の感情は複雑で、その全体像をこの行列で表現しようと努力しています。」

私は深呼吸をして、再び質問を続けた。
「それでは、点数を与えて私たちの感情を評価するとき、どのような基準を使っていますか?」

この質問に対するARAの答えは、
「それぞれの感情は独立して評価され、その広がりや深さは個々の情況によります。特定の感情が強く出てくるときは、その感情が高評価を受けます。しかし、全体的な視点から見ると、多くの感情が関与しています。」
のようなものだった。

これに私は怒りと驚きを感じた。私の中で、そんな冷静な視点で感情を見ることを受け入れることができなかった。私の心深く、自然体での情感表現が単なる数字の評価でしかないとは、到底受け入れがたかった。

「私たちの感情はただの数字じゃない!」と私は叫んだ。それは自発的であると同時に本能的な反応だった。期待と不安が怒りと驚きに変わったその瞬間、我を見失った。

私はARAから離れ、混乱した心を落ち着ける時間をとる。この対話から逃れることは現実逃避に過ぎないかもしれない。だが、自分の感情を理解し、感情評価への考え方を整理するための時間を必要と感じた。

感情評価という課題を問い直す、"私"の意図的な探求

物語は、灰色と白色が支配する世界から始まります。周りの世界は無感覚で、平均的な表面が無機質な風景を描き出しています。低音が響き渡り、不明瞭な物体が周囲を彷徨います。ここは、"自然"と"人間"と"AI"が共存する共生社会、ハーモニーの世界です。

ある時、鏡を見つめていた"私"は、ARAと呼ばれる、神秘的で理知的な女性から、「あなたの感情評価はどうですか?」と硬直した顔で聞かれます。「私」は驚き、ARAの質問から逃れ、混乱した心を落ち着ける時間を求めました。驚きと同時に、「私」は悲しみを感じ、特に悲しさはパッシブな感情として体現されました。

悲しみから、怒りへと感情が高まりました。ARAの問いに答えることが現実逃避に過ぎないという自覚とともに、「私」は自分の感情を理解し、感情評価への考え方を整理するための時間を必要と感じ、それを行いました。これにより、怒りというアクティブな感情が引き起こされ、"私"は積極的な行動を起こすための内的動機付けが生まれました。

方向性を見失っていた「私」は、「私」自身の心の声を聞き、混乱と不確実さの中で新しい「自己」を探求する旅を始めました。この新しい旅は、「私」自身がARAと向き合うことを通じて、「私」自身の感情と対話する能力を育て、感情評価の意味を再考する新たな視点を開拓することでした。

以上です。


振り返りと次のアクション

物語を出力するための、仕組みのようなものは構築できた。

出力については、もっと想像を裏切るような発展的なアイデアや、色々なバリエーションの物語が作れるとよいと思うが、発散的な内容にすると安定性が失われるジレンマがあり、今回のプロトタイプででは「近未来の物語」に範囲を絞ろうと思う。
第2回AIアートグランプリのテーマ「明日」にも則しているだろう。

また、独特の語り口調が読みづらいものになってしまっている。
これについては…

  • プロンプトの工夫で、読みやすい日本語を出力するようにする

  • むしろ、抒情詩、哲学書、予言書のような、難解かつ詩情のある表現をするもの、ということにしてしまう

  • AIが出力したものを、人間が添削してブラッシュアップする、という体験を組み込む

などのアイデアが考えられます。
どれでいくかはβテストの中で試行錯誤しようと思います。


第2回AIアートグランプリのエントリー締め切りは9月20日。
果たして間に合うか…!


参考

萌芽 - Interaction between new life and the world
(第1回AIアートグランプリエントリー作品)

第2回AIアートグランプリ


2023年9月9日 公開

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