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暦のおはなし (1)

今日は、【精霊の日】で、満月ですね。
(大阪は、あいにくの雨模様ですが・・・)
破壊と再生の日でもあるそうでして・・・
そのせいかどうかは知りませんが、朝からネット接続が出来ず、大わらわでした。(汗)
で、30分ぐらいかけて、修復作業をして、やっと開通。
昨日のうちに書き綴っていた記事の冒頭に、ほっとした気持ちを書き込んで、いよいよUPです。

 今日の満月のことを「ワームムーン(芋虫月)」と呼ぶらしいです。
虫が春の訪れに伴って、動き出すことに由来しているそうです。
二十四節季では、今の時期を、啓蟄(冬ごもりしていた虫が動き出す)と言いますし、東西で同じような表現があるのが、面白いですね。

このように、歴史(特に古代史)を考察していけばいくほど、暦に関する知識が大切であることに気づかされ、もっともっと知りたいな、と感じることが多いです。

暦は、人間の生活上、大きな意味を持っています。

 人は、農業や漁業、色々な場面で、天候や季節の移り変わりを知ることで、より多くの自然の恵みを享受することが可能になりました。
人は豊かさを求め、暦の研究をしてきたのです。
ですから、暦を正確に知り、生活に役立てる術を確立している民族は、発展しやすいように思います。
日本は四季のメリハリが分かりやすい国だったせいか、暦の発展水準はあまり高くならなかったのですが・・・
それでも、陰陽師が登場し、暦の研究が行われました。
(農業分野よりも、占い分野での利用でしたが・・・)

さて。
暦を考えていくのに、天文学、特に天体観測は、欠かせません。
世界中の古代文明で、天文台がつくられ、専門職が置かれ、研究が進められました。
ですから、現代の天気予報や季節の移り変わり、暦について、ネット等で簡単に知ることが出来、深く考えていない私たちよりも、古代の人間の方が、天文学に詳しい人が多かったのです。

で、改めて、暦について、少しずつ勉強していこうと思った次第です。
まず最初に考察したのが、【月】です。
今日が、満月なのも題材に選んだ理由になりますが、何といっても暦における月が果たした役割は、とてつもなく大きいと考えているからです。

月は、地表から観測すると、約29.5日で同じ形に見える周期性を持っています。
ところが、月の公転周期は、約27.3日です。
2日ほどのズレがあります。

昔、Yahooコメント欄で、
「一ヶ月は30日なのに、月の公転周期は27日だ。おかしい。」というものがあり、
それは、古代人のレベルが低かったからだ、という話でまとまりかけていたので・・・
さすがに、それは違うんだけどなあ、と思い、
「月の公転周期と暦で使われる月の周期は違う。
 なぜなら、公転周期は地球の周りを一周する周期で、
 地球が太陽を公転する差分が加算されていないから。」
と書いたことがあるのですが、
恐ろしいことに、「そう思わない率が80%」となりました。
日本人の天文学に関する知識のなさに絶句したことがあります。

 まあ、ヤフコメは置いておいて。
実際の所、どういうメカニズムで、月の公転周期と暦での月の周期に違いが出ているのでしょうか?
自分で、CADを使って、説明図を描いてみました。
なお、お話を簡単にするため、太陽も月も地球も真円、公転軌道も真円軌道で計算し、自転軸の傾きも無視して、おはなしを進めさせていただきます。

月の周期ズレを説明するための図

上の図を見てください。
太陽を中心にして、二つの地球と月の組み合わせを記載しました。
下側の組み合わせは、地球と月、そして、太陽の中心を一直線になるように配置しています。
上側の組み合わせは、月が地球の周りを一周する間に、地球が太陽を公転した時の位置を表わしています。

地球から見た月の姿は、(暦に使っている地表からの月の周期計測なので)

太陽と地球と月の位置関係

で決まります。

月の公転周期は、

地球と月の位置関係

で決まります。

つまり、

  • 太陽と地球の位置関係を考慮しないのが、月の公転周期

  • 太陽と地球の位置関係を考慮するのが、暦上の月の周期

になるわけです。

さてここで、地球の公転周期は、1年は約365.25日です。
365.25x4=1461日で、キリの良い数字として計算します。
4年に一度、閏年として1日を足すのは、このためです。
(もちろん、厳密には異なりますので、さらに調整していく必要はあります)

さて。地球が真円軌道を描くとすれば、一日にどれぐらいの角度を動くのでしょうか?

360°/365.25日 = 0.9856262833675565°/日

として、表すことが出来ます。

一方、月が地球の周りをまわる公転周期は、約27.322日です。
(これは、現代の科学技術で明らかになっている数字です。時代と共に精度が上がったり、月と地球の関係性の変化で変わったりします。)

360°/27.322日 = 13.17619500768611°/日

さらに、地球が、月の公転周期、すなわち一周する間に太陽の周りを進む角度は、

0.9856262833675565°/日 x 27.322日

26.92928131416838°になります。
(図は四捨五入の影響で少し数字が異なっておりますが・・・)

ただ、図でも分かりますように、月の公転周期のみで考えると、
太陽・地球・月が一直線に並ばないようになっています。
理由は簡単で、「地球が移動しているから」です。

ですから、月はさらに、26.92928131416838°動かないといけません。
月が一日に動く角度は、13.17619500768611°ですから、

26.92928131416838°/13.17619500768611°=2.043782844626969日

だけ、余分に時間がかかることになります。

実際には、その二日間の間に、地球はさらに、2.043782844626969°も動いてしまいますので、

2.043782844626969日 x 0.9856262833675565°/日
=2.014406089160052°
だけ、計算が合わないことになります。
まるで、アキレスと亀のおはなしを楽しんでいる気分です。w

地球が約2°動くの間の月の動きを計算すると、

2.014406089160052°/13.17619500768611°=0.1528822310223082日

さらに3.669173544535397時間、月が動いていることになります。

これが、延々と続いていくわけですが、(いわば極限の世界です)

計算が続きすぎるので、ここで丸めておきます。

27.322日+2.043782844626969日+0.1528822310223082日
=29.51866507564928日

が、地表からの観測した周期になります。
(大雑把でスイマセン。)

ただまあ、29日12時間44分ぐらいが正解なので、
今回の計算結果では、

0.51866507564928x24=12時間26分53秒

となり、約17分程度のズレで計算できていることになります。
(楕円軌道での計算ではないので、これぐらいの精度で勘弁してください。(汗))

人類は、この月の周期と太陽の周期を関連付けて、暦を考えていくようになるんですね。
約30日で月が1周(1月)
12回月が巡ると、1年。
太陰暦(月基準で計算する暦)では、1年が360日となります。
5.25日のズレがありますので、平均で約6年に一回閏月となるのですが、実際の太陰暦では、もっと複雑な周期で、閏月が入ることになります。

この辺りの計算方法の変遷も、調べれば調べるほど、面白いですね。
ただ、入手可能な文献が限られています(私の財力と絶版等)ので、どこまで、知ることが出来るのか未知数ですが、楽しみながら、進められたら、と思っております。

多分、暦の研究については、面白くないと思う人が多いと思います。
が、まあ、一部のマニアックな人が楽しんでくれたら良いなということで、細々と取り上げていきたいと思います。

#月 #太陰暦 #太陽暦 #暦 #松賢堂 #歴史

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まっちゃん
しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。