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種子島紀行 〜 宇宙編

鹿児島に赴任して以来、宇宙少年の血が騒いで仕方がなかったのですが、先日、ずっと行ってみたかった種子島を訪ねることが出来ました。

種子島といえば、日本の主力ロケット H2A が打ち上げられてきた島であり、私、ISSAの憧れの場所だったのです。

日本のロケット発射場
現在、日本には4つのロケット発射場があります。

日本のロケット射場
(Created by ISSA)

それは、JAXA (注1) が運営する鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所及び種子島宇宙センターと、ベンチャー企業が運営する北海道大樹町及び和歌山県串本町に所在する2つのスペースポートです。

(注1) 正式名称は宇宙航空研究開発機構。2003年に宇宙開発事業団(NASDA)等の3機関を統合してJAXAとなった。

内閣府・総務省・文科省・経産省が共同所管する国立研究開発法人で、政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関と位置付けられている。

以前、内之浦宇宙空間観測所について、ご紹介しましたが、

今回は、種子島宇宙センターのご紹介となります。

種子島について
種子島は鹿児島県に属し、人口は29,282人と、県内では奄美大島に次に人口が多い島となっています。

広さは日本で10番目と、割と広めですが、最高点の標高は僅か282.4 mと、島全体が平べったい形をしており、九州最高峰の宮之浦岳(1,791m)を擁する隣の屋久島とは対照的です。

種子島は鉄砲伝来等、歴史的にも興味深い場所であり、そのことについては、次回「歴史編」でご紹介致します。

高速船トッピー・ロケット
種子島までは、鹿児島市の港から出て、海上を時速80キロで航走するジェットフォイルで約1.5時間です。

種子島までの経路・手段
(Created by ISSA)

ちなみに大隅海峡は、日本に5つある国際海峡のひとつで、国際法上、通過通航権が認められる水域となっています。

近年、中国やロシアの海軍が大隅海峡を通航する事例が増えてきており、海自や海保が警戒を強めています。

尖閣諸島や台湾での有事を考慮すると、種子島は戦略的要衝なのであり、西之表市の飛び地で無人島だった馬毛島に急ピッチで自衛隊の基地を造っている理由は、そこにあります。

トッピーから馬毛島を望む
(Photo by ISSA)

かつて、厚木周辺で行われていた米空母艦載機の離着陸訓練(FCLP)は、現在、硫黄島で行われていますが、その訓練を馬毛島に移転し、

やがて、護衛艦「いずも」や「かが」に搭載するF-35B戦闘機オスプレイの前進基地にもなるでしょう(旅先でも、つい戦略的思考のスイッチが入ってしまうISSAなのでした・・・😅)。

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前置きが長くなりましたが、本題の種子島宇宙センターについてご紹介します。

種子島宇宙センター
沖縄返還前の1966年5月、日本国内で可能な限り赤道に近い場所 (注2) として、科学技術庁宇宙開発推進本部が種子島南部がロケット射場に選定し、今日に至っています。

(注2) 射場選定に際し、次のことが考慮された
● 南東方向への発射に際し、陸海空の安全に支障がないこと
● 静止衛星打ち上げに際し、地球の自転エネルギーを利用できること

施設は一般開放されていて、ある程度は自家用車で見て回ることができますが、詳しく知りたいときは、ガイド付の無料バスツアーが便利です。

宇宙科学技術館にて
(Photo by ISSA)

待ち時間は、宇宙科学技術館で、JAXAに関する様々な展示物を見ることができます(こちらも無料)。

宇宙科学技術館にて
(Photo by ISSA)

下の写真は、左から右に向かって日本が生み出してきた一連のロケットです。

最後の3つがH2A、H2B、H3
(Photo by ISSA)

バスツアーが始まると、最初にロケット・ガレージに案内されます。

写真奥に見える白いカバーは、H2Aロケットのフェアリングです。H3になると、大型バス1台を収納することが出来ます。

写真手前の黄色い円筒は第2段目のロケットで、断熱材(茶色部分) (注3)でおおわれています。

ロケット・ガレージでH2Aの説明を受ける
(Photo by ISSA)

(注3) H2Aは、温度が-253℃の液体水素と-183℃の液体酸素を推進剤としている。 これらは高出力を生み出す一方、断熱材を使用しなければ、太陽熱などによって蒸発し易いという欠点がある。

H2Aは、2001年8月の初号機以降、49機中48機の打ち上げに成功し、打ち上げ成功率は世界最高水準の97.9%を誇る日本の傑作機と言えるでしょう。

この写真は、H2Aロケットのエンジンで、東京~大阪間を僅か55秒で到達させる強力な推進力を生み出します。

H2Aロケットのエンジン
(Photo by ISSA)

種子島周辺の海はとても美しく、「世界一美しいロケット発射場」などと呼ばれています。

ロケットの丘から発射場を望む
(Photo by ISSA)

発射場内は撮影禁止だったので、展示ブースに掲示されていた写真を拝借しました。

展示ブースに掲示されていた
打ち上げを待つH2Bの写真
(Photo by ISSA)

高さ80mの大型ロケット組立棟(VAB)には、来年度打ち上げ予定のH2Aの50号機(最後の1機)と、2025年2月1日に打ち上げが予定されているH3の5号機が格納されているとのことでした。

これらの大型ロケットは、全重量の80%以上を燃料が占めているので、身軽な状態でロケットをVBAから発射台に移動させた後、打ち上げ直前に液体燃料 (注4) を注入する仕組みになっています。

(注4) 先述のとおり、液体燃料は蒸発し易いので、打ち上げ直前の燃料注入が望ましい。一方、イプシロン・ロケットには打ち上げの所要期間を短縮できる固体燃料方式が採用されている。軍事用のミサイルには固体燃料が多く採用されており、国家安全保障戦略で認められた反撃能力にイプシロン・ロケットの技術を転用できる潜在能力を担保しておくだけでも、十分に抑止力の一翼になるとする見方もある。

こちらは、H2ロケットの実物大模型です。敷地の総面積は970万平方メートル(東京ディズニーランド20個分)もあるので、広々とした敷地と南国の海が楽しめます。

H2ロケット実物大模型
(Photo by ISSA)

ツアー終了後は、JAXAの社員食堂で、定番のロケットカレーをいただきました。

カフェテリア「宙飯屋」とロケットカレー
(Photo by ISSA)

増田宇宙通信所
宇宙センターから少し北に上がったところに、増田宇宙通信所という施設があります。こちらも無料開放されています。

増田宇宙通信所の広報ブースにて
(Photo by ISSA)

1974年の開設以来、人工衛星の軌道・位置・姿勢や搭載機器の作動状態をモニターし、筑波宇宙センターに中継する役割を担っています。

増田宇宙通信所の広報ブースにて
(Photo by ISSA)

また、必要に応じて人工衛星にコマンドを送ったり、ロケットから送られるテレメトリ信号を受信してロケットの飛行状態を監視する役割も果たしています。

増田宇宙通信所の広報ブースにて
(Photo by ISSA)

種子島空港
通信所から更に北に上がると、種子島の中ほどに空港があるのですが、ターミナルの一角にも宇宙をテーマとしたブースが準備されていました。

種子島空港ターミナルにて
(Photo by ISSA)

売店まで、宇宙一色です✨

種子島空港ターミナルにて
(Photo by ISSA)

種子島はアニメ巡礼の地にもなっていて、新海誠監督のアニメ「秒速5センチメートル」の第2話「コスモナウト」の舞台でもあります。

アニメ「秒速5センチメートル」
第2話「コスモナウト」
Comix Wave Films

この秋、公開予定の実写版が楽しみです。

そして、極めつけはこの美しい星空…✨

月とヤシの木と流れ星
(Photo by ISSA)
月とヤシの木と天の川
(Photo by ISSA)
北極星を望む
(Photo by ISSA)

👆これらの写真は特別なカメラではなく、スマホで撮ったものです。これだけ美しい星空と沢山の流れ星に出会えたのは、本当に久しぶりでした。

しかし、凄い時代となりました。スマホにシャッター開放機能さえあれば、誰でも簡単にこのような天体写真を撮影することができます。

天体写真撮影時のスマホ設定
(Created by ISSA)

星々との対話に夢中になっていたら、夜明けを迎えました。

太平洋から昇る朝日
(Photo by ISSA)

まさに、宇宙づくしの種子島でした✨

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以下、ご参考です。

冒頭でベンチャー企業のことに触れましたが、宇宙開発の民営化は既存の宇宙環境を守るための国家宇宙戦略の一環でもあります。

和歌山県串本町にある「スペースポート紀伊」では、東京のベンチャー企業「スペースワン」が小型ロケットの打ち上げを行っています。

失敗が続いているようですが、何とか(文字どおり)軌道に乗って欲しいところです。

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ちなみに、ですが・・・。

フェルミのパラドックス」って
 ご存知でしょうか。

考え始めると、
眠れないほど面白いですよ〜😁✨

興味がある方は、是非、こちらも、ご覧になってください👇️

いつも、ありがとうございます🍀