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BUST WASTE HIP

 まだ小学校の時だったような。もう少しで中学生になるという頃に、父親におねだりして、CDダブルラジカセを買ってもらいました。音楽を聴くという事自体が少しトレンディというかなんというか。私の中の時代としては、その程度の時代だったと記憶してます。そうそう、私がどんな世代かといえば、昭和50年代前半生まれで、現在40代前半というおじさん世代です。一応。

 この一枚を買ったきっかけは、そのラジカセでかける自分のCDが欲しくて欲しくて。それで選んだんだけど、本来なら聞きたい曲があるから再生機を買う。なんだろうけど、そうじゃなくて。中学生にもなりゃ、CDのひとつくらい、好きなアーティストのひとりくらいいねーと。なんていうかそんなスタンスの。今にして思えば、なんだかよくわからない思考回路だなと思いつつ。後に音楽はやっぱり最高だなって思う事になるんだけど、その頃は模索期というか、なんにも考えもない。それにしちゃあいい一枚を一枚目に選んだなと、今でもそんな風に思います。

 このアルバムは、テレビのドラマかなんかでタイアップになってて、いわゆる流行りの、耳に残る歌が入ってるCDだからという程度の理由で買ったのでしょう。言わずとしれた情熱の薔薇という一曲。でもこれがなんていうか後に生きてくるというか、もちろんその時もたくさん聞いたし、大好きな曲で、大好きなアルバムだったんだけど、どちらかというともっとずっと後に、これってやっぱすごいなって再度感じる事になる。
 テレビで流れてる曲って、流行ってるよねとか、みんなが聞いてるからとか、だからいい曲かなんてもちろんそんなわけなくて、(とはいえ、流行りが悪いとは思ってるわけじゃない)後の時代にこのCDを流行りの一枚として扱って購入した自分に腹を立てた事もありました。つまりなんていうか、きっかけはテレビかなんかでこの曲を知れた事で、ヒロトとマーシーに出会えたんだけど、そのおかげで後の彼らの作品やステージに心躍らせる事ができたんだけど、テレビから流れてこなくたって素晴らしいものは素晴らしいわけで。流行りの曲だからなんていう括りを一度でも彼らに対してした自分を恥ずかしく思っていた事もあるのです。彼らにはそれくらいのめり込みました。
 まあ音楽は聴くものであって、その瞬間大爆発を起こすような興奮や感動があれば、あとは何もいらないんだろうけど、ここは少し昔を思う時間にして、このアルバムを振り返ってみようと試みます。

 初めて買ったCDは、THE BLUE HEARTSの
『BUST WASTE HIP』

 まずはタイトル。
 小学生のわたしにはこの英語の意味なぞわからず、さぞかし素敵なオシャレな意味だと想像してましたが、後に知る。何というふざけた。バストウエストヒップって。なんとも小気味のいいタイトルですよね。これがわかるか?ざまーみろい的な。ツアーの名称もこのままだったし。

一曲目
イメージ
  くだらねぇ仕事でも仕事は仕事
  働く場所があるだけラッキーだろう

  なんつーか大事なのはイメージって事よ。

二曲目
殺しのライセンス
   電信柱によじ登り東京タワーに飛び移れ

 タイトルとは裏腹に楽しい一曲。コピーバンドしやすい。

三曲目
首吊り台から
   最高のラストシーンは…

 首吊り台から歌ってくれるって。

四曲目
脳天気
   空が晴れてる日には
    どうでもいい気がする。

 夏の暑い日に外ををうろついてる感じの歌が時々でてくるマーシー。夏になると、時々近鉄のキャップかぶった少年のマーシーがイメージに出てくる事がある。

五曲目
夜の中を
   月の光のゼリーを木の葉に包んだら
    ほうき星にまたがっていこう。

 今度は寒いかも知れない夜にふたりでウロウロする。夜のジグソーパズルって少年のわたしにはわからなかった。

六曲目
悲しいうわさ
   うわさが本当だったら
    うわさが本当だったら

 嘆くような歌もたまに出てきます。マーシーの歌。昨日悲しいうわさ聴いた。それが歌になってる。

七曲目
Hのブルース
   月曜も火曜日も大して変わらない
    くだらない毎日に風穴をブチあける

 ブルージーに。ブルーハーツがくだらない毎日に風穴をブチあけます。

八曲目
夢の駅
   あしたの朝は映画を見にいこう
    本当の勇気を教えてくれるような

 映画も好き。ヒロトの歌には映画がたまに出てくる。幸せばかりの夢の駅。いいですね。

九曲目
恋のゲーム
   ジプシー夜の口笛を
    三日月にぶらさげて

 恋の歌って言うけど、やっぱり少年の私にはピンとこない。ジュリエットとロミオ。

十曲目
スピード
   ものすごいスピードだ。

 はげしく。なんか途中から歌詞が重なってるし。これもマーシー感のひとつ。

十一曲目
キューティーパイ
   オー。ロクゴーサンゴー。オーイエー。

 そんで、まさにマーシー。この頃はさっぱりだったこの一曲。このアルバムやっぱりすごいんだ。しれっと次にあの曲が来る。彼らにしたらどの曲も変わらないんだろうけど。心意気が好き。

十二曲目
情熱の薔薇
   なるべく小さな幸せと
    なるべく小さな不幸せ
   なるべくいっぱい集めよう
    そんな気持ちわかるでしょう

 とにかく聴いて、感じて。それでいいじゃないか。と。しょっちゅう聴いてるから、懐かしいとかそうそう感じでもないんだよな。名曲。

十三曲目
 真夜中のテレフォン
  最終電車で君がもどるのを待っていた

 なんか一味違う声と思ったら、これはカワちゃんの歌。中学生のとき、これ口ずさんでたら、近くで輪唱してきたクラスメートがいて、なんだか嬉しかった。

十四曲目
ナビゲーター
  この旅は気楽な帰り道
   のたれ死んだところで本当のふるさと

 ナビゲーターは魂です。つい口ずさむし、勝手に元気になってます。開き直れる感じで。

 noteお題企画に、#初めて買ったCD
というテーマがでてきたので、思い切って書いてみました。
 書いてみましたけど、やっぱりこれは表現するの難しいですね。CDに対する思い出とかってなんかどんどん塗りかわっていく気もするし。
 今でも自信を持って好きな一枚だけど、あの時と今とでは、聴いた時の感じ方も違うし。

 だけど今もまだ、ヒロトやマーシーはステージで歌っていて。自分はすっかり社会的には大人になってしまい。そんなステージを見に行く機会もめっきりなくなってしまいましたけど。  
 ただ音楽聴いた時の興奮は、あの頃ほどではないかも知れないけど、今だに感じることができている。  
 ロックンロールのイメージって、その場で、あなを掘ってるようなもんだってヒロトが言ってだ気がする。よく、お前まだそんな事やって子どもたちを騙してんのか?って言われる事があるんだって。だけど俺もすっかり騙されたんだって。ドリフと一緒なんだ。もしかしたら、大人になって、もうロックンロール聞かないってなる人もいると思う。だけど、必ずこれを聴くやつはそこにいるんだ。ヒロトやマーシーはあんまり語らないけど、心に響く言葉をたくさん残します。何より彼らのステージは最高でした。
 少年の僕には、一枚3000円もするCDを買うだけで目一杯でしたが、今よりずっと大切にしてましたよね。一枚のCDを。コンサートは一回5000円くらいだったし、高校生になるくらいまでは、お預けだったけど、BUST WASTE HIP生で感じたかったな。

 思えば最近はもうすっかり新しいCDなんて買わなくなっちまいました。前は、夢中でいろんな人の探して聴いてたけど。なんとも寂しい気持ちです。
 もう買わないのかな?CD。音楽は聴くけど、みんな昔買ったCDばかり。一番最近買ったCDってなんだろう。今度は思い切って最後に買ったCDをテーマに書いてみようかな。


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