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一字違いで結構違う。『警察庁』と『警視庁』について
テレビドラマでもよく出てくるようになった、『警察庁』と『警視庁』。未だに質問を受けることも多いこの二つの組織、どちらも警察の組織であることは変わらないのですが、名前が紛らわしいこともあり、混同する人も少なくないようです。そこで、『警察庁』と『警視庁』の違いについて、いくつかのポイントをまとめてみました。
1:『警察庁』=国の警察機関、『警視庁』=東京都の警察機関
警察の組織は、大きく分けて「国」の警察機関と「都道府県」の警察機関に分かれます。前者の代表が『警察庁』、後者の代表が都道府県警察です。そして、都道府県警察のうち、東京都内を管轄しているのが『警視庁』となります。
各道府県警察のトップが本部長であり、警察官としての階級が警視長(警視庁との混同注意!)ないしは警視監であるのに対し、東京都警察のトップは階級としては最上位の警視総監。警視総監は、階級名であると同時に職名であるのもユニークなところ。しかし、警察組織のトップは、警視総監ではなく、警察官としての階級を持たない、警察庁長官なのです。
警察庁長官の任務として、都道府県警察を指揮監督することが定められており(警察法16条2項)、警視庁も東京都警察としてその指揮監督に服することになります。したがって、一般的には、警察庁は警視庁より立場が上ということになるわけです。
(とはいえ、警視庁は、その沿革や首都警察という観点から、人員や装備なども、他の道府県警察とは一線を画す巨大組織となっています)
もっとも、警察庁が都道府県警察を指揮できるといっても、警察庁の警察官が直接被疑者を逮捕したり、聞き込みなどの事件の捜査を行ったり、運転免許業務の窓口に立ったりするわけではありません。あくまでも、都道府県内の警察業務は、都道府県の警察官が行います。警察庁の指揮監督は、あくまで都道府県警察を間に挟んだものなのです。
警察庁は、都道府県警察の指揮監督のほか、全国にまたがるルールの企画立案、都道府県警察相互の権限調整、国の他省庁との調整、警察行政に関する諸外国との交渉窓口などを担当しています。
*ここでは、記述を簡単にするために公安委員会や管区警察局、皇宮警察などについては触れていません。あしからず。
2:警察庁で働く人=全て国家公務員、警視庁で働く人=地方公務員(一部、国家公務員含む)
警察庁で働く警察官は、全て国家公務員です。その中には、国家総合職試験(旧国家1種試験)に合格した、いわゆるキャリア組もいれば、国家2種試験に合格したいわゆる準キャリアもいますし、都道府県警察から出向してきた人もいます。
警察庁というとキャリア組しかいないと思われがちですが、局や課によるものの、都道府県警察からの出向で来た人もかなりの数働いているのが実態です。
一方、警視庁をはじめ、都道府県警察で働く警察官は、原則として地方公務員です。しかし、警視庁には、警視庁採用の警察官に加え、警察庁から警視庁に出向するケースも少なくありません。また、警視総監をはじめ、警視庁の幹部の多くは国家公務員で採用されたいわゆるキャリア組です。
このあたり、どうなっているのでしょうか?
実は、国家公務員か地方公務員かは、階級によって扱いが異なります。
ちなみに、警察官の階級は、上から次のとおりです。
・警察庁長官(階級なし)
・警視総監
・警視監
・警視長
・警視正
・警視
・警部
・警部補
・巡査部長
・巡査長
・巡査
カギとなるのは、警視正以上か、警視以下か。警視正以上は、警察庁で勤務しようが都道府県警察で勤務しようが、全て国家公務員として扱われます(警察法37条1項1号など)。一方、警視以下は、警察庁にいるときは国家公務員、都道府県警察にいくときは地方公務員となります。
したがって、警視の階級で警察庁から警視庁に出向する際には、警察庁から「辞職」の辞令をもらい、警視庁で新たに「採用」の辞令をもらいます。警視庁の警部や警視が警察庁に出向する際も、やはり警視庁から「辞職」の辞令をもらい、警察庁から「採用」の辞令をもらうことになるわけです。
ややこしい話ではありますが。。。
結果、警察庁の警察官は全て国家公務員、警視庁の警察官は、多くは地方公務員ですが、幹部のみ国家公務員となります。
*ここではスペースの都合で警察官についてのみ述べていますが、警察には事務官や技官など、警察官以外の職種でも多くの人が働いています。
3:ピーポくんは警視庁のマスコットです!繰り返します。ピーポくんは警視庁のマスコットです
警察のマスコットキャラクターとして有名なピーポくん。しかし、ピーポくんはあくまで警視庁、すなわち東京都だけのマスコットです。ここ、間違う人が多いのでもう一度いいますが、ピーポくんは警視庁=東京都警察のマスコットです。
ただ、ピーポくんをはじめ、都道府県警察はそれぞれ特徴的なマスコットキャラクターを作っています。例えば、千葉県警であればシーポック、大阪府警であればフーくんとケイちゃん、などなど。県によってはかなりユルいキャラクターもあり、自分の出身県の警察キャラを見つけて悲喜こもごもするのも面白いでしょう。
(個人的には、藤子不二雄A先生がデザインした富山県警察の立山くんが好みです)
また、各県警が舞台の警察フィクションを見たとき、その県警のマスコットが、例えば応接室の飾りや制服のエンブレムなどでふと現れたりすると、ぐっとリアルな感じがすると思います。
ちなみに警察庁のマスコットは、、、、ありません。マスコットが無いのが警察庁と覚えておくと良いかもしれませんね!