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冬の気配が近い朝、窓ガラスから滲み出る冷気に私は凍えていた。それは隙間があればするすると入り込む蛇のようなものだ。カーテンを開けると薄暗い灰色の部屋は一気に黄色に照らされる。空は明るくなっているが夜の空気はまだ去っていない。電線の上の雀たちはまだ膨らんでいない。この程度の寒さは平気なのだろうか。布団から這い出たばかりの私は急速に熱を失っていた。 昨日の夜から使いかけのマグカップをざっと水に通し、冷蔵庫から出した牛乳を注ぐ。前日のコーヒーの跡が一瞬浮かんでかき消される。そ