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第4回 従業員エンゲージメントを高める方法

本連載では、世界的な規模で展開された調査、「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト(GLF)」により導き出されたリーダーシップに関する未来予測の中から、特に重要な所見を取り上げて紹介する。

これは、株式会社マネジメントサービスセンター(MSC)と米国DDI社との協力で実施した大規模なリーダーシップ調査であり、世界50ヵ国以上、13,695名のリーダーと1,827名の人事担当者の回答を検証したものである。日本からは、2,158名のリーダーと161名の人事担当者が参加している。


前回では、リーダーの質に対する評価の低下と、そのリーダーの燃え尽きを防止する方法について紹介した。今回は、社員のエンゲージメントを高める方法の1つとして目的意識(パーパス)の明確化を取り上げる。

1.目的意識(パーパス)の明確化がエンゲージメントを高めるカギ

図表1は、自己の仕事において、意義や目的を見出していると感じているリーダーの割合を示している。

グローバルの傾向や日本の状況を見ても、上級幹部になるほど目的意識を見出している人の割合は高くなっている。現代では様々な情報が容易に入手可能となり、社員が仕事の意義や目的(パーパス)を明確にすることの重要性が高まっている。しかし、リーダー自身や社員にパーパスを明確にさせるには、どのような手段が必要であろうか。以下ではその成功のヒントを解説する。

2.仕事の意義と組織の課題:日本の現状とその対策

パンデミックをきっかけに、多くの従業員が仕事とプライベートの優先順位を見直すようになった。こうした状況下で、組織が人材獲得に奔走する中、多くの組織は目的の重要性(パーパス経営など)を訴求している。

しかし、調査結果からは、これらの活動が成果やリーダー自身の実感にはつながっていないことがうかがえる。私たちのデータによれば、「自身の仕事に意義や目的を見出している」と感じている経営幹部は、グローバルで55%、日本では34%にとどまっている。特に、初級・中級管理職では、戦略やビジョンにかかわる議論にあまり関与していないこともあるだろうが、日本では15%という結果であり、この数値はグローバルの41%と比べても顕著な差を示している。つまり、日本では、85%の初級・中級管理職が、自身の仕事に意義や目的を見出すことができていないと回答しているのだ。

職場で仕事の意義や目的について対話の機会をもつことの有用性や、組織開発などの施策の意味に関する認識は近年、高まっている。ただし、効果測定の困難さやコストの問題から、実行に移されるケースはそれほど多くないようだ。しかし、私たちの調査によると、この取り組みの効果は絶大である。リーダー自身が仕事に意義や目的意識をもつと、次のような効果があることが報告されている。

・自らの役割に積極的にコミットする確率が9倍に増加する。
・今後1年間、組織に留まる確率が2.4倍になる。

また、個々のリーダーの目的意識は、組織全体に連鎖的に影響を与える。リーダーが仕事に意義を見出せなければ、チームも同様に結びつきや意義を感じにくくなる可能性があるのだ。

3.トップダウンアプローチにより、リーダーに「意義や目的」を浸透させる

目的意識が強い人とそうでない人の違いは何か。私たちは、階層を問わず、目的意識を高めるためにリーダーが取るべき行動を特定した。

1.キャリアに関する話し合いを頻繁に行い、有意義にする
リーダーが自身の次のキャリアを明確にすると、自らが社内でどのように成長し、現在そして将来に貢献できるかをより理解することができる。自身のキャリアパスを理解しているリーダーは、そうでないリーダーに比べて、仕事に意義と目的を見出す確率が4倍も高くなる。

2.「成功」とは何かを明確にする
リーダーが何をすれば良いパフォーマンスとして認められるのかを明確にすることで、自身の役割と貢献の重要性について考えるようになる。

3.内省を奨励する
リーダーは、自身の仕事と組織の戦略目標について考える時間をもつことで、自身の職務と戦略を結びつけることができ、目標を達成するための革新的な解決策を見出すことができるようになる。

4.リーダーが業務を遂行するためのツールを提供する
業務を遂行するためのツールがあると回答したリーダーは、そうでないリーダーに比べて、自分の仕事に意義と目的を見出す確率が5倍も高くなる。

リーダーが有意義なキャリアパスについて話し合い、期待されることを理解し、内省し、適切なツールを活用することで、目的意識をもつ可能性が高くなる。実際、こうした経験をしたリーダー(グローバル)の87%は、自身の仕事に多くの意義と目的を見出していると確信しているのに対し、そうでないリーダーはわずか25%しか意義と目的を感じていなかった。

なお、2024年4月4日から新たな「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト(GLF)」調査を開始する。自社のリーダーシップ施策を世界各国の組織と比較をする絶好の機会となるので、興味のある方はこちらを参照していただきたい。

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6.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

7.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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