実家に戻れない4年間

地球市民の会のミャンマー事業スタッフが書くミャンマーにまつわるエッセイ。第54回は鈴木が執筆しました。

※この記事は、地球市民の会のミャンマー復興支援基金に10万円以上ご寄付いただいた方、継続ご寄付いただいている方(Mサポ会員様)への限定記事となりますが、寄付者以外の方でもご購入いただけます。売上金は地球市民の会の活動のために使わせていただきます。

※Mサポ会員様には記事内容をメールでお送りいたしますので、note上でご購入いただく必要はありません。


タンボジセンターの卒寮式

地球市民の会は、タンボジセンターという寮を運営しています。ミャンマーの高校生を、1学年につき6~8名受け入れ、高校に通いながら農業畜産技術を習得できるようにサポートしています。センターから高校へは、自転車で30分ほどです。生徒たちは、平日昼間は学校に行き、朝や夕方、土日はセンターで農業をするという生活を送っています。

タンボジセンターの目的は、農村開発リーダーを育てること。いくら外国のNGOが頑張っても、地元の人たちが頑張らないことには村は発展しないという考えで、将来のミャンマー農村を背負う若者を育成しています。1999年から開校し、これまで150名近くの卒寮生を輩出してきました。

3月18日(土)は、タンボジセンターの卒寮式でした。今回卒寮するのは7名です。彼らは、2019年度に入寮し、順調に行けば2021年3月に卒寮するはずでした(この時のミャンマーの高校は2年間)。しかし、コロナの影響で学校が閉鎖となって1年が経ち、政変の影響でまた1年が経ちました。2年間学校に通えなかった後、2022年6月から学校に通いました。通常なら2年のところ、4年間もかかってしまいましたが、このたび無事に卒寮となりました。

通常なら、日本からのスタディーツアーや支援者さんなどが頻繁に訪問し、タンボジセンターの生徒と交流して楽しい時間を過ごします。しかし、コロナ以降、すっかり日本人のお客さんも来られなくなってしまいました。それでも、オンラインで日本の学生とタンボジセンターの学生をつなぎ、寄付や食品ロスなどについて一緒に学ぶイベントを実施したり、さとおやさんから日本語をオンラインで教えていただく機会を作るなど、工夫をして進めてきました。

卒寮式は、こじんまりと、アットホームな雰囲気で進みました。来賓の挨拶、卒寮証書の授与、卒寮記念品の贈呈の後、生徒たちから歌と踊りの出し物がありました。歌ったのは、米津玄師の「lemon」。オンライン日本語教室で教わった歌です。ミャンマーの卒業定番ソングも歌いました。踊りはパオ族の踊りを披露。来賓の方から、おひねりをいただきました!

卒寮式の記念写真

卒寮式の後、生徒たちは家に帰ります。卒寮生たちは、大学入試に合格していた場合は進学し、不合格の場合は仕事を始めることになります。下の学年は、しばらく実家で休暇を過ごした後、5月の中旬ごろにまたタンボジセンターに戻ってきます。生徒たちが戻ってくるまで、タンボジセンターは人数が減り、寂しい時期が続きます。

ここから先は

2,018字 / 1画像

¥ 1,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?